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ステイヤーズステークス 2020【予想】

ステイヤーズステークス 過去

平地競走としては国内最長となる3600mのマラソンレース。そもそも3000mを超えるレース自体が年間で6レースしかなく、古馬の場合は春の天皇賞以来。

トリッキーな内回りコースを2周、コーナーを8度の回るこれだけ特殊性が強いだけに過去10年で3回以上好走した馬が5頭もいてリピーターが多い。

3600mの距離を第一に、このトリッキーなコースで最後まで脚を伸ばせる馬を中心に考えたい。


①オーシャンビュー(⋯)

デビュー当初は1400~1600mの距離を使われて、2勝クラスの勝ち上がりも芝1800mだったが、近2走はテンに行けなくなってきたことで2400mへの距離延長。

前々走の六社ステークスは1秒2差、前走の西宮ステークスでは2秒2差の大敗を喫しており、さらに距離を延ばしたところで解決する話ではないように思う。
年が明ければ8歳になることもあり、中1週で3600m戦は引退前の記念出走の印象もなくはない。

②シルヴァンシャー(▲)

昨年3連勝してオープン入りを決めたものの、その後に骨折が判明。それから約半年の休養明けで挑んだGⅡ京都大賞典は重賞初挑戦ながら1着・2着・4着馬が4角で内を通った中で、外から差して0秒3差の③着にいきなり好走してみせた。

その後は本レースに照準を合わせていたが、今度は捻挫による休養を余儀なくされ、前々走となる春の天皇賞は約7か月ぶりの実戦。
結果として8秒以上も離されたシンガリ負けではあったが、初の3000mを超える距離に初の58kgの酷量では息が持たなくても当然ともいえるだろう。

今年も京都大賞典からの始動で、グローリーヴェイズやキセキといったGⅠ馬の参戦で昨年より相手が強くなったが、それでも0秒3差の④着に健闘。
今年は順調に出走を迎えられそうで陣営としては距離に自信を持っており、厳しい条件が重なった天皇賞だけで長距離適性は見限れない。

コーナー8回に若干の不安はあるが、阪神2200mでの境港特別ではその後、6連勝で豪GⅠコーフィールドカップを勝つメールドグラースを相手に最速上がりで差し切っており、杞憂に終わるかも知れない。
これまでの全11戦中8戦でメンバー3位以内の上がりを記録しているように、末脚のしっかりしている馬で内枠も魅力。中距離戦で見せた能力がこの距離でさらに発揮されるとなれば世代交代となるが、その期待も大きく2番人気の支持を集めている以上は本命視しづらいところがある。

なお、本馬の道悪経験は前走の京都大賞典のみだが、全兄ロイカバードは【1.1.0.0】

③ポンデザール(△)

一昨年には未勝利戦から4連勝で一気にオープン入りを決めたハーツクライ産駒で、半兄は宝塚記念や香港ヴァーズを勝ったサトノクラウン。

北海道の芝では【4.0.0.2】とこれまで掲示板を外しておらず、前々走の札幌日経オープンを4馬身差をつけたレコードで圧勝すると、一気の相手強化となった前走の札幌記念でもGⅠ馬3頭に次ぐ0秒6差の④着。

北海道以外では500万下条件を勝利した新潟を除けば【0.0.0.5】としているだけに、単なる洋芝巧者にも映ったが、これまで前半スローペース→後半スパートの2600m戦で好走を重ねていただけに、前半からある程度流れたGⅡ戦での健闘はハーツクライ産駒の覚醒をも思わせるところもある。

アーモンドアイと同期で「強い牝馬」として1番人気での発走を迎えそうだが、3000mを超えるレースとなると2011年以降の過去10年では【0.1.1.22】と1勝も挙げられておらず、2着にしてもGⅠジャパンカップでも2着したデニムアンドルビー。
京都3000mならともかく、ルメール騎手の腕を以ってしても勝ち切るまでは難しいと見る。

④ボスジラ(△)

重賞初挑戦となった春の阪神大賞典は壁に跳ね返された格好の⑧着だったが、キセキの暴走で先行馬に苦しい展開になった中での4〜5番手の競馬で、勝ったユーキャンスマイルとの着差は0秒6差、キセキとはクビ差であり、健闘したといってもいい内容。

続くGⅡ目黒記念は前半からペースが流れる高速馬場と不向きな条件ながらメンバー2位タイの上がりで0秒7差まで詰めており、展開だったりメンバーに恵まれれば重賞でも好走できそうな印象も受けた。

前々走の札幌日経オープンは③ポンデザールにこそ4馬身ちぎられたが、メンバー2位タイとなる上がりの脚で②着は確保しており、続く丹頂ステークスでは最速上がりでほぼ4角先頭の形から押し切った。

2500m以上の距離では【3.1.0.2】としており、2度の着外はいずれもGⅡ戦。
菊花賞3着のポポカテペトルの全弟で距離延長はプラスに出そうで、これまでの12戦でメンバー2位以内の上がりは10戦と決め手も備えている馬。

⑤アルバート(○)

一昨年こそ出走取消により4連覇を逃したが、昨年は最速上がりで3/4馬身差の2着に食い込んで健在ぶりを示した現役屈指のステイヤー。

前走の京都大賞典は2秒5差の⑰着に大敗を喫したが、昨年も2秒8差の⑯着から巻き返しており、2015から本レースの3連覇を達成しており適性は抜群。
9歳になるがキャリアは35戦と年齢の割にはそれほど使われておらず、キャリア57戦目の10歳で制したトウカイトリックのようにベテラン馬でも十分に通用するレース。前走に続いて岩田康騎手が騎乗してくれる中で内の5枠なら本レース4勝目があっても。

⑥リッジマン(△)

2018年の万葉ステークス②着→ダイヤモンドステークス②着の連続好走に、同年の本レースを勝利しているステイヤー。
以降は7戦して全て掲示板外に敗れているが、前走の京都大賞典では本馬にとっては短い2400mの距離を考えれば1秒1差は健闘しており、叩いた効果が見込めて11番人気の低評価なら押さえておきたい。

⑦メイショウテンゲン(◎)

世代屈指のステイヤーで、メンバー2位の上がりで追い込んだ昨年の本レースでの④着を皮切りに、最速上がりを記録したダイヤモンドステークスでの②着、阪神大賞典③着といずれも中盤の緩みが小さいスタミナが要求されるバテ差し戦で連続好走。

春の天皇賞は中盤でやや緩んだこともあって向正面から動いてスタミナを活かそうとしたが、坂の下りから11秒台が3F並ぶラップに苦しみ1秒差の⑧着。
2200mへの距離短縮が懸念された宝塚記念は追走こそ苦労してほぼ最後方から運ぶ展開となったが、直前の豪雨による馬場悪化に、向正面から息の入らないラップになったことが奏功して⑤着。

レース上がりが36秒を超えるタフなレースでこそ力を発揮する馬だけに、始動戦となった前走のアルゼンチン共和国杯のレース上がり34秒9では本馬にとっては速すぎたし、マイナス12kgの馬体減も少なくない影響があったように思える。

距離延長は間違いなくプラスで、小雨ながら降雨による馬場の悪化も追い風。昨年より経験も積んで力もつけた今年は昨年以上の結果を期待したい。

⑧アドマイヤアルバ(⋯)

一昨年の京都新聞杯②着以降は14戦連続で着外。前走のカシオペアステークスから倍になる3600mへの距離延長になるが、仮に長距離適性があったとしても、いきなりの好走はさすがに厳しいだろう。

⑨ヒュミドール(⋯)

デビュー2戦目からダート中距離を使われていたが【2.0.0.9】とパッとしない状況の中、折り合いに不安がないことから福島の芝2600m戦を使われたところ、あっさりと快勝。

GⅡアルゼンチン共和国杯への格上挑戦を除外になったことで、1800mのノベンバーステークスに出走することになった前走だが、メンバー最速の上がり33秒4で馬の間を割って突き抜けた。

管理する小手川準調教師は今年3月開業の新人トレーナーで、重賞挑戦は5月の青葉以来2度目。
前走は好内容ではあったが、それだけに長距離適性がそこまであるかに疑念も湧いたことも確かで、1800mの距離延長も楽ではないはず。

⑩タイセイトレイル(△)

昨年のGⅡアルゼンチン共和国杯②着の好走やキセキの暴走で出入りが激しく先行勢に厳しい展開ながら0秒5差の⑥着に踏ん張った4走前のGⅡ阪神大賞典から重賞タイトルに手が届いてもおかしくない実力は持っているが、年齢によるズブさが出てきた上にハミを取らなかったり、耳を絞って前の馬を抜かさないところがあったりと気難しさを見せている様子。

好走した両GⅡから降雨による馬場の渋化に不安はあるが、阪神大賞典での内容からは長距離戦でも戦えるスタミナは確認できたし、前走のアルゼンチン共和国杯で0秒4差の⑤着に健闘しながら9番人気。
3着ならあってもいいと見て穴で期待したい。

⑪オセアグレイト(△)

迎春ステークスを勝っての昇級初戦となった今年のダイヤモンドステークスは中盤で緩まずにスタミナが問われるバテ差しレースにもかかわらず、先行して③着に粘ったようにスタミナと持久力は相当なもの。

続くメトロポリタンステークスは直線で前が壁になって外に持ち出すまでのロスがありながらも、瞬発力戦にも対応して③着に好走。
目黒記念はCコース替わりで内有利のトラックバイアスに外枠で高速馬場と厳しい条件だったことを思えば0秒6差⑥着は健闘した方だろう。

前々走の七夕賞は⑫着に大敗したが、使われ続けてきた蓄積疲労や約1年3か月ぶりとなる2000mの距離も少なからず影響があった印象。
リフレッシュ放牧明けで挑んだ前走のアルゼンチン共和国杯は2番手からの競馬で直線失速しており、精神的な疲労も心配されるが、スタミナはダイヤモンドステークスで十分に示しており、横山典騎手への乗り替わりでもまだ7番人気ならV字回復に期待も。

⑫ステイブラビッシモ(⋯)

今年のダイヤモンドステークスでは格上挑戦ながら⑦着に健闘したが、その着差は1秒9差と長距離路線でも力の差はあったようで、自己条件でも⑪⑭着。
さすがにここでも厳しいだろう。

⑬タガノディアマンテ(⋯)

年明けの万葉ステークスでは最後方から勝負処でマクってメンバー最速の上がりで3馬身半突き抜けた内容は一皮むけた感もある勝ちっぷりで、続くダイヤモンドステークスは1番人気に支持されたが最後方から追い込んで7着まで。7着といっても勝ち馬から2秒1差も離されて、上がり3Fも最後方から全体の6位。

レース後に川田騎手が外へ逃げたがって競馬にならなかったとコメントしているが、特にコーナリングは関係なかったように映り、未勝利戦勝ちは東京競馬場でのもの。逸走の原因は左回りだけではない印象で、その後に受けたノドの手術も要因かも知れない。

それより血統的には半兄タガノトネール(父ケイムホーム)が武蔵野ステークス、半兄タガノエスプレッソ(父ブラックタイド)がデイリー杯2歳ステークスを勝ったように、父がオルフェーヴルに替わった本馬は本質的には中距離馬ではないかという疑念もあり、右回りに替わったところで、ノドの手術明けとなる約10か月ぶりではさすがに厳しいはず。

⑭ゴールドギア(△)

ロードカナロア産駒ではあるが、1000万下クラスを卒業して以降の2000m以下戦は⑪⑦⑤⑨着で、3勝クラスで好走した3戦は2500m、2500m、2400mと長い距離でのもの。

今春の目黒記念でもインを突いて前が詰まるロスがありながら0秒6差の⑤着に健闘しているが、2000mへの距離短縮となった前々走の新潟記念では自己最速を更新する32秒7の上がりで追い込みながらも前半の位置取りの差も響いて0秒5差の⑨着。
前走のアルゼンチン共和国杯は健闘した当時と同じ53kgのハンデではあったが、伸びを欠いて⑨着。

これまでの53kg程度のハンデ戦から今回は別定戦での56kgを背負うだけに楽ではないものの、2400m〜2500mでも出遅れて後方に置かれるだけに距離延長がハマる可能性はなくもない。
その出遅れ癖がひどいこともあるが、これまでの24戦中20戦がメンバー3位以内の上がりを使う末脚自慢。

⑮ルミナスウォリアー(⋯)

地方転厩を経て中央へ戻った3走前の札幌日経オープンは1秒4差離された⑦着。
続くGⅡ札幌記念は後方から流れ込んだだけのシンガリ負けで、前走の丹頂ステークスでも⑭着。

3年前の函館記念勝ち馬だけに洋芝巧者ではありそうだが、その洋芝でも厳しい結果が続いているとなると難しいだろう。

【結論】
単複 ⑦メイショウテンゲン

3連単が点数が絞れず、単複に。

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