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アイビスサマーダッシュ 2021【予想】

アイビスサマーダッシュ 過去

外枠有利が定説となっている新潟の直千競馬。
開幕週でもその傾向が弱まることはなく、一昨年こそ3番枠のカッパツハッチが好走したが、2番枠に入った2番人気のダイメイプリンセスは6着に沈んだように、人気を集める実力馬でも内外の馬場差は厳しい。

1〜3枠【0.1.0.26】複勝率 3.8%
4〜8枠【5.4.5.41】複勝率 25.5%

斤量では51kgの3歳牝馬が【0.1.1.1】と高い好走率を誇っていることに対して、57kg以上は【0.1.0.3】。
昨年にライオンボスが2着に好走したが、人気馬でも好走は簡単でなく、過去10年まで広げて【0.1.0.9】と5頭の2〜3番人気馬がいたことを考えれば、斤量が与えるテンのダッシュ力への影響は小さくない。
なお、4頭いた56kgの牝馬は【0.0.0.4】

また、現在施行されている中央競馬の重賞で創設から父サンデーサイレンス系の馬が未勝利というレースは他になく、10年以上未勝利という重賞さえ他にはない極めて特殊な適性が要求されるレース。

今年は春の福島開催が中止となり、急遽7週間に渡るロングラン開催となった春の新潟開催。
昭和の時代を思わせる茶色い芝は早くからダメージを受け続けて、特殊な馬場状態での開催だったが、芝の張り替えもしっかり出来たようで、昨日はいきなり1Rの未勝利戦から2歳レコードが記録されると、9Rの芝2400m戦でもレコード。
同じ直千競馬の最終R(1勝クラス)では54秒6の勝ち時計、昨年の勝ち馬ジョーカナチャンの54秒5と僅か0秒1しか違わず、53秒台の高速決着は固いと想定。

今年は3頭の3歳馬が出走を予定しているが、CBC賞でピクシーナイトが2着に好走して、GⅠの安田記念でもシュネルマイスターが3着と、古馬重賞でも差のない勝負をしており、今年は前走が重賞だった馬が3歳のモントライゼとオールアットワンスのみで半数以上の9頭が条件馬(オールアットワンスを除いて)というメンバー構成。
2006年のサチノスイーティー以来15年ぶりの3歳馬の勝利が懸かっている。

直千適性に高速馬場適性を中心に考えたい。


①バカラクイーン(⋯)

初勝利までに6戦、1勝クラス卒業までに13戦。
2勝クラスでも現在までに7戦しており、【1.1.0.2】の直千競馬への適性を評価しても、この最内枠は厳しいレースになりそう。

②モメチョッタ(⋯)

デビューから11戦して勝利を挙げられず、2019年に園田への移籍を経て今春中央に復帰。

1勝クラスを3戦して勝利を挙げられておらず、急遽の格上挑戦での重賞初挑戦は記念出走の感が否めない。
内枠もツキがなく、厳しいレースになりそう。

③ヒロイックアゲン(⋯)

2018年に中央に復帰してからの27戦の内訳は新潟が11戦、福島が8戦、小倉3戦、中山2戦、京都、札幌、東京が各1戦と直線平坦コースを中心に戦績を積んでいる7歳牝馬。

昨秋はルミエールオータムダッシュで格上挑戦ながらリステッド競走で勝利を挙げており、今春も急坂中山
1200mのオーシャンステークスでも4着に健闘。後に函館スプリントステークスを勝つビアンフェとは僅か0秒1差の接戦で、加齢による衰えどころか力をつけてきている印象さえある。

直千競馬は【1.3.1.2】とルミエールオータムダッシュ優勝を含めて適性を示しているだけに、穴で期待したかったが、さすがに2枠3番では厳しいように思う。

④ジュランビル(⋯)

2〜3歳時はファンタジーステークスで0秒3差の3着、フィリーズレビューでの0秒1差の3着と、クラシック戦線でも善戦して桜花賞へも駒を進めた(8着)が、自己条件では長く苦戦が続いており、2勝クラスこそ軽々とクリアしたものの、3勝クラスは在籍17戦。

これまで1200m〜1800mと幅広い距離での好走がある中で初めての直千競馬。1200mの持ち時計1分7秒1はバカラクイーンと並ぶメンバー最速タイ、7〜9月は【2.1.3.1】と夏場を得意としているだけに対応できる可能性は否定しないが、東京→小倉→新潟と中1週の遠征競馬が続きで格上挑戦。

外枠なら穴で一考もあったが、この内枠ではさすがに厳しいレースは避けられないように思う。

⑤リッチクレマチス(⋯)

若い減量騎手による軽い斤量での出走をデビューから積極的に行っており、初勝利が51kgで2勝目が50kg。

2勝クラスへの昇級後は掲示板にさえ載れない厳しい結果が9戦続いており、初勝利を挙げて以降の直千は【0.0.0.3】。
シンガリ負けの大敗を喫した前走の横手特別から格上挑戦での連闘で重賞初挑戦になるが、枠にも恵まれず同厩セピアノーツの帯同馬としての参戦と見られても仕方が無いように思う。

⑥モントライゼ(⋯)

新馬戦こそヨカヨカの2着に後塵を拝したが、2戦目は好スタートからスピードの違いでハナへ立つと、4角手前からスパート開始。直線で一杯に追われる他馬を尻目に馬なりのまま後続を突き放して2着に1.7秒差をつける圧逃劇を披露して勝ち上がった。

連勝を狙った小倉2歳ステークスはメイケイエールの決め手に屈して2着に敗れたが、雨の影響で重馬場となった中で前後半3Fが 33秒9 - 35秒7 のハイペースを番手から運んだ負けて強しの2着。
続く京王杯2歳ステークスでは200mの距離延長にも、しっかりと折り合って、外差し馬場の中を2番手から押し切る横綱相撲での完勝で重賞初勝利。

暮れの朝日杯フューチュリティステークスでは果敢に先頭を奪いにいって1000m通過56秒9の速いペースで引っ張ったが、さすがに最後の1Fはバテてしまった。
それでも目測での1400m通過時点での1分20秒4は、京王杯2歳ステークスでマークした1分21秒8から1秒以上も詰めており、そこからのラスト1Fを約12秒7で踏ん張ったなら悲観する必要のない敗戦。

始動戦のファルコンステークスは中団からスムーズに運べたが、前後半3F 33秒7-35秒0の前傾ラップながら前が有利のトラックバイアスもあって、前の2頭には届かない2馬身半差の3着に完敗。
約3か月ぶりの休み明けで、騎乗したルメール騎手が「太かった」と+2kgの馬体重以上に緩かっただけに本番での巻き返しに期待も懸かったが、出走に必要な賞金を手にしながらNHKマイルカップをパス。

ノーザンファームの使い分け戦略によるGⅠ奪取の夢を諦めることを余儀なくされた出資会員の溜飲を下げるためにも結果が是が非でも欲しい一戦であった前走の葵ステークスは、鞍上にルメール騎手を確保しながら向正面で挟まれる不利に直線でもスムーズさを欠いて悪夢の5着。

0秒2差なら悲観する必要はないが、結果が求められた一戦を落とした代償は大きく、サマースプリントへの参戦で出資会員の溜飲を下げたいところだが、初めて挑戦する直千競馬で内目の6番枠。
2歳時は溢れるスピードに任せて先行するスタイルで好走を続けていたが、今年に入ってから中団〜後方で脚を伸ばす形。

新馬戦からの3戦で道悪をこなすパワーを示しながら1400mを1分20秒5で走破するスピードも兼備の馬場状態は不問でも、この距離では後方からどこまで差を詰められるかのレースになりそう。
このメンバーでも勝ち負けできるだけの力はあるが、経験の差に内めの枠で2番人気なら思い切って消す。

⑦グレイトゲイナー(⋯)

1勝クラス卒業はデビューから14戦目の今春と、やや時間はかかったが、2勝クラスは3戦で突破。
3勝クラスも前走のテレビユー福島賞で昇級初戦からクビ差の2着と目処を立てている。

今回はその前走から中2週で格上挑戦の形での重賞初挑戦となる一戦になるが、直千競馬は初めてながら半姉フクノドリームは2014年の2着馬。血統からも直千適性はありそうで、前々走の蒲郡特別では2F目から10秒6-10秒9-10秒9と10秒台を連続して刻んでの逃げ切りで、上がりも34秒2でまとめる好内容。
本馬の場合は少頭数による入着賞金狙いとは限らない可能性がある。

安定しない戦績が続いた3歳時から精神面が成長し、今年に入って【2.3.1.1】と充実期も感じさせる4歳馬だが、経験の差に加えて枠によるアドバンテージもない中で6番人気なら手を回しづらい。

⑧タマモメイトウ(△)

これまでの3着内好走の7回全てが1200mで、今春の阪神カップも1秒1差の11着に大敗。

適性外の距離も含めて、オープン入りを果たしてから厳しい結果が続いていた中で初めて挑んだ直千競馬は前走の韋駄天ステークス。

後方から進路を探しつつ馬群を縫うようにして鮮やかな勝利を挙げたが、7〜8枠の馬が2〜5着を占める中で比較的内目の3枠6番から差し切った内容は直千への適性があったのだろう。

強烈な向かい風があった分、馬群を縫うように差した形は風除けとして逆に功を奏した感もあるため、過信禁物ではあるが、新潟コース自体は2戦2勝の巧者。
ハンデ戦だった前走から別定戦となって3kgも斤量が増える上に、稍重から開幕週の高速馬場。
前走の再現となると簡単ではないように思う。

⑨トキメキ(⋯)

初勝利を挙げるまでに8戦を要したが、それから馬が自信をつけたのか怒涛の3連勝。

約3か月ぶりのレースだったアクアマリンステークスでも3着に好走して、3勝クラスにも目処を立てたが、壁にぶつかって凡走の連続。

アクアマリンステークスが不良馬場での好走で、前述の3連勝は比較的時計の掛かる良馬場。
前々走のテレビユー福島賞は自己ベストを更新しての1分8秒7。クラスの壁というより、時計の壁なのかも知れないと見ている。

今回は連闘で挑む初の直千競馬で、格上挑戦での重賞初挑戦。狙い澄ました一戦というより少頭数で適性を図るための参戦に映るだけに、今回は様子見とする。

⑩アルミューテン(△)

2勝クラスの卒業後、9戦も3着内好走から遠ざかっているが、格上挑戦だった3走前の韋駄天ステークスは前が詰まる大きな不利がありながら、0秒4差の4着。

もともと直千競馬は【1.0.2.3】で、3度の着外は2度の4着と得意にしている舞台。
韋駄天ステークス当時の50kgから4kg増える54kgに、大外16番枠から10番枠と楽な状況ではないが、穴の12番人気なら考えてもいいかも知れない。

⑪ロードエース(◎)

2勝クラス(当時1000万下)卒業後、オープン入りを果たすまでに出走取消を含めて9戦、約1年半の歳月を要し、オープン入り後も掲示板にさえ届かない厳しい結果が続いていたが、福島2歳ステークス13着以来、約3年半ぶりの芝に挑戦した前走で一変。

その韋駄天ステークスは好発を決めると、7枠14番を活かして好位を確保。前にいたケイアイサクソニーは交わせず、タマモメイトウには差されたが、しぶとく粘って3着に好走してみせた。

7週間連続開催最終日のタフな稍重に加えて、外枠の恩恵もあったが、全4勝をダートで挙げているように直千競馬はダートの短距離と流れが似ていることから適性があったことも確か。
2018年ダイメイプリンセス、2019年ライオンボス、そして昨年のジョーカナチャンはいずれもダート戦で連対歴を持っての参戦で本馬の好走も決してフロックではないと見ている。

一度経験したことで慣れによる上積みもありそうで、前走後はここに狙いを定めて重賞初挑戦。
陣営は「暑さも大丈夫」と話しており、比較的外目の11番枠。前走から一転して高速決着への対応が最大の課題にはなるが、5番人気なら新星登場に期待する。

⑫ライオンボス(○)

特にコーナリングが下手には映らないのだが、直千の【4.2.0.1】にダート戦も含めた1000mの通算成績が【6.2.0.3】に対して、1000mを超えると【0.0.0.9】なのだから1200mでも長いのかも知れない。

昨年、57kgを背負いながら2着を死守した直千競馬のスペシャリストも、前走の韋駄天ステークスでは初の連対を外す敗戦どころか掲示板にさえ載れない惨敗。

酷量58kgに7週間連続開催最終日の稍重、その状態も万全ではなかったことが敗因と陣営は分析しており、1kg減った57kgに良馬場と条件は好転。
昨年とほとんど変わらない外目の枠を引いたことで、巻き返しを図るが、全幅の信頼となるとどうかでも、逆に3番人気は妙味が生まれたように思う。

⑬ビリーバー(△)

昨年の3着馬。その好走以降、7戦も掲示板外に敗れる凡走が続いているが、直千競馬に限定すれば、昨秋のルミエールオータムダッシュは休み明けの上に内枠、前々走の韋駄天ステークスに至っては1枠2番と厳しい条件ではあった。
それでも韋駄天ステークスは7着に粘っており、前走パラダイスステークスでもインで窮屈になりながらも最速上がりで追い上げている。

昨年は5月から中2週の詰まった間隔で、それも函館や新潟までの長距離輸送等も含めて、使われ続けながら3勝クラス卒業→アイビスサマーダッシュ3着好走。
アイビスサマーダッシュの好走に加えて全4勝を中3週以内の詰まったローテーションで挙げているように、これが本馬のスタイル。

昨年と比較して余裕のあるローテーションでの参戦、時計も速くなりそうな点を考えると加齢による前進を期待することは酷に思うが、8番人気に外枠なら穴で考えておきたい。

⑭オールアットワンス(▲)

新馬戦から一貫して芝1200mを使われ、デビューから2連勝を飾っているノーザンファーム生産馬。

外から牡馬にプレッシャーをかけられる形にとなった中京2歳ステークスでは0秒2差の3着、初めての差す競馬に直線で馬群を割ることに躊躇して減速してしまった前々走マーガレットステークスは0秒2差の5着。

いずれもキャリアの浅さが露呈された敗戦だったが、重賞初挑戦となった前走の葵ステークスでは前半3Fが33秒2 と中京1200mしては速いペースを4角で4番手に押し上げる積極的な競馬から3着に粘った。

管理する中舘調教師は「右回りの方がいい」と話していたように、もともとコーナリングに難がある同馬にとっては直千競馬は願ってもない条件。
中舘調教師は騎手時代に千直で25勝。これは引退から6年が経過した今も、柴田善と並んで歴代最多タイの数字で、調教師に転身してからも同舞台に延べ7頭を出走させて2勝。実際に走ってみないことには適性は判らないが、コーナーのない直千競馬で能力がフルに発揮される可能性も否定できない。

過去20回の歴史で牝馬が13勝と優勢で、3歳に限れば【2.3.2.5】。2006年サチノスイーティー以来15年も長らく優勝から遠ざかっている3歳牝馬だが、少ない出走数ながら複勝率は6割に迫る高い数字。

前々走は長距離輸送の影響か12kg減らして428kgでの出走と、馬体維持に気を遣うタイプだけに約2か月の間隔を空けてのローテーションは却って良さそうで、デビュー当初は道悪を心配されていただけに良馬場で行われそうな点もプラス。

1番人気はさすがに過剰にも映るが、51kgで外枠なら逆らいづらいところ。

⑮セピアノーツ(⋯)

昨秋から15着→15着→13着と二桁着順に沈む大敗が続いているが、デビュー4戦目で挙げた初勝利はこの直千競馬。8番枠からの発走も、上手く外ラチ沿いに持ち出せたことでの快勝。

未だ1勝クラス卒業に目処は立っていないが、今回の鞍上は本馬を初勝利に導いた藤田菜騎手。
重賞のため女性騎手による減量特典はないが、新潟は通算137勝のうち最多の58勝、2019年は女性騎手初の年間リーディングに輝いており、開催リーディング、一日4勝を挙げる固め打ちも達成している最も得意としているコース。

中でも直千競馬は持ち前のスタートセンスが最大限に生きる舞台で、デビューした2016年以降に限れば、現役騎手最多の10勝を挙げている。
自己条件の1勝クラスですら厳しい結果が続いている現状では簡単なレースにはならないが、本馬としても一本調子で直千適性は十分。

近3走から3kg減となる51kgを活かして、スタートを決めることが出来れば外枠を活かした好走があっても不思議ではないが、点数に限りもあるので切る。

⑯ルドラクシャ(⋯)

デビュー7戦目にして未勝利を卒業した舞台が、この直千競馬。これまで【1.1.0.4】と直千競馬には一応の適性は示しているが、2着に好走した昨秋の1勝クラスも、15番枠の恩恵がありながら勝ち馬とは0秒5差をつけられる完敗。

いまだ1勝クラスすら卒業できていない現状での格上挑戦。おそらく頭数が揃っていない状況を見て急遽、連闘での重賞初挑戦を決めたように思うが、この実質大外枠でも厳しいレースになりそう。

⑰ロジクライ(取消)

左前肢跛行のため出走取消。

【結論】
本命 ⑪ロードエース

単勝とワイド流し(相手:⑧⑩⑫⑬⑭)

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