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ニンジャスレイヤーTRPGリプレイ「フェイスフル・アサルト」その1

これはなに?

1人~複数人用テーブルトーク・ロールプレイングゲーム「ニンジャスレイヤーTRPG」のシナリオをプレイしたもののリプレイ風小説です。「ニンジャスレイヤーTRPGってなに?どうやって遊ぶの?」と思われた方はこちらをご参照ください。

登場人物紹介
オプレション:ソウカイ・ニンジャ。ヘンゲヨーカイ・ジツの使い手。
スラップスライサー:現地でスカウトされたニンジャ。カタナを振り回して物を斬るのが好き。
ファイヤトンボ:現地でスカウトされたニンジャ。カトン・ジツで物を焼き払うのが好き。

前回までのあらすじ
タノシイ・ビーチにバイオ海産物が跳梁跋扈!懲罰人事としてこれの始末に放り込まれたソウカイヤのニンジャ「オプレション」は、偶然迷い込んだ女ニンジャや現地徴用ニンジャ、別口でビーチ清掃を命じられていた女ニンジャと組んでこれの打倒を目指す!当面の課題は……。

「カネがない!」

「ふわふわ民宿」に悲鳴めいた叫びがこだました。

◆オプレション (種別:ニンジャ)
カラテ       3    体力        3
ニューロン     4    精神力       4
ワザマエ      4    脚力        2/N
ジツ        2    万札        0

攻撃/射撃/機先/電脳  3/4/4/4
回避/精密/側転/発動  4/4/4/6

◇装備や特記事項  
 『☆ヘンゲヨーカイ・ジツLV2』

タノシイ・ビーチ沿岸に突如大量発生したバイオシャークを駆除すべくソウカイヤはニンジャを一人送り込んだ。それがオプレションだ。しかしそれ以降支援らしいものは特になく、物資……特にカネの不足は深刻であった。

「ホホーッ!それはことだぜオプレション=サン!」「ああ、ことなんだよ……」「ヒヒヒーッ!俺にはそういう難しいことはまるでわからないぜ!」「俺だって正直わからない……」

慣れないやりくりに頭を悩ませているオプレションと帳簿を覗き込んでいる二人のニンジャさえ現地で徴用したソウカイヤとは無関係の通り魔なのだ。この二人を合わせて合計四人もニンジャを確保できたことさえ奇跡に近く、かといってこれ以上の補充は望めない。

ふわふわ民宿はソウカイヤ傘下のネコソギ・ファンドが運営する宿泊施設だが、ソウカイ・ニンジャ相手であろうがその宿泊費に慈悲はない。食費生活費等の雑費がいよいよ危険生物討伐手当を上回ってしまえば、いよいよビーチ警護すら罷免されてカニ漁船送りだろう。

「駆除のペースが発生する数に見合っていないというか、以前よりも連中の数が増えているというか……そもそもこれに終わりは来るのだろうか、俺は生涯をビーチで終えてしまうのではないだろうか?うーん……」

資金繰りの合間に天井を眺めてはブツブツと答えの出ない独り言を垂れ流すソウカイ・ニンジャの背後をそっと去り、元通り魔ニンジャ二人は夜のビーチへと続く小道へと出た。

「なんとかしてやりてえよなあ」

◆スラップスライサー (種別:ニンジャ)
カラテ       2    体力        2
ニューロン     2    精神力       2
ワザマエ      4    脚力        2/H
ジツ        0    万札        0

攻撃/射撃/機先/電脳  2/4/2/2
回避/精密/側転/発動  4/4/4/-

◇装備や特記事項  
 『◉滅多斬り』

元通り魔ニンジャの一人、カタナを所在なさげに振り回しているスラップスライサーはオプレションとのイッキウチに敗れて以来ふわふわ民宿に泊まりこんでいるニンジャだ。

彼は無秩序に暴力を振るうだけだった己を叩きのめし害獣駆除業者「ソウカイヤ」へと社会復帰させてくれたオプレションへ少なからず恩義を感じている。

「ああ」

◆ファイヤトンボ (種別:ニンジャ)
カラテ       2    体力        2
ニューロン     2    精神力       2
ワザマエ      4    脚力        2/N
ジツ        3    万札        0

攻撃/射撃/機先/電脳  2/4/2/2
回避/精密/側転/発動  4/4/4/5

◇装備や特記事項
 『☆カトン・ジツLV3』

元通り魔ニンジャの一人、イマジナリー放火トレーニングを行いながら高台のホテルを眺めているファイヤトンボはオプレションに同行していた女ニンジャとのイッキウチに敗れて以来ふわふわ民宿に泊まりこんでいるニンジャだ。

彼も無秩序に火を放つだけだった己に観光コンサルタント企業「ソウカイヤ」で合法的放火の道を開拓してくれたオプレションへ少なからず恩義を感じている。

「聞いたかよ、これぐらいの時間になると出るらしいぜ」「出るらしいな」「「バイオズワイガニが」」

バイオズワイガニ、キチン質の強固な装甲で身を包んだ驚異的バイオ生物。巨大なハサミに捉えられれば、漁船さえも簡単に両断されるという危険な存在だ。

しかし、危険に見合ったリターンもある。死後は全身から悪臭を放ち事後処理さえも実入りのないバイオシャークと違い、殻に包まれ引き締まったその身は大変美味だというのだ。

タノシイ・ビーチは海洋環境保全に各メガコーポが力を入れていることもあり、野生のバイオ生物に見られる得体の知れない毒素濃縮などもほとんどないと見ていいだろう。つまり、カネになるに違いない。

「オプレション=サンはまだ忙しいだろうからな」「あの二人は」「帰ってこねえな」「やるか、俺たちで!」「ホホーッ!」「ヒヒヒーッ!」

タノシイ・ビーチ!

◆バイオシャーク (種別:バイオ生物/海産物)
カラテ       6    体力        6
ニューロン     3    精神力       3
ワザマエ      3    脚力        3(水中8)/-
ジツ        -    万札        1

攻撃/射撃/機先/電脳  6/-/3/-

◇装備や特記事項  
『喰らい付き』:
 バイオシャークの『近接攻撃』は、ダメージ2である。

『水中高速移動』:
 水中から移動を開始したバイオシャークは、自動的に『連続側転』に成功したかのようにみなされ、
 最大8マスまでのナナメ移動ができるだけでなく、敵キャラや障害物の上を通過することができる。
 この移動後の『近接攻撃』では、敵に体当たりを食らわせて噛み付くため、一時的に『連続攻撃2』を得る。
 『連続側転』ではないため、移動後の行動に対する判定難易度+1は適用されない。
 また、この移動によって陸上に飛び出してもかまわない(このターンのうちは移動力は落ちない)。
 陸上で移動を終了した場合でも、『水中高速移動』後であれば一時的に『連続攻撃2』を得る。
 陸上から移動を開始したバイオシャークは、飛び跳ねることしかできず、2マスの通常移動しか行えない。
 上陸して浜辺の生物を捕食することは、バイオシャークにとって日常茶飯事であり、ためらわない。

浅瀬に二人が足を踏み入れるや否や、「ゴアオオオオン!」唸り声を上げながら現れたのはバイオシャーク!「ホホーッ!お呼びじゃねえぜ!」「ヒヒヒーッ!バイオ害獣水産物を燃やしたい!」

「ホホーッ!」「アバーッ!」飛びかかるバイオシャークの牙を凌ぎ、スラップスライサーの反撃が脳天を割る!「ヒヒヒーッ!」ひるんだバイオシャークにガソリンをぶちまけ、ファイヤトンボがカトンを放つ!「アババーッ!」瞬殺!

「肩慣らしにもならねえぜ」「案外俺たちだけでいけるかもな」弛緩したアトモスフィアが漂う中「ゴアオオオオン!」またもや現れたのはバイオシャーク!「ホホーッ!てめえもナマス重点!!」「ヒヒヒーッ!グリルにしたい!!」

その時であった!

◆バイオズワイガニ (種別:バイオ生物/海産物)
カラテ       6    体力        8
ニューロン     1    精神力       1
ワザマエ      2    脚力        3(水中8)/-
ジツ        -    万札        3

攻撃/射撃/機先/電脳  6/-/1/-

◇装備や特記事項  
『ハサミ攻撃』:バイオズワイガニは二本の巨大なハサミで『連続攻撃2』を仕掛けてくる。
 この攻撃はそれぞれ『ダメージ1』であり、『近接攻撃リーチ+1』と『拘束』ルールがあてはまる。
 またこの攻撃時に出目6,6が出た場合、『サツバツ!』の『出目5:両腕切断』効果をもたらす。

『炎への恐怖』:カトン・ジツや火炎放射器などによってダメージを1以上受けた場合、
 そのバイオズワイガニは戦闘終了まであらゆる行動の難易度が+1されてしまう。

『異質な精神』:
 このルールを持つバイオ生物には、「カナシバリ・ジツ」などの精神攻撃は作用しない
 (毒などによる物理的な【精神力】ダメージは例外である)。

「シュシューッ!」砂浜をかき分け、二人の背後から巨大なハサミが飛び出したのは!

「イヤーッ!」しかし、これを新たな乱入者がインタラプト!「お前らこんなところで何やってる!」「ホホーッ!オプレション=サン!」「ヒヒヒーッ!バレちまったぜ!」

バイオシャークと……バイオズワイガニ!この二人だけで挑むつもりだったのか!オプレションは状況判断した。(ニンジャが三人……いけるか!?)タノシイ・ビーチに繁茂するバイオ海産物の総数は全く以て不確かだ。これぐらいは対処できなければ、この先の見通しも立たないだろう。

「仕方ない、やるぞ!」「ホホーッ!」「ヒヒヒーッ!」

「ナムアミダ、ブッダ!aghhhh!」オプレションはカマキリめいた怪生物にヘンゲすると、バイオシャークとぶつかり合い激しいイッキウチを繰り広げる!「ホホーッ」「ヒヒヒーッ」「引いてないで援護してくれ!」

「ヒヒヒーッ!カニもろとも焼き払ってやりたい!」カトン・ジツ!「アババーッ!」バイオシャーク焼殺、しかしバイオズワイガニは健在!「ホホーッ!なんて打たれ強さだ!」「だがよくやったファイヤトンボ=サン!もう一度カトン・ジツだ!!」「もう出ません」「そうなんだ」

「シュシューッ!」「グワーッ!」力尽きたファイヤトンボへバイオズワイガニのハサミが伸びる。カニキャッチ!「ムン」気絶!「ファイヤトンボ=サン!」「ホホーッ!このままじゃ真っ二つだぜ!」「させるか!」

「ホホーッ!」スラップスライサーのカタナが外殻にヒビを入れる!「aghhhhh!」畳みかけるようにオプレションの鎌がファイアトンボをキャッチしたままのバイオズワイガニ前腕を切断!「アババーッ!」鮮血噴き出す傷口へ鎌をねじ込み、臓腑をかき回す!バイオズワイガニゴア死!

ふわふわ民宿!

「なんだってお前たちは無茶ばかりするんだ……」「ホホーッ!バイオ海産物のゴア死体を見たかったんだぜ」「ヒヒヒーッ!おかげさまで存分に燃やせたぜ」「まったく」

まるで悪びれない二人の元通り魔ニンジャにオプレションは閉口するしかなかったが、バイオズワイガニの脚はそこそこの値で売れた。当面の宿代にはなるだろう。

「実際、ジリ貧だな……どこかにいい儲け話でもないものか」「ドーモ、戻りました!」ッターン!フスマを勢いよく開けて現れたのは小柄な女ニンジャと、彼女に米俵めいて抱えられたコーカソイドの女ニンジャだ。

「ポイズントゥース=サン、ベンタブラック=サン!三日間も音信不通でいったいどこに」「それがですね……タノシイ・ビーチからここまでちょっと道に迷ってしまいまして」一本道で迷子。オプレションはベンタブラックに視線をやり、ベンタブラックも申し訳なさそうに眉をしかめた。

「私たちは気づけば謎めいたダンジョンへと突入してしまい」「謎めいたダンジョンへと突入」「このようなものを持って帰りました」ドサリ、とポイズントゥースがチャブへ乗せたフロシキには、シンピテキを感じさせるジュエル。

「何がどうなってそうなったのか全く分からないが……」これはチャンスかもしれない。「ビーチの駆除を続けながら、そのダンジョンとやらを攻略するのはアリだな。カネさえあれば装備だって整う。ポイズントゥース=サン!そのダンジョンへの道はわかるだろうか」「ええ、私についてきてください!」

かくしてオプレションとポイズントゥースは消息を絶った。


つづく!つづく?

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