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マインドワンダリング 論文整理

 私の備忘録、個人的な解釈のため、取り扱いは自己責任。

 私が、いつでも読み返せるようにnoteに転機。

大塚・関口(2016)

『外的刺激によるマインドワンダリング生起への気づき』

背景・目的

 ・現在遂行中の作業や課題から、それと無関係な思考へと注意が移る現象をマインドワンダリングと言う(関口,2014;smallwood&Schooler,2006).
 ・マインドワンダリングは、覚醒中の30~50%の時間で生じる(Killingsworth&Gilbert,2010).
 ・持続的注意課題の成績低下、単語の記銘の失敗、読文時の状況モデル構築の失敗などを導く(smallwood,2013).

⇒内的思考への注意が向くことで、遂行中の課題から注意が切り離される(Smallwood,2013).
 ・マインドワンダリングの抑制には,課題に注意を向け続けることでその生起を未然に防ぐ順向的な認知制御と,それが生起した際にその思考を止める反応的な認知制御が関わる(Smallwood).
 ・しかし,マインドワンダリングの生起は無意図的,自動的であるため,注意だけでは完全に防ぐことは難しい,そこで,反応的制御による抑制が重要になる.現在経験中の意識状態への気づき.

目的
 ・外的刺激の呈示によるマインドワンダリングの気づきが生じるか

結果
 ・外的刺激が呈示されることでマインドワンダリングへの気づきが誘発された、外的刺激の呈示が意識に上がる必要もない。

実験概要
実験1
 ・SARTを参加者に課し,閾上キュー呈示、閾下キュー呈示、キュー呈示なしでのマインドワンダリング報告数を調査
マインドワンダリングの生起に気づいたときに、その都度キー押しで報告(自己捕捉法)

結果
 ・閾上、閾下キューともに、キューなし条件と比較してマインドワンダリング報告数が多い
 =仮説である外的刺激の入力がマインドワンダリングへの気づきを促すことを支持

実験2
 ・外的刺激(キュー)の入力がマインドワンダリングへの気づきを促進したのではなく、キューをきっかけにマインドワンダリングが生起した可能性があるため、以下で検証
 ・プリーブ捕捉法を用い、クリティカル試行の実施直後にプローブ画面を呈示し、自発的な気づきによらない形でマインドワンダリングの生起を調査

結果
 ・キュー条件間で,マインドワンダリングの報告数の違いは見られなかった
=キューの呈示がマインドワンダリングの生起を促さないことを示している

大塚

『外的刺激がもたらすマインドワンダリングのメタ覚知』

背景・目的
 ・マインドワンダリングとは、意図せず本来の課題とは無関係なことを考える現象
 ・マインドワンダリングにふと気づくことをメタ覚知
 ・メタ覚知が生じる仕組みに関してSchoolerは、外的な刺激をきっかけにはっと気づく可能性を指摘し、大塚が実際にこれを検討し、キュー刺激呈示後にマインドワンダリングに気づくことを示した
 ・マインドワンダリングへの注意の焦点化を妨害することでマインドワンダリングへのメタ覚知が生じると推測
 ・・・今回、これを検証する
 ・目立つ刺激による注意の焦点化への妨害は、反応の遅延に現れる(Lavie et al.,2004)、もし外的刺激による注意の焦点化への妨害がマインドワンダリングのメタ覚知を促すなら、キューによりマインドワンダリングに気づいたときでのみ、反応が遅れると予想

結果
 ・キューによりマインドワンダリングに気づいた場合、反応の遅延がしていた
  したがって、外的刺激による注意の焦点化への妨害がマインドワンダリングのメタ覚知を促した可能性を示している

実験概要
 キュー呈示の前後(呈示直前/呈示直後)の反応時間を比較
 視空間手がかり課題

森田・河崎(2012)『大学の授業場面におけるマインドワンダリングに関する模索的検討』
背景・目的
 ・授業場面において生起するマインドワンダリングに関する研究は、ほとんどなされていない
 ・授業場面において学習者が経験するマインドワンダリングの実態については十分あきらかにされていない
 ⇒実際の授業場面において生起するマインドワンダリングの実態を明らかにすることを目的に検索的な検討を行なう

結果
 ・授業場面で89%もの対象者がマインドワンダリングを経験しており、60分間に1回以上のマインドワンダリングを経験する知見を得た。

実験概要
 ・授業開始から60分経過後に調査用紙を配布し、マインドワンダリングについて説明。その後、調査用紙へ記入
 質問内容としては、マインドワンダリングの経験、経験時期、内容と頻度等


飯島・丹野(2012)

認知的負荷がマインドワンダリングの時間方向に及ぼす影響

目的
 ・認知的に負荷がない課題では過去の思考よりも未来の思考が多く、思考の展望的なバイアスが示されている
 ・認知的負荷が未来の思考を抑制し、過去の思考は、認知的負荷の影響を受けていない
 ・未来の思考は過去の思考よりも認知資源を必要とするが、マインドワンダリングの時間方向と認知資源の関係を検討した研究は他にない
 ⇒認知的に負荷のかかる課題中の課題無関連思考を測定し、認知的負荷がマインドワンダリングの時間方向に及ぼす影響を検討することを目的とする

結果
 ・未来の思考は認知的負荷が増すにつれて生起確率が低下、過去の思考では負荷の高い2バック条件のみ低下
 ・2バック条件における過去・未来の思考低下は、認知的負荷によりマインドワンダリングそのものが阻害されたことと考えられる
 ・1バック条件では、マインドワンダリングそのものには影響を与えない程度の負荷であった

服部・池田(2016)

『講義中のマインドワンダリングに対する意図的抑制とネガティブな気分の関係』

目的
 ・マインドワンダリングの発生を抑えるための意図的な努力を行なう個人が存在する
 ・講義内容の理解を妨げるマインドワンダリングを意図的に抑制しようとする個人が存在し、講義中に何らかの原因によって認知資源が枯渇すれば、意図的な抑制は困難になり、マインドワンダリングの発生を抑えられなくなる
 ・認知資源の枯渇は、二重課題状況やタイムプレッシャーなどの状況的要因に加え、行為者のネガティブな気分によっても生じるといわれている
 ・認知資源の枯渇を導く要因のひとつとして、講義中に経験されるネガティブな気分に注目し、マインドワンダリングとの関連について検討をおこなう
 ・ネガティブな気分が弱い場合は、マインドワンダリングの生じにくくなり、ネガティブな気分強い場合は、認知資源の枯渇が生じると考えられるため、マインドワンダリングが生じやすくなると予測される

結果
 ・講義とは関係ない自己に関わる内容の思考が頻繁に生じている
 ・ネガティブな気分が認知資源の枯渇を生じ、認知資源を必要とする実行過程の機能を低下させたために、講義中のマインドワンダリングを抑制されなくなったと考えられる
 ・講義内容の理解に対する動機付けの低さは、講義に無関係なマインドワンダリングを意図的に抑制する努力を弱めると予測される

実験概要
 ・質問用紙

山岡・湯川(2016)

『マインドワンダリングが創造的な問題解決を増進する』

背景・目的
 ・孵化効果を促進し得る重要な要素としてマインドワンダリングという概念が注目されている
 ・問題解決に取り組んでいるとき、一旦その問題から離れている期間を「あたため期」という
  「あたため期」を経ることで解決が促進される効果を「孵化効果」という(Wallas,1926)
 ・マインドワンダリングは、簡単な課題や熟練した課題など、認知的負荷が低く注意を必要としない課題の最中に頻繁に生じることが明らかになっている(Mason et al.,2007)
・退屈なときや疲れを感じている時にも生じやすい(Kaneet al,.2007)
・近年では、脳が安静状態のときに活性化するといわれているデフォルトモードネットワークとの関連が指摘されている
 ・あたため期に生じるマインドワンダリングは、休憩郡で最も生じやすいことの確認とマインドワンダリングが頻繁に生じている人ほど、創造的な問題解決が増進されるだろうと仮説をたててこれを検討する

結果
 ・休憩郡がマインドワンダリングの生起が高い
 ・柔軟性、希少的独自性について、マインドワンダリング生起が高い群が得点が高かった
 ⇒マインドワンダリングを頻繁にしたほうが、回答のカテゴリーの種類が多く、他の人と重複しにくいまれな回答が多くなることが示された

実験概要
 ・はじめにUTTを行い、あたため期を設け、難しい課題、簡単な課題、何もせずに休憩に分け、思考内容を尋ねるため、ストレス状態質問紙への回答を求め、再度UTTに取り組む

飯島・丹野『心配性者におけるマインドワンダリング』

目的
 ・高不安者は、脅威となる刺激を鋭敏に検出してしまうために、心配の対象となる対象となる刺激を検出しやすい
 ・心配は、個人の内部に生じた内的な認知事象であるので、外的刺激から心配の発生を探るだけでは不十分
 ・外的な注意バイアスに対する研究は多いが、マインドワンダリングについて検討した研究はない

結果
 ・心配性者は、課題の成績などを気にして課題への集中が途切れ難いために、マインドワンダリングの発生が抑えられている

実験概要
 ・質問紙により病理的な心配を測定し、SART課題を行う


紀ノ定・藤井ら

『視覚的―聴覚的注意課題間におけるマインドワンダリングの違い』

目的
 ・従事している課題に対する注意コントロールが失敗することでマインドワンダリングが生起
 ・注意コントロールを左右する要因は、マインドワンダリングの発生にも影響する
 ・外的な刺激に対する注意コントロールは、刺激が呈示されるモダリティにより異なる
  しかし、視覚的な注意資源に対する研究が多い
 ・刺激の呈示モダリティを操作し、マインドワンダリングとの関係を検証した

結果
 ・聴覚的課題では、マインドワンダリング頻度はワーキングメモリの影響をうける
 ・視覚的課題では、マインドワンダリング頻度はワーキングメモリの影響を受けない

実験概要
 ・視覚SART、聴覚SARTと言語性ワーキングメモリ容量を測定するリーディングスパンテスト、視覚性ワーキングメモリ容量を測定するシンメトリースパンテストを実施

吉村・牧岡(2016)

『眼球運動特性を用いたマインドワンダリングの判別』

目的
 ・眼球運動に注目し、マインドワンダリングが生じたことを眼球運動から識別できるか検討

結果
 ・マインドワンダリング中の眼球運動は、課題から目が逸れており、特に右側を見ている状態、ただし、右利きでボタンを右側で押すこととの関係があるのかもしれない
 ・眼球運動での判別の可能性があることが示されたが、今後判別の精度を上げることが必要

実験
 ・アイトラッカーを装着し、認知負荷課題を行い、マインドワンダリング生起は、プローブ報告をさせた

東海・吉崎(2014)

持続的注意課題遂行中におけるマインドワンダリング

目的
 ・経験サンプリング法では、3回に一度思考の逸脱がみられた
 ・Kane et al.は、ワーキングメモリ容量が低い人にマインドワンダリングの報告が多くみられることを明らかし、ワーキングメモリーが低いと課題遂行のための注意を維持することが困難(メモリ不足)となり、課題からの注意の逸脱が生じる
 ・課題が進むについてマインドワンダリングの生起が増加するのは、課題へのなれによって少ない処理資源での遂行が可能となり、課題への注意配分が減少した結果、課題から注意が逸れやすくなったため
 ・課題関連干渉は、on-task,off-taskのどちらに属するかが不明であり、それらの研究報告もない
 ⇒課題関連思考の報告が課題の系列が進むにつれて減少するならば、on-task、増加するならoff-taskとなるのではないかと考え、検証した。

結果
 ・仮説のような結果にはならず、どちらとも断定できない。Smallwood et al.で述べているように、不明瞭な思考といえる


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