最後ノ恋-再構築-
私の彼氏は浮気をしていた。
しかも相手は私の親友「賀喜遥香」だった。どうやら私と彼氏と親友とで三角関係だったらしい。
そして親友は彼氏に私という彼女がいながらも告白をした。
私の彼氏はその告白を断りきれず、受け入れてしまった。
彼氏の二股が始まった後も私と彼氏2人でデートをしていた。
何なら、彼氏の二股を知った後にもデートをした。
その時も色々と褒めてくれたり、愛を伝えたりしてくれた。
柚菜:お願いだから嘘はやめて…
私はもう傷つきたくなかった。
もうあなたとの恋を最後にしたいから…
私が彼に「好き?」と聞いたら、一瞬だけ間が空いて好きと答えてくれた。
何も考えることじゃないでしょ…
気持ちが冷めた時はそう言えばいいのに…
二人で並んで手を繋いで、歩幅を合わせながら歩いて、笑い合って、たまの意地悪に顔を顰めたり…
そんな心が和む様なそんな時間をお互いに過ごせていると信じてたのに…
ある日私が彼の家に行った時にインターホンを押しても反応がなかった。
玄関の取っ手を回すと鍵が空いていて中に入れた。
そこには無造作に脱ぎ捨てられた彼の靴と、その横に私の知らない女性物の靴があった。
そして寝室の方から音がするので覗いてみると、私の彼氏と私の親友が身体を交えていた。
次第に私は怒りが込み上げてきた。
しかし私はその時同時に悲しみを感じていることに気が付かなかった…
そして私は家から出ていった。
玄関で靴を履いていると彼と親友の楽しそうな声が聞こえてきた…
彼の家から出ると外は小雨が降っていた。
小雨の中私は「独法師」で傘もささず、家に向かって歩いて帰っていた。
歩いていると目に涙が溜まっていく感覚がした。
私は涙が零れない様に空を見上げた。
次第に雨は強くなっていき雨に打たれると痛さを覚えた。
その痛さが自分の体だけでなく、心にも伝わってきて棘が刺さる感覚がした。
結局涙が私の頬を伝ってしまった…
雨に打たれながら私は彼の事を考えていた。
私にも愛を伝え、親友にも愛を伝えていた。
色々と考えたが彼の気持ちは何もわからなかった。
柚菜:この雨が、私の悲しみとかの全てを流してくれればいいのに…
家に着いた私は浴槽に浸かりながら今までの彼との思い出を振り返っていた。
その後とある計画を立てた。
恐らくこれが私の「最後ノ恋」だっただろう。
こんな形で「最後ノ恋」が終わってしまっても、私は彼のことを愛していたから怨みやしない。
それでも、やり場の無いこの気持ちはどうしたらいいのか…
私は考えてみたが答えが出ることは無かった。
柚菜:戻りたい…彼からの偽りでもいいから幸せを感じる事が出来たあの頃が…一番良かった…
私は少し自分を憎んだ。
何も気付けない程、馬鹿で居たかったと。
目の前の現実を受け入れられない位に馬鹿だったら…
そうすればこんなに悩んだり、傷付いたりする事無かったのに…
数日後私は親友の家に居た。
柚菜:かっきーさ、〇〇と付き合ってるでしょ。
私はいつになく冷静にそう言い放った。
遥香:……ごめん、柚菜ちゃんと付き合ってるって分かってた上で告白した私が悪かった。
柚菜:私と付き合ってるのに告白を受けいれた〇〇も〇〇だから。
遥香:……本当にごめんなさい(涙)…
親友は涙を流しながら私に謝ってきた。
柚菜:いいよかっきー。顔を上げて。私薄々感じてたんだ。かっきーも〇〇の事好きなんじゃないかって。でも仕方ないよ。好きになっちゃったんだもんね。
遥香:本当にごめんなさい…
柚菜:別に私は怒ってないよ。ただ、私は今日ここで私達の「最後ノ恋」を終わらせに来ただけだから。
そして私は鞄から隠し持っていた包丁を取りだした。
遥香:柚菜ちゃん…何をする気?
柚菜:私達の「最後ノ恋」を終わらせよう…
そして私は親友の頸動脈を切った。
すると鮮血が吹き出し部屋中が「血塗レ」になった。
遥香:な、ん、で…ゆ、な、ちゃん…
柚菜:さよなら、かっきー。
程なくして親友は死んだ。
私は親友の遺体をベッドまで運んだ。
そして私は血に染った部屋の写真を数枚撮影し、彼に送った。
そして最後に「さよなら」とだけ文字を添えた。
私はベッドに横たわる親友の遺体の元へ向かい、そっと口付けをした。
生気は無く、血の気もなくとても冷たい唇だった。
感じたのは唇の感触と親友の血の暖かさだけだった。
私は親友を殺めた包丁を手に取り死んだ親友の横に横たわり抱き着いた。
柚菜: 〇〇、さよなら。そして私の「最後ノ恋」
そして自分の首に刃を当て頸動脈を自分の手で切った。
同じ様に鮮血が吹き出し部屋は更に血で染った。
柚菜からの連絡を見て〇〇は急いで遥香の家に向かった。
そして遥香の部屋に入ると目に入ってきたのは「血塗レ」の部屋とベッドの上に横たわり仲良く抱き着きながら死んでいる2人の彼女の姿だった…
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