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【ビルディバイド】ディバイドバトル名古屋大会めちゃ負け日記

1/22に行われたディバイドバトル名古屋大会に参加したので、今回はそのレポートを記す。使用デッキは赤白ダグラーク。結果は3-4。

これは言い訳になるが、正直今回の環境はめちゃくちゃ難易度が高かったと思う。戦略的には1弾環境の延長線上にあるプールでありながら、デッキの足回りを強化するカードが多く収録され、ケアしなければならない戦術が圧倒的に増えた印象だ。

今回の環境、僕は「正解」と確信を持って持ち込めるようなデッキを用意できなかった。今回選んだデッキは(もちろんある程度の実績と根拠に基づいているとはいえ)かなり消極的選択肢で、デッキについて自信を持って解説できる気がしない。

そこで、今回はデッキの解説を本旨とするのではなく、2弾環境をどのように捉え、どのような練習や準備を行い、結果どうだったのかという話をメインに据える。
どちらかというと日記や備忘録のような側面が強く、参考になるかどうかは怪しいので、興味のある人だけ読んでいただければ幸いである。

◆12/25 ファンミーティング

2弾環境最初のイベントはファンミーティングだった。
個人的にはこのイベントはかなり楽しかった。「ビルディバイドフェス」といった様相であらゆる楽しみ方が肯定されており、非常に充実した1日を過ごせたと思う。
自分の場合は最初数戦ガンスリンガーに入り、ミニトーナメントが立ち始めた頃合いからイベント終了までミニトーナメントに参加。

この時も【赤白ダグラーク】を使用。結果は8戦出て2優勝と、まあまあな感じ。
ただこの時は1弾最強コンセプトが2弾でも通用するのか!?ぐらいの感覚だったので、練度はあんまり自信なかった。

軽く構築について触れておくと、この時の環境の最大母数はクラウディアブルームだと考えていて、そこに寄せた構築になっている。クラウディアはガンスリ最高最速デッキだし、ブルームは物販でデッキを買えることから使う人が多いだろうなという読み。
ということで、《痛み分け》と合わせて2面除去のバリューが高いことから軽いデコイを多投するのが強いと感じ、《スクワッティ》《バオングーロ》を軸にデッキを構築。使用感を確かめるために《ワームハンティング》と、タッチしても動きに影響のない黒ショットとして《呪術師の謀略》を採用。チーム内でリストを共有し、黒ショットの枠は《呪われた切札》と選択してみたりして、チーム4人で65%ぐらいの勝率。

この時の感覚としては、やはり《ペルーゼ》《痛み分け》を獲得した【青白黒ダグラーク】に対してはやや不利で、それ以外に対しては想像以上にいけるな、という感じだった。
【ダグラーク】ミラーに関しては、もちろん《カラル》の存在から除去を躱すことは容易なんだけど、基本的にこのマッチアップは先にデッキ内の生物が尽きるか、そうなる前により多く城塞をヒットさせることが重要なので、《ペルーゼ》によって実質的にデッキ内の生物を増やせる青白黒に軍配が上がることが多い。

加えてこの時は制限時間がなく、【ダグラーク】ミラーで30分以上かかることはザラだったことも気がかりだった。
東京大会からあまり期間が経っていなかったこともあり《ペルーゼ》入りのダグラークに慣れていないプレイヤーも多かったからだとは思うが、【ダグラーク】と2戦連続で当たってトーナメント終了までに1時間半掛かった時は流石にどうしようかと思った
本番でもおそらく同じぐらい時間がかかることになるだろうし、そうなると《カラル》のターンまで打点ペースが伸びない赤白はゲームプランの兼ね合いが取れなくなってより不利が増すことになる。

ただ、《スクワッティ》を採用したことにより1ターン目から積極的にライフを積めるプレイが取れるようになっていたことは発見だった。もちろんデッキに4枚のカードなのでそう都合良く引けるわけではないが、それでも【バドラトス】や【遊戯場】相手にアグロプランが取れることのメリットはかなり大きく、不利を改善する選択肢であることは間違いなかった。

そんなこんなでこの時点では良くもなく悪くもなくといった印象。ただ、やっぱりミラーの重さから積極的に使いたくはないなーという感覚だった。

◆デッキ探し

ファンミが終わったあとはとにかく新しいデッキを触ることにした。週に5デッキぐらい組み上げて週末にチームメンバーを集め一つずつボツにする、みたいなことを繰り返していたと思う。
リモート対戦用のトラッカーツール的なものを作ってカードごとのドロー時勝率を確かめたりしたがあまり意味はなく(せっかく協力してくれたのにあまり面白い結果が出なかったのでチームメイトには本当に申し訳ない)、結果的に「強いデッキが強い」という結論に落ち着いてしまった。

環境に存在するデッキはもちろん、環境外のデッキまであらゆる選択肢を試していた。多分リストの数だけでいうと50個ぐらいは検討していて、何一つとして好感触のものはなかった
せっかくなので、検討したデッキの中であまり環境にはいなさそうなものの例を挙げておく。

【黒単遊戯場】。環境中期、【マーギュリス】が流行った頃に組んだリスト。
【マーギュリス】は確かに構造上割と有利な対面が多く感触は良かったのだが、無から有を生み出すことができるルートが《円盤》+《ベストーラ》しかなく、ケアされるといずれジリ貧になることが懸念だった。
青を採用すると今度は序盤のパワーラインレースに非常に弱くなるため青は足したくなく、できるだけ黒単でリソースを失わない方向性を追求することにした。

《円盤》から持ってくる《アリア》には非常にパワーを感じたため、【マーギュリス】の持つテリトリーの除去性能をそのままに横展開能力を高めることで「攻撃するとコンバットで大損して負け、攻撃しないと円盤アリアや遊戯場で大損して負け」みたいな状況を作りやすい構築を探した結果、これになった。
強かったが打点が細く、バドラトスに間に合わなさすぎたので没。

【スカウトクラウディア】。【クラウディア】は結局6で出す《バドラトス》が最強なので、そこへの再現性を高めるために《カリスタ》《アイオラ》《フリーダ》を採用してとにかく6コスへのアクセス権を増やすアプローチを取った狂った紙束デッキ。
クラウディア特有のブン回りが常に味わえて楽しいのだが、デッキのマナカーブが歪みまくっているので相手がひたすら《張り裂ける大地》構えとかで容易に負けうるので没。

【赤単ライオネル】。《無垢なる願い》が【クラウディア】に対して本当に最強スーパーキラーカードなので、それを1番強く使える構築を探した結果辿り着いた。

※補足
《無垢なる願い》によって相手に強制的にスタンドのエナジーを作ることができるので《クラウディア》の「攻撃されない」能力を消すことができたり、《グラドミラル》の効果を不発させたりできる。最終的にそれを嫌って相手は《バドラトス》を単騎で置いて殴ることになるが、そこまでのやり取りの間で盤面に残り続けるライオネルを対処できなくなって爆発する。

【クラウディア】と同様に3点《バドラトス》を作ることができるので押しつけ性能も高く、デッキ構造上【ブルーム】系デッキにもそこそこやれていたが、《無垢なる願い》というカードが痩せすぎていて【ダグラーク】【バドラトス】【レベッカ】あたりにボコボコにされたので没。

……このような感じで、デッキを作っては消し作っては消しを繰り返し、本番1週間前まで手持ちのデッキがない状況になってしまっていた。
僕は割と本番の2〜3週間前には本命デッキを決めているタイプなのでこの状況はまさに絶望的で、眠れない日々を過ごすこととなる。

ただ、こうやって無限にデッキを作っては崩しを繰り返したことによる学びも大きかった。
環境の構造をある程度言語化できるぐらいに理解できたことはそのうちの一つだと思う。

◆2弾環境の抱える構造

ビルディバイドに限らず、カードのプレイにコストを要求されるゲームの殆どは、基本的に3つのデッキタイプによって環境が形成される。ゲームレンジによる「アグロ」「ミッドレンジ」「コントロール」の三分類だ。

今環境のデッキを僕が分類するとするならば上図の形である。
アグロ・ミッドレンジ・コントロールはベン図のように微妙に重なり合いながら3すくみを形成し、お互いを牽制し合っている。
基本的にはこの分類によってデッキごとの有利不利が形成され、環境に多そうなデッキに対して有利なデッキを考えることが勝利への近道となることが多い。

僕は、ビルディバイドというゲームにはこの三分類に加えて「さらに大きい3すくみ」の構造があると考える。「デコイ」「除去」「バドラトス(除去不能打点の押し付け)」だ。

「デコイ」は盤面に大型ブロッカーやデコイを並べ、相手のアタックを抑制しながらコマンドを構えて戦うことができるデッキタイプで、「バドラトス」に対してパワーの押し付け合いに負けずにコンバットトリックを行使できるため有利。
「除去」は非常に低いコストで盤面のカードを整理し、エナジーをユニットに注ぎ込むことで盤面有利を維持し続けるデッキタイプで、「デコイ」に対してコンバットトリックを無効化できるため有利。
「バドラトス」は除去が困難、あるいは除去のためにコストを支払わせることでリソースレースをし、最終的に除去しきれなくなったタイミングでライフを奪い切るデッキタイプで、「除去」に対しそのコンセプトを無効化できるため有利。

この「さらに大きい3すくみ」の存在が非常に厄介で、「アグロ・ミッドレンジ・コントロールの分類においては有利だけど、デコイ・除去・バドの分類においては不利だから結果的に五分マッチアップ」みたいな状況が大いに発生する。上記2つの表において相性関係が逆転しているマッチアップなどは五分相性になりやすいマッチアップだ。
そのためデッキ構築においては「自分のデッキがどの分類のデッキで、苦手な相手に対してどのカードを採用するのか」を意識的に持たなければならない。

僕は2ヶ月間、このジレンマに悩まされ続けていた。
この構造の影響で、どんなデッキを組んでも環境における五分マッチアップに向き合い続ける必要があり、五分を抜け出そうとしようものなら元々有利だったマッチアップに対して取りこぼす構築になってしまったり不利だったマッチアップに対する「捲り手段」を諦めることになったりするためだ。

もちろんこの構造は僕が勝手に感じているだけなので、この捉え方が正解だったのかどうかはわからない。ただ、僕がこの環境を苦手だと感じている理由は間違いなくここにあったように感じる。
人によってはじゃんけん環境と思っているかもしれないし、事実として両方の3すくみで負けてしまうマッチアップは厳しい部分が多いけれど、(例えば【ダグラーク】vs【遊戯場】は「ミッドレンジのデコイ」vs「コントロールの除去」で後者有利となる)この厳しさにどうやって向き合うかが今環境の鍵であり難しいところだったのかな、と思っていた。

そんなジレンマの中僕が最終的に選んだデッキは、冒頭でも書いた通り【赤白ダグラーク】だ。

デッキ選択の理由は2つある。
1つは、東京大会のタイミングから考えて3ヶ月半ほど赤系ダグラークを使ってきていて練度にある程度自信があったこと。戦略的優位を構築に見出せないのであれば、構築は慣れて使いやすいものを選択し、プレイで差を付けるしかないと感じたためだ。

もう1つは、《スクワッティ》《バオングーロ》《ペガフォール》といった軽めのカードを優先的に採用していることによる打点形成の速さと《カラル》《痛み分け》の押しつけ要素により、「ミッドレンジのデコイ」でありながら「アグロの除去」や「コントロールのバドラトス」に変化することができる点。
対応力が高い反面ドローの噛み合い城塞の当たり具合相手のプレイの巧拙に左右されてしまう部分は多いが、それ以上に環境のどのデッキより柔軟なプランニングができる(と感じた)ことを非常に高く評価した。

まあとはいえ、どちらの理由も結局「慣れてるし噛み合えば強いしデッキないからこれでいいや」を言い換えただけで、本当に消極的なデッキ選択だったと思う。

◆結果と反省

結果は先述の通り、3-4。とても不甲斐ない結果となった。敗因は二つある。

一つは、【マーギュリス】がここまで増加すると思っていなかったこと。
大きな3すくみにおける「除去」デッキが環境における強者であることは理解できていたが、そこに対してメタゲームは「バドラトス」デッキを持つ方向に傾くと思っていて、その環境において優位に戦えるデッキ選択をしてしまった。
メタゲームは2歩先を見るのではなく、1.5歩先を見るべきであるという考え方を完全に失念していたように思う。1.5歩先を見れていたなら、「除去」デッキの中で最も強いもの(つまり【レベッカ】)を作るか、「バドラトス」デッキを練習するかのどちらかを選べていたかもしれない。これは間違いなく「練習しすぎによる敗北」だ。

もう一つは、1弾環境でなまじデッキ勝ちしてしまったことから生じる「デッキで勝とうとするデッキ選び」だったこと。
今環境は1弾環境の延長にあるプールとわかっていたから、本当に勝ちたいのであれば自分の信じるデッキを決め打ちしてプレイやメタカードの取捨にもっと積極的に取り組むべきだった。
最終的には練度が高いデッキとして【赤白ダグラーク】を選択したし、デッキ選択自体は後悔ないものの、43枚にエース6枚という開放事故を起こしやすい構築であるという自覚をもっと強く持ち、事故時のプレイを対面ごとに詰めておけば良かった。
また、環境的に「除去」デッキが多く、特に【マーギュリス】に対して有利を付けるために引かなければならないカードが多すぎる、ということに対して真剣に向き合う必要があった。例えば《痛み分け》や《天助の来光》は本当にこの枚数採用して良かったのかはかなり微妙な部分がある。リソース勝負で不利を背負いづらいカードを検討しておくべきだった。
そこまで準備しておけば、少なくともここまでの負けは防げたように思う。こちらは逆に「練習しなさすぎによる敗北」である。

総じて今回は練習の取り組み方がとても悪かった。毎晩遅くまでチームメイトに付き合ってもらっているにも関わらず、吸収したものがあまりにも少なかった。
これは非常に大きな反省点であり、来期に向けて改善の必要があるテーマだと思った。

正直反省点しかない大会だったが、敢えて自分を褒めるとするならば、《百獣王の怒り》の採用は大正解だった。
結果的に勝ちに繋がったわけではないけれど、【マーギュリス】対面においてキラーカードになっていたことは間違いなかったと思う。ここは調整中にもっと早く気づけていれば、また違ったアプローチも取れたかもしれない。

◆総括

今回のイベントはデッキ選択も情勢への対応も難解で、あらゆる葛藤と戦いながら参加する、今までの自分のカードゲーム史上最もヒリついたイベントだった。
開催される大会もあれば、開催されない大会もある。僕にとって大型大会とは自分の理論の正しさを証明する場所であり、かけがえの無い「機会」だ。
いろいろな葛藤を乗り越えて与えられた「機会」であれば、自分に悔いのない選択をしたいと考え、出場を決意し、あらゆる選択肢から辛うじて最も自信のあるデッキを選んだ。

自分が苦手だと感じる環境に対してどういう形でアプローチすれば良いかがわからなかったのが明らかに今回の敗因で、今後はそこをケアできるような練習方法を探していく必要があると思った。

冒頭でも書いた通り、今回は本当に自信がなかった。自信の無さがどこから来るのか、なぜ自分は勝てないのかを明確に言語化しないまま大会に臨み、当然のように敗北した。
「敗北に不思議の敗北なし」。今回の結果と反省は、個人的にはむしろ自分にはまだ伸びしろがあると気づくきっかけになった。
ビルディバイド本当に面白いゲームだな……と改めて感じている次第。

ひとまずは、デッキだけじゃなくてプレイも丁寧に。仙台大会ではこれを目標に頑張って行きたい。

◆謝辞

今回、大会中に「前回大会のダグラークの記事読みました!」と言ってくれた方が何人かいらっしゃって、本当に書いてよかったしありがたいことだなと思っていました。

今回は非常に微妙な結果になってしまいましたが、引き続きディバイドバトルには積極的に参加してレポートや構築録を書いていく予定ですし、面白そうなデッキができたらまたデッキ解説も作ろうと思っています。
3弾環境のデッキも少しずつ考え始めていて、ある程度形になって満足したら仙台大会より前に一本記事を出す予定です。

まどマギBTで環境が動く可能性があるので、3弾が出るとはいえ競技ビルディバイド的にはしばらくオフシーズンですが、一応緩やかに続けていく予定ですので、また何か機会があればご贔屓にしていただければと思います。

長くなりましたが、ここまで読んでいただきありがとうございました。

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