法人という言葉

会社を法人と呼び、そこには「人」という文字が入っているが、これは会社の本質を言い当てているようで、実に興味深い。「会社組織」は、ヒト人間と異なる無機質な存在という印象があるが、実は生命を持った人間、生身の人間と実に似通った構造をもつ「存在=being」であるように思う。例えば人間に倫理観や道徳が必要なように、法人にも同様に倫理観や道徳が必要である。これが世に言う「コーポレート・ エシックス」であり、「フィロソフィ」である。


京セラ創業者の稲盛和夫氏が、1967年(昭和42年)の経営方針発表会で「中堅企業への道を目指す」と言う方針を出した。その時に話をした内容が、ある意味、法人の実態や本質をついている。
「中堅企業の世界と、今まで我々が住んできた世界とは全く別のものでなくてはならない。そのためには外部の新しい知識を導入するとともに、若い皆さんのたくましい想像力を期待し、従来のやり方に疑問を持って、新しい力と、新しいやり方を編み出して行かなければ、この壁は破れないと考えます。ただし、ただ1つだけ変わらないものは、京セラ精神です。これは、中堅企業になれば、ますます必要であり、私はこの精神の復興運動、この際、社員の末端にまで徹底を図ろうと思っています。」


これはまるで、子供が小学生から中学生に成長する過程を見ているようだ。「中学生になると、さらなる学力や体力が必要になってくる。しかし変わらないのは、世のため人のために役立つ立派な大人になるという心掛けは、これからも変わらず大切なのだ。中学生になるに際し、このことを今一度、思い出ししっかり自分の中に据えておこう。」このような例えがピタリと合う。このように考えてみると、会社というのは、言い換えて「法人」というのは、「人」と言う文字を使っていることが、何か大きな意味を持っているように思えてならない。

●会社は、社員を家族のように大事に考える
●会社は、社員を大きな愛で育む(思いやりの心で、ときに厳しく)
●会社は、世の中の役に立つ存在を目指す
●会社は、世の中に迷惑をかけないようにしなければならない

会社を「人」と見ることで、そのあるべき姿がイメージしやすく描きやすいように思う。

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