MDFの導出

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はじめに

こんにちはこんばんは。ポーカーディーラー・プレイヤーの"たぴ"と申します。正式表記はひらがなですが、タピオカのたぴで覚えてください。ちなみにタピオカは好きです。
過去にこんな記事を書いていました。よかったら読んでみてください。

ということで今回は、MDFの計算式をAKQ gameを使って導出していきます。

MDF

MDF(Minimum Defense Frequency)とは、日本語に訳すと「最小ディフェンス頻度」と言われるもので、簡単に言うと、このsizeのbetにはこの頻度でcallしましょう、というものです。
Pot sizeを$${P}$$,Bet sizeを$${B}$$として、

$$
\frac{P}{P+B}
$$

で求めることができます。
Potbetに対しては50%の頻度でcallすべきだ、というのがこの計算式から求められるというわけです。
本記事での趣旨は、この計算式になる理由について解説するので、詳しいことは割愛します。

AKQ game

前提となるAKQ gameについて。

  • NLH Heads Upのriverを考える。

  • ボードは22233。

  • OOPはKK、IPはAAorQQを持っていて、お互いにそのrangeであることを知っている。

という状態を考えます。
OOPからcheckかbetを選択しますが、betしたところでAAにcallされてQQにfoldされるだけなのでbetする意味はありません。100%の頻度でcheckを選択します。
IPはAAならばKKにcallさせるためのvalueとして、100%の頻度でbetします。check backしたらもったいないですからね。
QQはKKをfoldさせるためのbluffとしてある程度の頻度でbetします。いわゆる諦めcheckをすることもあります。
これがAKQゲームの概要です。

導出

IPのrangeが、50%でAAを持ち、50%でQQを持っているとします。
OOPのcall頻度を$${c}$$、IPのQQのbet頻度を$${b}$$として、OOPのEVを計算していきます。

まずはIPがAAを持っていた時について。
OOPはcallすると$${-B}$$の損失。foldすると$${\pm 0}$$なので、

$$
-cB + (1-c)0 \\
= -cB
$$

となります。
次にIPがQQを持っていた時について。
OOPはcallすると$${P+B}$$を獲得し、foldすると$${\pm 0}$$です。
IPがcheck backしてくれたなら、$${P}$$を獲得します。よって、

$$
bc(P+B) + b(1-c)0 + (1-b)P \\
=bcP + bcB + P - bP
$$

これが50%ずつでそれぞれあるので、OOPのEVは結果的に、

$$
\frac{1}{2} (-cB + bcP + bcB + P - bP)
$$

であると求まりました。

ここでOOPの目的は、IPのbet頻度によってExproitされないことを目指します。
OOPのEVの$${b}$$について式を整理すると、

$$
\frac{1}{2}(b(cP + cB - P) -cB + P)
$$

この$${b}$$を消すために、$${cP + cB - P = 0}$$となるように$${c}$$を定めれば、Exproitされることを防げます。
よって、

$$
cP + cB - P = 0 \\
c(P+B) - P = 0 \\
c(P+B) = P \\
c = \frac{P}{P+B}
$$

これで、最適なcall頻度が求まり、MDFの計算式と一致しました。

おわりに

川崎のPARADISE CASINOというお店で仲良くなったポーカー仲間の間で開催されてる、ゼミ形式の勉強会で僕の発表としてこれをやったのですが、めちゃくちゃにグダり散らかして悔しかったので、TeX機能も使ってみようということで本記事を作成するに至りました。
今回はOOPのEVからMDFを求めましたが、IPのEVからも同様に求めることができるし、逆にIPの最適なbet頻度も求めることができます。
本記事が面白い、ためになったと感じていただけましたら、スキやX(Twitter)での拡散、お布施など、よろしくお願いします。

ご精読くださいまして、ありがとうございます。

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