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【パイロットの学科試験】科目の勉強内容の概要と受験のコツなど

パイロットのライセンス(航空従事者技能証明)を取得するための試験は
技能試験と学科試験に分かれています。

今回は学科試験について紹介します。

さっそくですが、パイロットの学科試験の科目はこちら。

・航空工学
・航空気象
・空中航法
・航空通信
・航空法規(国内・国際)

科目それぞれの勉強内容などの概要と、あと需要があるかわかりませんが試験のコツなんかを話してみます。

では順番に見ていきましょう。

航空工学

航空工学は学習する範囲がとても広いです。

航空機の設計や構造・材料など全部です。

例えば、

・航空機のボディをつくる構造はどういう種類があって、どういう用途の航空機にはどの構造が使われる とか
・エンジンはレシプロとジェットがあって、ジェットエンジンは歴史上どういう進化をとげて、現在はジェットエンジンの中でもターボファンエンジンが主流です とか
・流体力学的に翼の形状がどうなっている とか
・油圧系統がどうなってるとか

広範囲にはなりますが、あくまでも航空工学の概要をざっくり勉強する感じです。

細分化するとそれぞれの専門家がいるので、パイロットは全体をざっくり理解しておく感じ。

数学や物理が苦手な人には辛いかもしれない部分。

航空気象

航空機は天候に左右されるので気象の知識も必要です。

気象全般の知識はもちろん、航空機に関係する分野をもっと掘り下げたようなもの。

一般的に朝のニュースなどで見る「晴れ」とか「雨」とか「気温」とかのシンプルなものでなく、もっと三次元的なもの。

例えば「5000ftまでは曇があって、5000〜1万ftは晴れてて、1万ft以上は機体が凍るから飛べない」みたいな。

技能試験のときには、実際に自分で気象予報を出して、ニュース番組のお天気お姉さんがやっているように試験官の前で説明したりします。もうちょっと複雑なやつですけど。

そのためのベースになる気象の知識を学びます。国語辞典みたいな分厚くて小さい文字がびっしりある書籍をめくって勉強してました。

空中航法

ナビゲーションです。

地図に目的地までの線を引っ張って、風を計算に入れて、航空機の進路と速度を決めて、必要燃料を計算して・・・みたいなやつです。

ここで航空地図とフライトコンピューターが出てきます。

航空地図は航空路とか無線設備が書いてある航空用の地図ですね。

https://skyvector.com/というサイトで見られます。

フライトコンピューターはこれ。

なんか色々できる計算盤です。

たぶんパイロットか航空士をやらないと一生見ることがないやつ。Amazonでも売ってるみたいなので興味ある人は見てみてください。

今の時代はGPSや無線で航空機の運行ができますが、地面と地図を見て航法するのが基本ですし、試験ではこの知識と技術が求められます。

航空通信

航空通信は無線です。

管制官の人と無線で話すのもそうなんですけど、無線設備の知識も必要。

無線設備というのはおそらく航空業界でないと使わない概念かもしれません。

全世界いろんなところに無線設備がありまして、そこからの無線電波を受信して「無線設備Aから何度何マイルにいる」というように現在地がわかるようになってます。

船で言うとことの灯台みたいなもの。

こういう無線設備や通信で使うフォネティックコードとかいろいろやります。

航空法規(国内・国際)

空の法律です。

車の免許を取得するときに道交法を学ぶように、航空機は航空法があります。

空を自由に飛んでいる飛行機も実は、飛んでいい場所や経路が決まってますし、速度制限があったりします。

あとは、東京タワーが赤白のカラーリングになっている理由とか、スカイツリーにピカピカ光るライトがついている理由なんかが航空法に関わってきます。

学科試験の難易度

学科試験はちゃんと勉強すれば普通に受かります。

たぶんパイロット目指していて、ちゃんと準備してきた人であればだいたいの人が受かる試験でしょう。

おそらくですが、医者や弁護士なんかの試験に比べたら全然楽勝な気がします。

僕の感覚ですが、偏差値60以上くらいの人であれば頑張って勉強すれば合格できるくらい。

で、試験のコツですが、選択問題式なので過去問対策をすれば普通に大丈夫です。

勉強する内容は膨大ですし、難しいですが、試験自体は合格しやすいという感じですね。過去問対策でなんとかなります。

ちなみに過去問と回答は国土交通省から公開されているので興味ある人は見てみてください。

それと、科目合格制度がとられているので、不合格だった科目だけまた受け直して全体で合格すれば良いということになってます。

例えば、航空法規だけ不合格だったら、一年以内に不合格だった「航空法規の試験のみ」を再度挑戦して合格すれば良いということですね。

パイロットはジェネラリストっぽい

とまぁ色々な分野を勉強しなければならないのがパイロットなのですが、それぞれの専門職の人に比べたら全然浅くしか学びません。

例えば、航空工学の分野なら整備士さんに質問しに行ったりします。その中でも油圧系統なら油圧に特化した整備士さんとか、電気系統なら電気系統に詳しい人とかいますので。

航空気象なら気象予報士さんに自分の予想があってるか確認しに行ったり。

通信なら管制官の人の方が詳しいですし。

こんな感じで、それぞれのスペシャリスト全員とそれなりに会話が成り立つのがパイロットというジェネラリストの位置づけな気がします。

もし、これからパイロットを志す人はそれなりに大変かもしれませんが是非是非頑張ってください。

参考資料
■航空従事者の資格・種類について 国土交通省
https://www.mlit.go.jp/koku/koku_fr10_000047.html
■学科試験の過去問 国土交通省
https://www.mlit.go.jp/koku/koku_fr10_000025.html
■航空図はこんな感じ
https://skyvector.com/
■フライトコンピューターの商品例
https://aeroproducts.com/

Youtube動画版はこちら


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