現場の喜び

先日、かねてより愛好していたゲーム「あんさんぶるスターズ!!」の声優陣によるライブイベント、「Starry stage(通称:スタステ)」に参加してきた。

個人的には対面での現場に参戦するのが約1年半ぶり。現場ってどんな感じだっけと、やや根源的な悩みを抱きながら電車に乗る。昨晩は緊張で眠れなかったのに、朝起きてからは謎に、無駄に覚醒している。

一緒に参戦する友達と合流する喜び。会場までの道のりを近況報告しながら歩く喜び。会場に着いてヲタク達の痛バを見ながらニヤニヤする喜び。BGMが流れる薄暗い会場に入ってペンライトを振る練習をする喜び。

こんなご時世になる前は、チケットがご用意されれば当たり前のように味わえていた喜び。それらを久しぶりに味わった。


ライブが始まる。

MCコーナーで、仙石忍役の新田杏樹さんが、あんさんぶるスターズ!!5周年記念楽曲『Walk with your smile』の歌詞に擬えて、こんな話をしてくださった。

『傷ついた過去も 輝くためのStepと 気づいたんだよ』

この歌詞を声に出した後、

「3rd LIVEが中止になってしまい、傷ついた方もたくさんいらっしゃったと思いますが、それもこのようなステージを開催するためのStepだと感じました。(意訳)」

と。


そして終演後、Twitterに投稿してくださった文章がこちら

「傷ついた過去も輝くためのステップですね!去年はスタステが中止になってしまって辛い思いをした方も沢山いらっしゃったと思います。ですが、今回こうしてキラキラしたスタステの時間を皆さんと共有できて、幸せでした!感謝感激雨霰でござる!」(新田杏樹さんtwitterより)


私が忍推しであるという贔屓目はあるが、それでも私はこの言葉に本当に救われた。

あの時、未知のウイルスとの戦いは始まったばかりで、3rd LIVEは中止という選択を取らざるを得なかった。それでも、辛かった。ドームで、アイドルたちが輝く姿を見たかった。他のライブとは違ってたくさん開催のチャンスがあるわけではないスタステが中止になってしまったことは、本当に心苦しかった。

でも、エンタメは不要不急だと思われがちで、大変な思いをしながら最前線で戦っている多くの方々の苦しみに比べれば、些細な、口に出しづらい苦しみだった。ご時世だから仕方ないか、と片付けたまま胸の奥の突っ掛かりは取れていなかった。

そして、やっと開催にこぎつけ、制限の多い中行われた今回のスタステ。

スタステが中止になったことを、生きる糧にしていたアイドルたちの輝きに出会えなかったことを、悲しんでいいんだよ、と肯定されたような気がした。

本当に本当に嬉しかった。同時に苦い思い出が溢れだした。そして、『大好きな「仙石忍」に声を当ててくれるのが「新田杏樹さん」でよかった』と心から思った。

まだまだ油断は許されない状況下ではあるが、これからもルールとマナーを守って、現場の喜びを享受したいと強く感じた。

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