スマホ向けインディーゲームのおすすめ
スマホのゲームといえばソーシャルゲームの印象が強いが、作家性の強いインディーゲームも作られている。この記事ではその中から遊んで面白かったものをご紹介。指一本で遊べるシステムはスマホならでは。
Sphere Knight(iOS/Android)
シンプル操作で本格派のアクションゲーム。球体の騎士スフィアナイトをフリックで転がして体当たりで敵を倒す。画面は一画面固定かつドット絵とレトロ調で、それに合わせた音楽がいい。
ソウルシリーズの影響がうかがえるダークなシナリオも魅力のひとつ。手に入れた遺物から残留思念を読み取れば、永遠の夜に閉ざされたレブラリア王国崩壊の謎に迫れるかもしれない。アーケード的なアクションをがっつり楽しみたい人におすすめ。SoundCloudではサントラのクロスフェードデモが公開されている。
FallingGirl(iOS/Android, PC)
敵を倒して加速しながらゴールまで到達するタイムを競うアーケードライクなアクションゲーム(ライフ制エンドレスモードもある)。操作は左右移動と攻撃のみでカジュアルに遊べる。ルールはシンプルだが事前の予測が大事で、気がつくともう1プレイしている中毒性がある。
当たり判定や技の持続時間などに納得感があり、アクションゲームのツボを押さえた美しいゲームになっている。ボーナスアイテムの風船が微妙に左右に動いているところなどからクラシックゲームに対する愛が伝わってくる。レトロな音楽とかわいいドット絵もまた魅力の一つ。
Super Glitter Rush(iOS/Android, Steam)
シンプルな画面構成とポップなデザインが特徴的な変則弾幕シューティング。こちらのショットが敵弾を巻き込むのが特徴で、大量の弾幕を避けるよりむしろ引きつけて撃ち返す。なかばアクションゲームのような手触りで誰でも気軽に遊ぶことができる。一方でショットにはエネルギーの制限があるので、精確な一撃を叩き込むことで大ダメージ+エネルギー回復を狙う奥深さもある。
また、敵も味方も弾幕すらもかわいくデザインされているのが大きな特徴。”ポップでキュート”がそのまま形になったようなかわいさで、ノリのいいチップチューンと合わさってとにかく楽しくなってしまうゲームだ。
MeltLand(iOS/Android)
とろりとしたフィールドを持ち上げることで水滴をゴールまで導くアクションパズル。間接的な操作で起伏を乗り越える独特の遊びがもどかしくも面白い。そしてそれを支えるのが艶やかなステージと弾力ある水滴の表現。神秘的な音楽も合わさって非常に美しい。
技術デモのような美しい映像表現が核心だが、高度な技術でありながら触ってみればすぐに分かる・誰にでも遊べるゲームになっているのがすごい。作者Masataka HakozakiさんのLinktreeからは他の作品も見ることができる。Google Indie Games Festival 2019のTop3を入賞作。
Recoil Gunner(iOS/Android, PC)
ショットの反動で移動するローグライクな全方位シューティング。引っ張ってチャージ、離すとショットという直感的な操作で、レベルアップ時のパワーアップ(ランダムに選ばれた3つから一つを選ぶ)を活用して可能な限りスコアを稼ぐアーケードライクな作り。
ポイントはショットの反動で動くこと。敵を倒すためにショットを撃つのだけど、反動で敵弾に当たらないようにしないと、というジレンマが面白い。独特の操作を使いこなせるようになると気持ちいい。SFの世界観にあった4つ打ちテクノサウンドも魅力。
TIME LOCKER(iOS/Android)
独創的なルールとデザインで話題になったカジュアルシューティング。フリックすると移動しながらショットを撃つが、止まっている間は敵も動かない。画面には常に敵の大群が横切っているので、どう動いてスコアを稼ぐかを半リアルタイムな時間の中で考える。ただし後ろから迫ってくる虚無だけはリアルタイムなのでバランスが大事。
ローポリで描かれた動物と白地にグリッドの背景が幾何学的でユニークなデザイン。ポコポコいうSEと抽象的な動物たちがあえてBGMを排した独特の作りと合わさって黙々とやり続けてしまう魅力がある。
時効1分の世界(Android, PC)
1分以内に現場を調査してホシを挙げるポップでハイスピードな推理ゲーム。マス目に区切られたステージの任意の箇所を調査、手掛かりを見つけると身長や体格などの特徴が少しだけ明かされる(具体的にはピクトグラムのマスクが一部はがれる)。
論理的な推理で犯人を絞り込んでいくほか、慣れると部分的な特徴である程度推測ができるようになるのが面白い。女の子のファッションや大胆な画面構成、おしゃれな音楽などポップに統一されたデザインも魅力。
カタストロフィレストラン(iOS/Android)
終末世界で人々に料理をふるまうスマホ用アクションアドベンチャー。シェフの手にかかれば逃げだすニンジンも野生の電子レンジも激うま料理へと変貌する。あまりの美味しさで口走る料理漫画のような謎の誉め言葉が面白い。
料理=アクションパートはシンプルで遊びやすいが多彩な内容。ドット絵で表現されるいろんな種族のお客さんや、常識が行方不明な終末トークが楽しい。そして何より作品全体にあふれる優しさがプレイヤーを穏やかな気持ちにさせてくれる。公式サイトはこちら。
ファントムローズ スカーレット(iOS/Android, Steam)
深紅のイラストレーションが際立つローグライクカードゲーム。道中カードを入手/売却しながらデッキを構築していくタイプのゲームで、ランダム性を排した攻撃とガードの数値で体力を削り合う1対1のRPG戦闘はSlay the Spire 以来のそれ。左から順に実行されるカードスロットとカードごとのクールタイムに特徴がある。
ストイックなゲームプレイもさることながら、本作の魅力はやはりゴシックの雰囲気漂うイラスト。イベントCGやダンジョンで出会う新キャラがプレイのモチベーションにつながっている。作中流れ続ける荘厳なピアノ曲も印象的。続編のサファイアも発表された。
まつろぱれっと(iOS/Android)
呪いの絵画に描かれた少女と過ごすホラーアドベンチャー。少女の機嫌を損ねないようにして未完の絵画に色を加えていく。闇に閉ざされた屋敷を探索し、部屋に残された物たちからヒントを探ろう。一日でも長くこの命が永らえるように。
ホラーゲームではあるが恐怖がメインではないジャンルホラー。どことなくコミカルな「死に様」を集めるのが楽しい。ゲームを進めると時々携帯に謎のメッセージが届き、少しずつ謎が明かされていく。誰一人知ることのなかった真相に迫っていくと、いつの間にかこの屋敷から離れられなくなっているかもしれない。
Strange Telephone(iOS/Android, Steam, Nintendo Switch)
ゲームはジルという名の少女が謎の世界で目覚めるところから始まる。傍らには電話機の姿をした相棒グラハム。電話番号から生成される奇妙な異世界を探索して、この世界から脱出する手立てを探そう。
不条理だけどどこか可愛いドット絵が本作の魅力。不思議な世界を見て回るのが楽しく、ちょっとしたアニメーションもまた良い。マップが小さく作られているので気軽に遊ぶことができる。少しずつ情報を集めていくと何かが見えてくるかも。デベロッパーHZ3 Softwareの公式サイトはこちら。
Mooseman(日本語非対応だがプレイ可能)(iOS/Android, Steam)
北欧の少数民族フィン・ウゴル系民族の神話に取材したアドベンチャーゲーム。あなたは「Mooseman」となり、その力で隠れたものを見つけ出し、神話の世界を旅していく。神秘的なシンボルに囲まれた森を歩いていけば、古の神話に語られた出来事があなたを別天地へと導くだろう。
ゲームとしてはゆったり歩いてちょっとしたパズルを解く内容。神話を解説した文章は日本語非対応だが、そこを飛ばしても鬱蒼とした森の陰や木々のざわめきから異世界を体で感じることができる。
ふしぎの森でコーヒーを(iOS/Android)
いつの間にか迷い込んでいた森でゆったりとコーヒーを楽しむ短編アドベンチャーゲーム。システムはいわゆる「放置ゲー」だがアドベンチャーゲームの感覚でプレイできる。収穫した豆でおいしいコーヒーを淹れてもいいし、ストーリーをアンロックしてお話の続きを読んでもいい。
システムを説明すればこのようになるが、鈴虫の声や焚火の音を聞きながらぼんやり考え事でもしていると、いつもと違った時間を過ごせる。小説のような落ち着いた文章やインテリア(エクステリア?)のカスタマイズもまた魅力。大人の主人公にふさわしい、ささやかで少し不思議な物語。
霜夜ゆく(iOS/Android)
SF小説の一ジャンル「方程式もの」をテーマにしたローグライクアドベンチャー。宇宙を航行中の緊急艇は忍び込んだ少女のために過積載となり、何かを捨てなければならなくなった。AIは少女の投棄を提案するが……。
船内の物資を厳選し、限られた時間の中で効率よく重量を減らすのが目的。繰り返しプレイして最適解を導き出そう。試行錯誤して自分なりの答えを探す歯ごたえあるバランスが面白い。
すっきりしたデザインと時折かかる音楽が洗練されていて、マニュアルに記載されている計算式からも理知的な雰囲気がただよう。一方で少女のアニメーションや全アイテムに個別に用意されたコメントが可愛く、乾いたユーモアも面白い。記憶を失った主人公が辿り着く真実とは。
小惑星の教室(iOS/Android)
キャラクターとしてデザインされた小惑星からいろんな知識を学べるSF短編ノベルゲーム。気候変動によって通常の生活が困難になった2070年代、主人公は人類が建設したスフィア「たま東京」でAI「たまこ」に導かれ、小惑星について知る旅に出る。
テキストがとても読みやすく、まずはSFノベルとしてすっと物語世界に入っていける。そして本作の魅力はやはり擬人化された小惑星たち。個性的な小惑星がかわいく、色んな知識を教えてもらうとデザインの意図にも気づけてさらに楽しい。散りばめられた宇宙関連の知識や物語全体の流れから、壮大なスケールの宇宙に思いを馳せる宇宙・科学愛あふれる一作。公式サイトはこちら。