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SAKE DIPLOMA 2次 テイスティング

今回はテイスティングに特化して、どのように勉強したのかをお伝えします。前に述べたとおり、私はごく普通の主婦で(それも中高年に属する)、テイスティングなんていったいどんな風に勉強したらいいものか、教えてくれる人もいませんでした。ただひたすらとにかく飲み比べて(口に含んで)覚えていくしかありません。試験が終わってすぐに記録に残していなかったので、記憶があいまいになっているところもありますが、書きながら思い出していきます。


試験についてざっくりと知る

テイスティング試験は30分で6種類のお酒(日本酒及び焼酎)をテイスティングする。与えられた用語選択用紙からそれぞれのお酒に適した用語を、指示された語数で選ぶ。多いのは8語ぐらいだったような。
1つのお酒についてかけることができる時間を単純計算で5分とすると、香りから種類を判別し、用語を選んでマークするなんて時間はぎりぎり。見直す時間はないと言っていい。逆に、見直したりすると混乱してしまうので、一発勝負。つまり、直感的にその特徴を把握する必要がある。

出題されるお酒

出題される特定名称酒は下記の通り
吟醸酒、大吟醸酒
純米酒、純米吟醸酒、純米大吟醸酒
特別純米酒
本醸造酒、特別本醸造酒

その他に焼酎が2種類。米、麦、芋、泡盛
カテゴリーとして常圧蒸留と減圧蒸留

吟醸酒と大吟醸酒、純米酒・純米吟醸酒・純米大吟醸酒、本醸造酒・特別本醸造酒については、それぞれ同じカテゴリーに属するものとして正解とみなされた。つまり、大吟醸酒を吟醸酒にマークしても正解とされた。

さらにカテゴリー分けをすると、山廃、生酛、セルレニン耐性酵母の特徴を覚える必要がある。

また、山田錦と五百万石などの酒米の種類による味わいの特徴を知る必要もある。正直、私はこれは捨てました…。

それらのお酒の特徴をどのようにテイスティング用語と結び付けていくか、ということが2次試験の要になる。

資料集め

1次試験と同じく、2次試験についてもなかなか試験に関する情報が見つからない。お酒はすぐに揃うんだけどね。
まず、一つ見つけたのが2018年度のSAKE DIPLOMA2次試験、テイスティングの模範解答だ。でもちょっとわかりにくい(教材じゃないので当たり前)。


資料を作る

資料がないなら自分で作るしかない。上にあげたPDFやサイト、そして田崎さんの本とSAKE DIPLOMAのテキストを参考にしてメインの特定名称酒について自分で資料を作りました。よろしかったらご参照ください。
資料を含め、以下文中SB新書と記載されている本はすべて田崎真也著作の「No.1ソムリエが語る、新しい日本酒の味わい方」を指します。

素人の無料の資料なので100%信じることなく、ご自身で確認をされた上で追記や修正などを行ってください。できる限り出典等は書き加えました。

あとはテイスティングのみ

購入したのは高野酒造さんの飲み比べセットと山廃は菊姫、生酛は大七、本醸造酒は八海山、セルレニン耐性酵母は多満自慢を購入。
テイスティンググラスはリーデルとかではなく、ごく普通の。近所の酒屋さんで1個800円くらいで3個購入。これも買おうかどうしようか迷ったんだけど、試験とできる限り環境を同じくしたほうがいいとの記事を読んで購入。今でもテイスティングの勉強で使っています。

ダイニングテーブルの自分の席の前に酒瓶をずらりと並べて、1日3種類ずつ、全く違う味わいのお酒を一口ずつ飲み比べた。例えば、純米酒と山廃とセルレニン耐性酵母のように。そのほうが味の個性がわかりやすいと思ったので。自分で作ったリストを見ながら、純米酒はこういう香り、山廃はこういう香りと、ひとつひとつテイスティング用語を確認していった。

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試験終了まで、この酒の砦をキープしていました。片付けたら面倒くさくなるし。家族もよく我慢してくれました。

また、スワリング(グラスをぐるぐるする)しないで、鼻をコップにがばっと突っ込んで感じる印象をとらえる練習をした。何かの記事で読んだので。出典不明でごめんなさい。

一週間ぐらいで慣れてきて、もう少し試験の様式に近づけたほうがいいと思ったので、テイスティング用語選択用紙をコピーし、特定名称酒ごとに該当するテイスティング用語にマーキングしたものを作成、それを見ながら確認することにした。用語を選ぶときに時間がかからないように、用語の配置も覚えておくほうがいいかなと思ったので。

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改めて見ると、模範解答に記載されていたキーワードすべてにマーキングしていますね。で、自分で作成したリストに載っているテイスティング用語にさらに赤丸印をつけています。

ブラインドテイスティングはしなかった


試験が近づいてきて、家族に協力してもらって自分なりにブラインドテイスティングをやったほうがいいかなとも思った。でも、わからなかったら逆に自信がなくなっちゃうだろうし、そうすると今までの勉強のやり方にも疑問を持ってしまいそうなので、あえてしなかった。その時間、確実に特徴を確認するほうがいい。

試験10日前


白紙のテイスティング用語選択用紙を大量にコピーして、自分で選んだお酒をテイスティングして用語を選び、正しい用語を選んでいるかをチェックした。テイスティングを始めて約一か月、かなり精度は上がっていたと思う。



始めは、毎日3種類ずつテイスティングをしながら飲んでいたんだけど、だんだん間に合わないような気がしてきて、最後の1週間は6種類ずつテイスティング。さすがに飲んでいたら酔ってしまうので、もったいないけど口に含んで吐き出していた。

分からない香りはスーパーで

香りをどうやって覚えるんですかって聞いたら、一番簡単なのはスーパーで匂いをかぐことだとロンドンのソムリエ講師に教えてもらったことがあります。なので、今でも果物や野菜の匂いはスーパーで手に取って嗅いでます。店員さんに怪しまれない程度に。ヨーグルトやサワークリームはもちろん買って家で嗅いでいました。知っているようで知らない香り。確認しておくのも大切かと思う。

アル添、セルレニン耐性酵母の違い

すごくいい加減ですが、慣れるとすぐわかるようになります。アル添は石灰や青竹の香りをかぎ分けることができるか、セルレニン耐性酵母はもう華やかで、試験会場でも自分から「私がセルレニン耐性酵母のグラスです」と名乗っているような感じです。もちろん、それだけテイスティングは重ねていましたが。
試験後、5ちゃんねるで答え合わせの投稿を見ていると、セルレニン耐性酵母でミスったと投稿した人がけちょんけちょん(これがわからないなら他で正解でもSAKE DIPLOMAなんて名乗れない)に言われていました…。記述試験で球磨焼酎を芋焼酎と書いた私も…。(´;ω;`)ウッ…。

焼酎のテイスティング

日本ソムリエ協会の例会セミナーで焼酎の魅力をテーマに田崎会長が講師としてお話しされたとき、「麦焼酎はライ麦パンの香りを、芋焼酎は干し芋の香り、泡盛は海の香り(ミネラル香)」と説明を受けながらテイスティングをしました。今回この記事をアップするために、改めて自宅にある「壱岐っ娘」と「伊勢吉どん」、古酒だけど「海の邦」で改めて確認をしたら確かに。ライ麦パンは、麦の香ばしい香りと言ってもいいかと。
哀しいことに、2次試験が終わってからだったんですよね~このセミナー。前もって聞いておけば麦を芋と間違えることはなかったね、はは。

結果

一応合格はしたんだけど、間違えたところを覚えているところだけ書いておく。
・吟醸酒と回答した → 本醸造酒だった
・山田錦と回答した → 五百万石だった
・芋焼酎と回答した → 麦焼酎だった

採点の傾斜配分

・外観 13%
・香り 30%
・味わい 20%
・特定名称 16%
・それぞれの飲料についての設問 12%
・飲料の種類 8%


香りと味わいで50%の重みがあります。一般的に試験は合格することに7割を取ることが基準になることが多いと思いますが、その50%に外観13%とそれぞれの飲料についての設問(山廃を選んだり、セルレニン耐性酵母を選んだりする問題)12%など、比較的取りやすい設問をクリアすればそれで70%はクリアできることになります。

頑張ろう!テイスティング!

その他

会場は寒いので上着を忘れずに

10月は日によっては暑かったりするので薄着で会場に向かうこともあるかと思いますが、大人数を収容するホテルの大きな会場では冷房が効きすぎることがあります。テイスティングに集中するためにも、上着を用意することをお勧めします。また、冷え性の方は足元はスニーカーとソックスをさらにお勧め。少なくともソックス。私はひざ掛けが欲しかったくらい寒かったです。

筆記用具は太芯のB

私は筆圧が高く硬い芯は疲れてしまうので、いつもシャーペンは製図用、0.9のBを使っています。製図用シャーペンは重心に工夫がしてあり、鉛筆並みに書くのが楽です。濃くて柔らかい芯でちゃちゃっとマークしちゃいましょう。

【中高年限定】老眼鏡を忘れずに

マークシート用紙に問題や選択すべきテイスティング用語の数が書いてあります(確か)。その文字が小さい。さらにホテルの宴会場って照明が暖色系でちょっと暗く感じてより一層見づらい。どうぞ老眼鏡を忘れずに。

まとめ

この試験に合格したからと言って、べつにそれ専門の仕事に就いたわけではない。それでも日本酒の新たな楽しみを知ることができてよかったと思っています。今まで甘口辛口でしか語ることができなかった日本酒の味わいについて新たなボキャブラリーが増えたのがうれしい。

せっかく身につけたテイスティング技術なので、忘れないように今でもじぶんなりにテイスティングコメントを作成しています。
精度を上げるためにブラッシュアップが必要だなぁと実感しているので、ワインのテイスティングも習い始めました。次の目標が見えたのもよかった。

この試験を受験した目的はみなさんそれぞれとは思いますが、私自身は受験してよかったと心から思っています。あとひと頑張り。突き抜けちゃいましょう!




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