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TMK マナビノバ#3

 終業後の管理されていない自己研鑽の場「マナビノバ」。

 今回で3回目の開催。必ず継続させる。その思いだけ。

 こんなコロナの中でも、新しいことをやってみようと思い、今回は、フェイスブックのライブ配信機能を使って実施してみた。

 前回、Youtubeで配信をした。初めての試みでもあり動画を撮影するのに結構なパワーが必要であったことと、Youtubeを40min近く見るのは正直しんどい感じが私の中にはある。しかし、配信側として時間短縮は難しい。

 コンテンツの内容短縮とかそんな意味ではなく、「ある程度の長い時間がこの場には必要」だと思っているからだ。

 色々考えた結果、自分は、ライブ感が好きなタイプであるので、ライブ配信に拘ってみようと思い、お友達のやっていたフェイスブックでのライブ配信を使って、3回目のマナビノバを開始した。

アフォーダンス

 人間の「行動」とは、生活体と環境の相互作用で生じ、全ての「行動」を自分の意思で決めているようだが、実際は、環境から多くの刺激を受けている。

 前回は、「言葉」が「行動」に与える影響の話をした。

 今回は、環境が動物(人間)に与える意味、アフォーダンスについて。

 アフォーダンスという言葉は、〜できる、〜する余地がある、〜を提供するという動詞のアフォードから造られている。

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 例えば、この上の写真。素敵ですね。

 階段に注目してみてください。植木が置かれてます。看板みたいなものも置かれてます。

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 例えば、このドアノブ。シューズがぶら下がっています。

アフォーダンス、動物の行動を支える環境の「意味や価値」のこと。

 私たちが、何らかの行為を環境の中で行うとき、その行為を可能にする環境側の「傾向性」のことである。

 我々は、実環境で行動するために何を知覚しているのか、アフォーダンスを知覚していることになる。

 冒頭に、環境から多くの刺激を受けている話をしたが、単純な刺激ではなく「情報」を知覚している。

感覚と知覚

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 感覚というのは、刺激エネルギーであって、自身の感覚器に対する刺激である。暖かいとか冷たいとか。

 知覚というのは、刺激そのものではなく、情報である。ガラスであるとか。

 写真の水の注がれたグラス。

 グラスに触れる、その刺激(感覚)から、それはグラスであると情報処理されているだろうか?そうではなく、刺激(感覚)とは独立に「情報を知覚」してはいないだろうか。

視覚

 階段の写真の例をもう一度考えてみる。網膜に映る情報(階段)を解釈して「植木を置く」。もちろん、階段としても使っているであろう。

 これは、網膜に映る情報を脳が解釈しているのではなく、環境側がすでに意味を持っていて、人間が価値を発見していることになる。

またぎとくぐり

 走り高跳びで使用するバーを見たとき、「またぐ」か「くぐる」か。

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 長身群と短身群はともに,自己の脚の長さの1,07倍の高さにある棒を“またぎ行為”と“くぐり行為”の知覚的境界としており,行為者は自己の行為遂行能力を参照した適応的な情報,すなわち,アフォーダンスを知覚していることが示された。

出典:三嶋博之(1994).”またぎ”と”くぐり”のアフォーダンス知覚.The Japanese Journal of Psychology 1994. Vol. 64. No. 6. 469-475.

  これをうまく表現している論文があったため以下引用する。

 外部環境(超えるべき高さ)が提供している情報に対してヒトは主に視覚を通して情報をキャッチし、自己が知覚している身体のサイズ、体力、過去の経験値などの内部環境とを適合させて行動を起こしていく過程を示している。
出典:小野晃・阿久津高伸ほか(2019).高齢者における跨ぎ動作のアフォーダンス知覚-視覚条件の影響-.形態・機能 第17巻第2号.73-78.

 アフォーダンスというのは、動物の行動を支える環境の「意味や価値」のこと。

 「何か座れそうな物体がある」

 それは、座れるし、机としても使えるし、物を乗せることもできるし、ジャッキーチェンのように、武器にすることもできる、防具にすることもできる、訓練の道具にもなる。このように、色々な意味(アフォーダンス)が存在しているのだ。これを人間がそのとき、何をしたいかで瞬時に意味や価値を発見しているのだ。

シグニファイア

 製品に対して、お客様が意図しない使い方をしてしまうといった失敗は、よくあること。製品に限らず、イベント会場でも、お客様が意図しない動きをすることもよくあること。

 それは、これまで説明してきたように無数のアフォーダンスが存在しているからだ。

 そんなとき、「サイン」を使うことで、お客様を適切な行動へ誘導することができる。

 これは、ドアの例が一番理解しやすいだろう。

 ドアを開くとき、押して開けるドアを引いてしまったり、引いて開けるドアを押してしまったり。

 この扉に何か「サイン」を設ければ、適切な行動に誘導することができる。それがシグニファイア。

 我々モノづくりの世界の人間は、この2つをしっかりと理解する必要があることと、普段から視野に入るモノ、手に触れるモノに対して、そのような感覚で触れて欲しい。

 重要度の高まるUI、UX。何か気づきがあることを願って。

フェイスブックライブを使ってみて

 反応が、チャットなので、静かにやってくる。話をしているこっちとしては、顔も見えないし、反応もない。非常に孤独だ。

 しかし、話が終わってから色々な感想をチャットで共有する時間は、非常に有意義で楽しかった。結局1時間20分くらい話していた。

 実際、この話は、私の失敗談を交えて話をしている。その当時は、私も若く、アフォーダンスやシグニファイアなどという言葉は知らなかった。

 今でも、なぜそうなったのか真因は分かっていないが、恐らくは、取り付け角度で、上側を押したくなる、下側を押したくなるといった境界があるのではないかと思っている。

 クレームがなくなったから終わりではなく、もっと深く研究できるテーマもある。そのための技術員であって、もっとそれらを論文にして社会に還元すべきではないかと自分の思いも伝えさせてもらって、3回目を終えた。

 GW中に、オンライン飲み会開催の話にもなり、ますますマナビノバ盛り上がりそうだ。

最後に 

 僕は、2つ明確に無くしたいと思っていることがある。一つは、ヒューマンエラー、もう1つは、不公平・不平等。

 何が言いたいか。

 今、僕たちは、健常者。今回の話の内容も健常者目線で考える。ではなくて、色々な視点で考えて欲しい。

 以下のリンクは、そう強く思ったきっかけになった出来事。

https://www.buzzfeed.com/jp/hanashimada/greennote

 以上で、第3回目マナビノバの活動報告とする。

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