見出し画像

タイトルロゴの商標登録について

QUORAで下記のような質問があった。

以前企業のロゴタイプについて解答したことがあったからの問いだと思う。
1つのページで全て小文字とキャピタライズが混在するのはなぜかというこの問は私にとっては興味深く、だれか回答しないかなーっとフォローしていたんだけど誰も答えない。仕方ないから自分で回答した。

この答えは上記QUORAで答えを読んでもらえば良いとして、色々確認しながら書いていると商標登録の話に脱線して来てしまった。そのため、この脱線についてnoteにまとめておきたい。多分ゲームのロゴデザインをしている人には役に立つだろう。

私のデザイナーという経歴の中で、ゲームのロゴタイプ制作はけっこう大きな部分を占めている(主観で多分6%くらい)。そして、ゲームのタイトルロゴはほとんどの場合商標登録をするのです。ゲームのロゴを商標登録する理由は、ゲームというコピーのたやすい製品を法的権利で守るために一番シンプルだったためと聞いている。

めっちゃコピーされたことでも有名なアーケードゲームであるスペースインベーダーがタイトーから発売されたのが1978年。日本でプログラムが著作物として保護されるようになったのは1985年から。そしてプログラムが著作物と認められた後でも、コピー商品への対応として商標違反の方がたやすく訴えやすいためと聞いている。

そしてゲームのタイトルロゴを商標登録をする際には、文字で登録するか、図形で登録するか2種類の方法がある。文字で登録することを標準文字商標による登録という。この標準文字商標による登録の場合は、登録の文字が大文字か小文字かにかかわらず、全ての権利を専有できる。オールキャップス(すべて大文字)で登録しておいて、実際にはキャピタライズ(語の最初のみ大文字であとは小文字)のロゴを作って商品に使っても構わないのです。

これは新商品を作る際にけっこう便利なことです。ネーミングの案を商標調査にかけて無事OKになった(先行事例がないため登録される可能性が高いということ)あと、まだロゴができていない状態でも標準文字商標でなら登録の申請ができます。商標登録には結構時間がかかるし、商品発売は急いでるし、ロゴが大文字か小文字かは決まってないし、となると標準文字商標で行くしかない気がしていた。

あと、この標準文字商標で申請している場合、一度発売した商品のロゴを、その後何かのタイミングでロゴをリニューアルしたいとき、大文字小文字を変更しても特に新しく商標登録はしなくても良いのです。例えば、以前私は2つのシリーズのゲームで片方がオールキャップス、もう片方がすべて小文字のロゴを、大型アップデートにあわせて通常のキャピタライズでそろえた事がある。こういうのも標準文字商標であれば同一のタイトルロゴとして扱われる。もっとも、今調べたら両方ともオールキャップスの標準文字商標で申請しなおされていたんだけどね。

一方で、図形として登録できる図形商標の場合は大文字小文字が固定になります。ロゴに添えられたロゴマークやイラストなどもセットで登録されるので、全体の形状がユニークでそこを真似されたくない場合にはこちらがおすすめです。しかし、当然のこととしてロゴが完成していないと申請できないんだよね。図形登録の場合でも登録した大文字小文字の組み合わせ以外の文字の組み合わせについても一定の抑止効果があります。しかしリニューアル時にロゴの形状をかえるとこの商標登録として無効になってしまうので自由度は制限されているってことになります。

こんなふうにタイトルロゴを作るとき、大文字を使うか、小文字を使うかは、見たときの印象が変わるので、デザイナーにとって自由に変更したいと思うけど商標登録のやり方によって制約があります。そのタイトルが図形商標で登録されていたら変更はできないし、かりに変更した場合は再度商標登録が必要になるかもしれないのです。また、文字だけの場合と、文字以外を含む場合では商標登録の種類が変わってきます。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?