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夏の行事 ピアノ発表会 〜 愛の悲しみ/クライスラー

今年も夏の行事、ピアノ発表会の季節が近づいてきました。発表会と言っても私が演奏する訳ではなく、教えている訳でもありません。妻がピアノを教えていて、発表会では私も手伝いに駆り出され、生徒さん達の演奏を録音したり、色々とお手伝いをしています。

小学生のときに2年間ピアノを習っていたことがあり、小学生が演奏する曲には知っている曲も多く、そんな曲の演奏を聴くと懐かしくなります。今年はどんな曲が聴けるのだろうと思うと、とても楽しみです。

子供の頃に弾いた曲を◯十年後に聴くときの気持ち、他では味わえないなんともいえないじわーっとした感触を心の奥の方で感じたりします。

演奏家のリサイタルでそういった曲にお目にかかることはなく、発表会だけが聴くことができる機会なので、ある意味では貴重な感じです。

私の好きな曲はエルメンライヒの紡ぎ歌です。ほぼ毎年誰かが弾いてくれるのですが、今年のプログラムには登場しないので、ちょっと残念です。エチュード・アレグロなどの中田喜直の曲や、ベートーヴェンのエリーゼのためになども聴けると嬉しくなります。

発表会は3部構成で、小学2年生までの1部が23曲、5年生までの2部が25曲、大人までの3部が22曲あり、最後に講師演奏というプログラムになっています。

発表会のプログラムを見ているだけでもおもしろいことがあります。

例えば、インディアンの踊り/コルトー という曲があり、コルトーってまさかあのコルトー? と思い調べてみると、作曲者はあのアルフレッド・コルトーなのでした。初心者が演奏するような曲を作っていたのですね。

モーツァルトのアイネ・クライネ・ナハトムジークが、ピアノソロに編曲されていて、ピアノの発表会で弾けることを知ったりもします。

ショパンのワルツ、エチュード、プレリュードは入っていることが多いですが、ベートーヴェンのピアノソナタはあったりなかったりしますので、プログラム入りしていると、その年はベートーヴェンのピアノソナタを聴けるんだと思うと楽しみになります。今年は1番と14番月光が予定されています。

プログラムの最後の方では、ラフマニノフの前奏曲 鐘、ショパンのノクターン7番、ポロネーズ2番、そしてクライスラーの曲をラフマニノフが編曲した愛の悲しみと、すてきな曲がずらりと並んでいます。

ヴァイオリンの曲はあまり知らず、愛の悲しみと聞いても、どんな曲か思い浮かばないので、YouTubeで聴いてみると聴いたことのある曲でした。

知っているピアニストの演奏が色々と出てきます。編曲者本人ラフマニノフの演奏、ルガンスキー、ベレゾフスキー、バックハウスの演奏を聴き比べしました。

ベレゾフスキーはラフォルジュルネ・オ・ジャポンによく来てくれるので、生で演奏を聴いたことがあります。かなり身体が大きく、巨漢と言ってもいいその体格から繊細な演奏が紡ぎ出されるのを聴くと、不思議な感覚を覚えます。

バックハウスの演奏は、他の3人とはまるで違っていて、同じ楽譜で演奏してここまで印象が変わるものだろうかとも思いましたが、1番好きな演奏です。

ラフマニノフは編曲者本人ということもあり、ここでは横に置いておき、それ以外の3人の演奏を私の好きな順番に並べると、
バックハウス
ベレゾフスキー
ルガンスキー
となりました。ルガンスキーがこの曲の一番オーソドックスな演奏ではないのかなと感じながら聴きました。ベレゾフスキーはかなり癖がありながら、即興感あふれる演奏で、生で聴いたら楽しいだろうなあと思います。いい感じです。しかしなんと言っても芸術性の高さというか、曲の美しさを感じるのはバックハウスでした。

愛の悲しみ/バックハウス

愛の悲しみ/ベレゾフスキー

愛の悲しみ/ルガンスキー

発表会までは残りあと1か月ほど。それが終われば、遅ればせながらの夏休みに入れます。

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