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フラワーカップ 2021【予想】

フラワーカップ 過去

牝馬限定戦としては世代初となる中距離重賞は急坂を2度上がるタフな中山1800m。
この時期において新馬や未勝利を勝ち上がった馬が好走できる要因は、短い距離を使われてきた重賞組より中距離経験だけでカバーできてしまうのだろう。

過去5年の勝ち馬すべてが4角を4番手以内で通過しており、オークスを見据えて前半の折り合いを重視するスローペースからの持続力戦になりやすいため、勝ち切るためには先行力も必要。

重馬場だった先週日曜に芝で行われた5鞍での連対馬10頭の4角通過順が(2番手,先頭)(15番手,2番手)(3番手,4番手)(先頭,2番手)(4番手,2番手)と、ある程度流れた1200mの1勝クラスを差し切ったユキノファラオ除いた9頭が4番手以内で通過しており、本日の芝4鞍の勝ち馬も番手〜好位。前有利の傾向にまだ大きな変化はなさそう。

また、当日の馬体重が480kg以上あった馬はそれだけで【3.1.0.6】と40%の複勝率を誇っており、タフな条件だけに馬格のある馬はそれだけでも有利のよう。

馬格のある中距離タイプの先行馬を中心に考えたい。


①レーヴドゥラプレリ(⋯)

まだ走り方が定まっていなかった夏のデビュー戦は9着に敗れたが、約2か月後の東京1600mで2着に好走してメドを立てると、3戦目は暮れの中山1800m。
後方で脚をタメながら勝負処で徐々にポジションを上げると最速上がりで突き抜けて勝ち上がりを決めた。

デビュー2戦目で敗れた相手は、後にクイーンカップを勝つアカイトリノムスメで僅か0秒2差と同条件での勝利経験を含めて侮れないが、今回は様子見とする。

②エトワールマタン(⋯)

まだ準備段階でのデビュー戦は9着に終わったが、5か月の充電期間で20kg増やしての2戦目は後方から外々を回る大味な競馬ながら0秒3差の3着。
3戦目となった中山2000mに距離を延ばした前走で中団から差し切って勝ち上がりを決めた。

内回りの経験豊富な距離短縮馬としては買いたいが、小柄な牝馬の差し馬となると手を出しづらい。

③ホウオウイクセル(△)

重馬場に見舞われた新潟1600mのデビュー戦は後方から直線に賭けたが、前が壁になりながらもメンバー最速タイの上がりを記録して0秒3差の3着。
続く福島1800mでの2戦目は中1週のタイトなローテンションだったが、中団から勝負処での手応えは抜群で直線では内から突き抜けて快勝。

自己条件を使わず、重賞初挑戦となった前走のフェアリーステークスは中団から脚を伸ばして0秒4差の2着に好走して賞金加算に成功した。
今回は距離延長になるが、1800mは2戦目で経験済で内回りで求められる器用さはデビューからの2戦で証明済みだけに内枠を引けたことは大きい。

これまでの3戦すべて上位の上がりを記録しており、今回も好位から器用に立ち回ることが出来れば重賞での連続好走も見えてくるが、スタートで前に入られた際のリスクを考えると3番人気は厳しい。

④オレンジフィズ(△)

デビューは夏の福島1800m。1000m通過が64秒5の超スローペースに落としての逃げ切りも、ラスト3Fもメンバー最速でまとめる2馬身差の完勝だった。

2戦目は約3か月後のアルテミスステークスでの重賞挑戦だったが、押し出されるようにハナに立たされてハミを噛んだままマークされる形は厳しく14着に大敗。中間に蹄を痛めた影響で体調が整っていなかったことも含めて参考外でも良さそう。

今回はそれ以来となる約5か月ぶりの実戦になるが、新馬戦で負かした馬から5頭も勝ち上がっており、当時の2着メイサウザンアワーは後に赤松賞でアカイトリノムスメと0秒2差の競馬。
ノーザンファーム生産でサンデーサイレンス4×3、キャリア2戦ながら本馬にも未知の魅力がある。

⑤クールキャット(◎)

トリオンフの半妹。東京1400mのデビュー戦は好位~中団から直線は前がすんなり開いたこともあってアッサリ抜け出して2馬身差の完勝。
ソエの影響で予定していたクローバー賞を自重して、次走はGⅢアルテミスステークス。中団から脚をジリジリと差を詰めて0秒6差の5着に敗れたが、ゴールを過ぎてからも伸びていたようでスローペースの瞬発力戦に泣いた格好ともいえる敗戦だったかも知れない。

賞金加算に向けて相手関係を考えて選んだと思われる前走のフェアリーステークスは、ペースが遅いと判断した津村騎手が後方から一気に先頭に立つ勝負手が結果的に裏目に出て10着に大敗。

クラシックに向けていよいよ賞金加算の必要性が強く迫ってきた中で横山典騎手にスイッチ。
アルテミスステークス出走の際、シルクレーシングの所属馬ながらルメール騎手がククナに騎乗しての津村騎手への乗り替わりは当時気になったが、新馬戦で並ばせさえしなかった当時の2着ソングラインはその後に未勝利→紅梅ステークスを連勝と能力はあるはず。

500kgを超える雄大な馬格のスクリーンヒーロー産駒で評価を落とした7番人気なら、勝負駆けに期待。

⑥グローリアスサルム(⋯)

ディオスバリエンテとボーデンの一騎打ちが話題となった昨冬の新馬戦では牝馬では再先着となる5着。
年明けの次走はさらに距離を延ばされてタフな中山2200mが舞台。スタートで隣の馬にぶつけられて後方からの競馬になったが、最速上がりで差し切り勝ち。

連勝を狙った前走のフリージア賞は前が残る展開に泣いて0秒4差の4着。メンバー2位の上がりながら少し脚を余した印象もあった。
デビューから牡馬相手に1800m→2200m→2000mと長めの距離を使われており、上がり3Fの自己ベストが34秒7ならスタミナ型なのだろう。

勝ち上がった時の2着ソーヴァリアントは後に弥生賞で0秒5差の4着に健闘しており、中山2200mで牡馬を相手に差し切り勝ちは相当タフな印象。
普通に走れば距離が足りない可能性もあるが、仮にユーバーレーベンがマクる展開になってスタミナ勝負のバテ差しにでもなれば。

⑦エンスージアズム(⋯)

中京1600mを使われたデビュー戦は出遅れて後方からの競馬になり、最速上がりで追い込んだものの位置取りの差が響いて4着に敗れたが、続く東京1800mでは好位からメンバー2位の上がりで抜け出して勝利。

連勝を狙った白菊賞は後方から末脚を活かしたかったが、メンバー最速33秒6の上がりを記録するも位置取りの差に泣いて0秒6差の5着。
確勝を期して臨んだ前走の1勝クラスは番手からメンバー2位の上がりで抜け出して期待に応えた。

2戦連続で33秒台の上がりを記録しているように軽い芝が合いそうなディープインパクト産駒で、テンの速さを考えれば1800mの距離こそ歓迎ではあるが、馬を気にして外に逃げがちな性格を考えると内回りの中山より広いコース向きな気がする。

⑧リフレイム(▲)

まずまずのスタートで中団から運ぶかと思われた新潟マイルのデビュー戦。向正面で一気に先頭に立ったかと思えば、直線では外ラチに向かって大逸走。
木幡巧騎手の鐙が外れてまともに追えない中、構わず押し切る勝ちっぷりは各メディアにも取り上げられ大きな話題を振りまいた。

矯正馬具に頼らず、人との関係性を再構築することで操縦性の向上を図った陣営の努力の甲斐もあって続く1勝クラスは山口ステーブルの話で「6~7分のデキ」ながら、勝ち負けより内容優先の最後方待機から直線だけで5馬身差の圧勝。
メンバー最速の上がり3F 33秒6は次位より1秒も速いこの日の東京最速。真っ直ぐに走れただけでなく、後方で我慢する競馬で連勝を飾った。

無傷の3連勝を期待されたGⅡ京王杯2歳ステークスはゲート入りを嫌がるなど難しい面も見せて5着に敗れたが、メンバー中2位の上がりで追い込んで0秒2差。
中1週の厳しいローテーションで牡馬相手なら上々の内容ではあったかも知れない。

しっかり休養をとって挑んだ前走のクイーンカップだったが、馬群を嫌がって競馬にならず13着に大敗。
京王杯2歳ステークスの時も馬群を割ることを躊躇していたように現状では極端な競馬でないと力を発揮できない恐れが出てきた中、本番を前に今回どのような競馬をするかが焦点になりそう。

デビュー5戦目のアイルランドトロフィーで同じような大逸走をしながら勝利を収めたエイシンヒカリは後に香港カップを優勝、三冠馬オルフェーヴルもデビュー戦で外から内に大きく斜行してゴール後に池添騎手を振り落としており、京王杯2歳ステークスでの10着大敗を含めてスプリングステークスを勝つまで2勝目が遠かったこともあった。

秘めた能力はあるだけに、後方からよりも思い切って逃げの手に出てみることで開花すると思うが…

⑨タウゼントシェーン(⋯)

福島1800mでのデビュー戦は前夜の雨の影響でタフな重馬場だったが、1000m通過が63秒8のスローペースを中団で遊びながらの追走。勝負処で徐々にポジションを上げると、4角では先頭集団を射程圏に入れる5番手。直線では内から併せてきたノーザンファーム生産の良血馬スワーヴエルメを競り落として勝利。

長く脚を使っての最速上がりで高い能力を示したかに思えたが、連勝を狙ったサフラン賞ではスタートから遅く後方での競馬になり、直線でもモタついて前を捕まえられず後ろから差されて5着。
0秒6差ではあるが、上がり3Fはメンバー3位タイとなる35秒0と物足りない内容に終わった。デビュー戦から比較して3秒6も速い1000m通過60秒2のペース

それから中3週でアルテミスステークスへの重賞挑戦は後方からほぼ回ってきただけに終わった15着。
410kg台の小柄な牝馬だけに短期間での2度の長距離輸送がこたえた可能性もあるが、ロサギガンティアの半妹というディープインパクト産駒の期待馬としては残念な結果が続いたことになる。

新馬戦で負かしたレッドヴェロシティやニシノアジャストがそれぞれ2勝を挙げる活躍を見せており、素質があることは間違いないはずで、約5か月の充電期間を経ての成長が期待される今回の一戦ではあるが、管理する矢作調教師としても「もう少し成長が欲しい」としており、過度な期待は酷かも知れない。

⑩フミチャン(⋯)

デビューから2戦、東京芝1800m→2000mではスローペースからの瞬発力戦に対応できずに連敗。
ややワンペースな面を考慮されてダートに転じたが、チークピーシーズを着用した2戦目で勝ち上がった。

重賞の舞台で芝への再挑戦を決めた今回、半姉が同舞台の中山牝馬ステークスを勝ったフェアリーポルカというフェアリードール牝系だが、父がクロフネに替わったことでダート色が強く出ている可能性は高く、ダート2戦での自身の上がり順位は4位→6位。
立ち回りの巧さで好走してきたようにも思えるだけに様子見が妥当かも知れない。

⑪ルース(○)

新潟1600mを使われて新馬戦は不良馬場も厳しく8着に大敗したが、2戦目では同様の重馬場でも池添騎手が外目のまだマシなところを走らせたこともあって同着での勝ち上がり。
続くサフラン賞は初めての良馬場。サトノレイナスやテンハッピーローズの決め手にこそ屈したが、好位から渋太く脚を伸ばして0秒3差の3着。

つわぶき賞では初の1400mに追走で手一杯となって0秒7差の5着、初の重賞挑戦となったシンザン記念は距離こそ1F延びたが、1000m通過58秒1はさらに速いペースで0秒9差の9着に敗れた。
前々走のセントポーリア賞はさらに距離を延ばしたこともあって、追走にこそ苦労することはなかったが、レース上がり33秒9の瞬発力戦にキレ負けする格好で1秒2差の4着。自身の上がりは34秒7だった。

どのレースも敗因はあるものの、今のところ左回りでの走りに良い印象はなく、勝ち馬との着差は0秒7が最小となる【0.0.0.4】と結果も残せていない。
上がり3Fの自己ベストが34秒1と決め手にも欠ける印象で、現状では右回りのスローペースで好位から立ち回りの巧さを活かして粘り込む形がベスト。

前走のデイジー賞はそれがすべてハマった印象で、その再現を期待されて同条件のここに挑戦のはず。
人気もないだけに粘り込みに期待したい。

⑫エコロデイジー(⋯)

デビュー戦は秋の新潟1600m。スローペースでもレース上がりが36秒2も掛かるタフな重馬場だったが、好位から最速タイの上がりで抜け出して勝利。
続く白菊賞は一転してレース上がり33秒9の瞬発力戦で速い上がりが求められた中、好位から34秒2の上がりで0秒6差の4着。デビュー戦から8kg減らしていた影響も少なからずあったのかも知れない。

前走の菜の花賞は大外からハナを奪いにいったが、そのぶんタメが利かずに0秒6差の7着。
前に行ったのは恐らく決め手勝負では分が悪いことを考えた作戦だったと考えており、時計にしても上がりにしても掛かった方が良さそうな印象。

デビューから3戦とも1600mを使われているが、ハービンジャー産駒で軽い芝のマイル戦よりは中山1800mの方が合いそうなだけに、先行力も含めて変わり身も期待されるが、重賞となると厳しいかも知れない。1400mのフィリーズレビューを除外されて、1800mのここに切り替える臨戦過程も印象が良くない。

⑬ユーバーレーベン(⋯)

デビュー戦は不良馬場の東京1800m。出遅れながら徐々にポジションを上げて4角では4番手、直線でもジリジリと脚を伸ばして勝ち切った。
続く札幌2歳ステークスでも出遅れて最後方を追走する形になったが、中盤から一気に動いて3角で5番手まで押し上げて4角では先頭集団の外。
好位から運んだソダシこそ最後まで捕らえることは出来なかったが、2着は確保してみせた。

デビューからの2戦はいずれも高いレベルの持久力を見せていただけにキレ負けを心配した初マイルのアルテミスステークスは、道中では無駄に位置取りを下げてしまいほぼ最後方からの直線勝負に。
その直線でも行き場を探しながらの苦しい競馬になったことで9着に敗れたが、メンバー中3位となる33秒7の上がりを記録して力があることは示した。

前走の阪神ジュベナイルフィリーズはペースも流れやすくなるだけに厳しいように思えたが、実際にほぼ最後方からの競馬になりながらも、自己ベストを更新するメンバー最速33秒6の上がりでハナ+クビ差の3着まで追い詰めた。

GⅠで結果が出て迷いが出てもおかしくない中、今春の始動戦は3走ぶりの中距離戦。本質的には力の要る馬場が得意な中距離馬との印象は変わっておらず、後半の持続力戦になりやすい中山1800mは本馬にとってはうってつけの舞台。

1か月以上かけて乗り込んではいるが、昨秋は約2か月ぶりだった始動戦のアルテミスステークスが重めだったように、オークスから逆算して考えればまだ途上。
テン乗りとなる丹内騎手の仕掛けどころ次第では脚を余すことも十分に考えられるだけに、単勝1番人気はあまりに妙味が低い。
思い切って消す。

⑭テリオスマナ(⋯)

阪神1800mを使われた新馬戦は芝のキックバックを気にしたようで11着、中京2000mに舞台を替えた2戦目はメンバー2位タイの上がりではあったが、挟まれて後方からになった道中の位置取りも響いて7着。

3戦目の小倉2000mで卒業を決めたが、負かした馬から勝ち上がった馬は出ておらず、戦績を重ねる毎にレース内容は徐々に良くなっているものの、重賞で即通用となると厳しいように思う。

⑮アビッグチア(⋯)

東京1800mでのデビュー戦は1000m通過が64秒1の超スローペースに落として逃げ切り。
2戦目は1勝クラスで1600mに距離を短縮したが、2戦目で気が入っていたこともあって馬体を離しながらも逃げ馬と併走する形から4角早め先頭。直線で後続に差されて0秒2差の4着に敗れた。

2戦とも直線での伸びは目立つものではなく位置取りの差や展開が味方した印象が強く、先行力は魅力に映るが、このメンバーを相手に凌ぎ切れるかとなると、飲み込まれるイメージの方が強い。

⑯イズンシーラブリー(⋯)

デビュー戦は中山1600mを4角11番手から最速上がりで追い込みながら僅かに届かず0秒2差の3着。
続けて中山1600mを使われた前々走も後方からの競馬になったが、勝負処から動いて4角5番手までポジションを上げるルメール騎手の好判断による差し切り。

重賞に挑戦した前走のクイーンカップも後方からの競馬になったが、直線でスムーズさを欠きながらもメンバー3位の上がりで追い込んで0秒2差の5着に健闘。

初の重賞挑戦で上位争いをしたことに加えて、折り合いに問題のないタイプで距離延長に不安もなく3年前に2着に好走したトーセンブレスの全妹という血統。

好走を期待したくなるが、これまでの3戦は全姉トーセンブレスと同様に毎回出脚で負けており後方からの競馬を余儀なくされている点は不安材料。
また、全姉は新馬勝ちからGⅠ阪神ジュベナイルフィリーズを含めた重賞を2回経験しての臨戦であったし、当時の馬体重456kgと本馬より一回り大きかった。

こちらが思っているより能力は高そうではあるが、軽い馬場が合いそうな印象が強いディープインパクト産駒で届かない可能性の方が高いように思う。

【結論】
本命 ⑤クールキャット

単勝と③④⑤⑧⑪のワイドBOX

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