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フライトシミュレーターは実際の航空機を操縦するための練習や経験として役に立つのか

フライトシミュレーターは操縦の訓練になる?という話をしてみたいと思います。

マイクロソフトのフライトシミュレーターというゲームが2020年8月18日に発表されて、グラフィックが凄いと話題になっています。

ゲームは未経験ではありますが、実際のパイロット訓練で利用するシミュレーターは何機分か経験したことがありますので、

ゲームのフライトシミュレーター、そして実際のパイロットが訓練に利用するシミュレーターはそれぞれフライトの練習にどう役立つのかという話をしてみます。

結論としては、シミュレーターは「視覚情報の確認や手順の練習には使える」が、「操縦する感覚は全然違うので役に立たない」という感じです。

マイクロソフト フライトシミュレーターを見てみた

僕自身はあまりゲームやらない方なので、ゲーム自体には詳しくないのですが、皆さんのレビュー動画などいろいろ見てみました。

評判どおり見た目の再現度は凄いです。

コックピット内もそうですが、外の景色もかなり凄い。

自分がもし今パイロットの訓練中だったら、たぶん購入して使うと思う。

特にナビゲーションの経路確認とかによさそう。翌日フライトする予定の経路をシミュレーターで何度か飛んでみる。先に上空からの見た目を知っているだけでだいぶ楽になる。

衛星写真だとフライト中と見た目が違う

空からの視点で地上の情報を確認する方法として、航空図とか衛星写真がありますが、実際の見た目とは違うんですよね。

衛星写真はあくまでも真下を見下ろした見え方であって、コックピットの中からは真下は見えない。俯角という斜めに角度がついた状態で見える。

あと、飛ぶ高度によって物の見え方・見た目の大きさなどが変わるので、地図上であるはずの物だけど、フライト中に見逃したり見間違えたりもよくする。

VFRの航法では山とか川とか高速道路とかを目印に飛ぶんですが、なれないうちはどれがどれかわからなくなる。

だから初めて飛ぶ経路とか結構大変。

なので、事前にシミュレーターで実際の航空機からの地上の見え方を確認できるのは凄い便利。

実際の訓練用のシミュレーターのグラフィック

実際のパイロットの訓練で利用するシミュレーターはほぼ手順確認用な気がします。

外の景色とか映像のことを言えば、マイクロソフトのフライトシミュレーターなど最新ゲームの方が全然きれい。

もちろん、訓練用のシミュレーターもアップデートなので改良されたりする可能性はあるんでしょうけど、ゲームほどそこにコストはかけられないはず。

なんで買って言うと、ゲームみたいに映像のクオリティを上げて売って商売するものではないからですよね。

ゲームなら一つのゲームに10機とか20機分のデータ入れて、たくさんの人に売ることができます。

が、実際の訓練用のシミュレーターって機種ごとなんですよね。

この飛行機のシミュレーターは日本に2台ありますとか、4台ありますとか。

で、1台3億円ですみたいな。

そして、パイロットの訓練生くらいしか使わないという。

なので、ゲームみたいにどんどんお金かけてグラフィックをきれいにするということはなかなかないと思います。

訓練用シミュレーターは本物の操縦席である

では、訓練用のシミュレーターってどのへんが役に立つのか?というと操縦席が本物というところ。

似せて作っているとかでなく、そのまま本物。

座席やスイッチや計器類など全部実機のものが利用されているので、操作感だったりコックピット内の見た目の確認には使える。

シートのセッティングはこうしようとか、このスイッチ固いなとか、グローブしてるとこのスイッチ動かしづらいなとか。ここ手が届きにくいなとか。

フライト中はシートベルトで座席に体を固定してるので、意外と手が届きにくい位置にあったりもする。

この辺が本物の操縦席を使ったシミュレーターで確認できる部分ですね。

計器飛行の訓練で、外を全く見ずに計器だけ見てフライトする練習とかあるんですけど、この場合だとやはり本物の操縦席と計器が必要なので、ゲームでは再現できないですよね。

シミュレーターは操作感の再現ができない

シミュレーターは見た目のグラフィックの綺麗さ、再現度は凄いですが、人間の感覚的な部分はどうしても再現できません。

例えば、

速度によって操縦桿の重さや機体の反応が変わる とか

高度や加速度の変化は計器より体の感覚の方が先にわかる とか

こういった体感部分の再現がどうしてもシミュレーターだと不足するので、そのまま操縦技術の成長にはつながりません。

体感がない分、実機よりシミュレーターの方が操縦が難しかったりします。

まとめ

マイクロソフト フライトシミュレーターや最新ゲームは見た目の再現性・グラフィックはとても凄いので、航法など見た目の情報を得たい場合はとても役に立ちそう。

本物の訓練用シミュレーターは、操縦席が本物なので、コックピット内での操作・手順などの練習に使える

いずれのシミュレーターも体感が無いので操縦感覚の練習にはなりづらい。

こんな感じです。

ではまた

参考情報など
https://www.xbox.com/ja-JP/games/microsoft-flight-simulator

Youtube動画版


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