共同通信杯 2020【反省】

どの馬も先手を避け②ビターエンダーが引っ張る形、前半4Fと後半4Fの差が4秒1という超スローペースとなり、位置取りと決め手が重要なレースとなった。

勝った⑥ダーリントンホールと 、ここまで3戦3勝で1.5倍の圧倒的1番人気に推された⑧マイラプソディは約1馬身差の位置関係で進めた序盤。
4Fを過ぎたあたりで前にいた⑥ダーリントンホールがスッとポジションを上げ始めたが、⑧マイラプソディの鞍上、武豊騎手は中団外目のままじっと我慢。結果的にここが勝負の分かれ目だったか。

4角では3～4番手まで上がっていた⑥ダーリントンホールは直線、内から逃げた②ビターエンダーに馬体を併せにいってマッチレース。最後はハナ差競り落として2勝目を挙げるとともに重賞初制覇を飾った。
欧州型 Grey Sovereign 系の Highest Honor に 欧州型 Nureyev 系の Pivotal を掛けて、さらにそこから Sadler's Wells 系の New Approach を掛け合わせた、ゴリゴリの欧州型マル外馬。稍重馬場が味方したことは間違いないし、行きたがる序盤でなだめて、超スローの展開から狙いを前に切り替えてポジションを上げに行った中盤、ロスなく内から併せ馬に持っていき最後まで集中を切らさず走らせ切った直線。ルメール騎手の騎乗も抜群だった。

2走前にあたる札幌2歳ステークス組は、4着馬のレザネフォールが1勝クラスすら勝ち切れていないことから、元々レースレベルを評価しておらず、当時スタートから直線までチグハグな競馬であったことを差し引いても評価は難しかった。
ただ、不得手と考えている高速馬場だった前走の葉牡丹賞で見せた0秒2差まで追い込んだ上がり最速の末脚はここで勝ち切るだけの地力を示したもので、過小評価し過ぎていたかも知れないが、3番人気は過剰と思っていたので、正直、重馬場まで悪化しても本命にはしなかったと思う。

ただ、稍重馬場とペースを踏まえても今年の勝ち時計 1分49秒6 は、過去10年で最も遅かった 1分48秒5 より 1秒以上も遅いタイム。
本馬にしても、今回の上がりが自己最速の34秒1で、馬場や好騎乗の恩恵があったことも否定できないし、これまでのレースを見てもハミを噛みやすい馬でもある。過度な評価は控えておきたい。
あくまで消耗戦であったり、馬場の悪化があった際に浮上させるぐらいの位置づけとしておく。

首の上げ下げで勝利を逃した②ビターエンダーは展開の恩恵があったことはもちろん確かだが、上がりはメンバー中2位タイ。
外差し馬場の京成杯で3着まで来れなかった時点で評価を下げていたが、今回の10kg減での好走を考えると当時の12kg増は太目もあったのだろう。
全4戦の上がり順位は 最速 → 2位 → 3位 → 2位で、東京コースに限れば【1.1.1.0】だし、京成杯も4着。
堅実なタイプの可能性もあり、フロック視は危険。

デビュー戦と2か月半の間隔が開いた前走の京成杯が3着と4着だから、久々は割り引いて考えたい。
また、馬場に関してはミナリク騎手が内を避けて逃げていたようにも見えたが、レース後には合うとコメント。今後の予想に活かしたい。

メンバー中唯一のディープインパクト産駒で2番人気に支持された⑦フィリオアレグロは4馬身離された3着まで。これで同産駒は産駒初出走となった2011年から10年連続の馬券絡みを達成。
ペースアップ時の反応や、前にいた馬より上がり3Fが劣っている以上、現時点では力負けした形ではあるけど、キャリア1戦の身でマイラプソディを抑えたのだから上出来だろう。プラス18kgは成長分を考えても幾らか余裕はあったと思うし、若干ハミを噛む場面もあったが、距離延びて良さそうな印象。
ただ、半兄サトノクラウン同様に巧者と考えていた道悪の巧拙については、父がディープインパクトに替わったことで、こなせないこともない位に下方修正。

4着に敗れた⑧マイラプソディは戦前の予想通り、あくまでトライアルの競馬とはいえ、4馬身離されたことも、上がりが逃げた②ビターエンダーと並ぶメンバー2位だったことも案外の内容。
野路菊ステークスでの内容からも、このペースなら上がり33秒台が出せておかしくない馬。この日の芝は上がり33秒台をマークした馬がいなかったように末脚殺しの馬場だったから、馬場の適性も合わなかったか。
武豊騎手も戦前からコントレイルやサリオスとは差があることを認識しているし、ハーツクライ産駒だけに本当に良くなるのは秋以降かも知れない。

5着には本命に推した③ココロノトウダイ。デビューから3戦全てで上がり最速を記録していたが、番手追走の積極策。これまでの競馬ぶりから、勝った⑥ダーリントンホールのような競馬だったらと考えたいが、負け惜しみか。
直線で伸びを欠いたのは12kg増も影響があったか。