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クイーンカップ 2021【予想】

クイーンカップ 過去

3歳牝馬同士の争いとあって2019年や2017年のように中間ラップが緩む年もあれば、2020年、2018年、2016年のように1000m通過が57秒台で流れる年も。

いずれにしても、この時期の牝馬にとって東京マイルは決して楽ではない条件であり、1800m以上での勝利経験や牡馬との混合戦での好走経験が活きるケースが毎年のように起こっている。

クイーンカップ 1800以上

今回、芝1800m以上の距離で勝利経験のあった馬は
①スライリー、⑦ステラリア、⑫カナリキケン、⑯ハッピーオーサムの4頭。

クイーンカップ 牡馬混合

1600m以上で1勝クラス以上の牡馬混合戦で連対経験のあった馬は⑦ステラリア、⑭インフィナイト。

高速馬場が続いているだけに例年よりスピードの比重を置くことも必要になるかも知れないが、タフさを一番に考えておきたい。


①スライリー(⋯)

前走の菜の花賞は1000m通過61秒3のスローペースを中団から勝負処で動いて抜け出しての勝利。
最後の脚色は2〜3着馬の方が際立ったように映り、上がり3Fはメンバー中5位で1分36秒1の勝ち時計。

1800mのデビュー戦を勝ち、牡馬相手の札幌2歳ステークスに挑戦(14着)した経験値は評価しても、前々走の赤松賞はフレグモーネでアルテミスステークスを回避した影響があったかも知れないが、それでもメンバー中6位となる上がり34秒9での7着は瞬発力での勝負は分が悪い印象を持った。

34秒前後の上がりを必要とするマイル戦より、上がりのかかる1800mの方が合いそう。ミヤマザクラのように前々で立ち回れる先行力も怪しい今回は様子見。

②ククナ(☆)

デビュー戦こそファンタジーステークス2着に好走するオパールムーンの3着に敗れたが、2戦目ではラスト3Fが12秒4-11秒4-11秒1の加速ラップを最速上がりで突き抜けて勝ち上がり。

続くアルテミスステークスでは向正面での密集で後方に下げ、直線でも外に持ち出すまでに時間がかかり、2番手から抜け出したソダシとは対称的な競馬ながら33秒4の最速上がりで2着と負けて強しの内容。

阪神ジュベナイルフィリーズをソエが出たことでパスして迎えた前走のシンザン記念。イン伸び馬場の中で外枠というスタート前から厳しい状況ではあったが、それでもメンバー中4位の上がりにとどまっての4着は期待を背負う良血馬としては物足りなく映った。

前傾ラップで脚がたまらなかったか、中京のタフな芝が合わなかったか。現状ではスローペースで瞬発力を活かす形で強さを見せる馬との認識。
東京の軽い芝に舞台が替わる今回は2歳女王ソダシに迫ったアルテミスステークスと同舞台。ルメール騎手も確保できた左回りのここで賞金を加算しておきたいことは間違いない。

スタートが決まればルメール騎手がスムーズにエスコートしてくれるだろうが、スタート次第でアルテミスステークスの二の舞も考えられる上にペースが流れる可能性もある。「勝ち運」に欠ける印象もあるだけに割れた人気とはいえ1番人気での単勝勝負はリスクとリターンのバランスが悪く映る。

ククナ 前後半別

③イズンシーラブリー(⋯)

GⅢフラワーカップ2着トーセンブレスの全妹。デビュー戦は中山1600mを4角11番手から最速上がりで追い込みながら0秒2届かず3着。
続けて中山1600mを使われた前走も後方からの競馬になったが、勝負処から動いて4角5番手までポジションを上げるルメール騎手の好判断もあって差し切り。

2戦続けて最速上がりを記録した点を軽視する訳ではないが、過去5年で好走した前走が新馬か未勝利組の【0.1.2.17】の内、その前走での4角通過順位が
3番手以内だった馬は【0.1.2.5】で、
4番手以降だった馬は【0.0.0.12】。様子見とする。

④リフレイム(⋯)

まずまずのスタートで中団から運ぶかと思われた新潟マイルのデビュー戦。向正面で一気に先頭に立ったかと思えば、直線では外ラチに向かって大逸走。
木幡巧騎手の鐙が外れてまともに追えない中、構わず押し切る勝ちっぷりは各メディアにも取り上げられ大きな話題を振りまいた。

矯正馬具に頼らず、人との関係性を再構築することで操縦性の向上を図った陣営の努力の甲斐もあって続く1勝クラスは山口ステーブルの話で「6~7分のデキ」ながら、勝ち負けより内容優先の最後方待機から直線だけで5馬身差の圧勝。
メンバー最速の上がり3F 33秒6は次位より1秒も速いこの日の東京最速。真っ直ぐに走れただけでなく、後方で我慢する競馬で連勝を飾った。

無傷の3連勝を期待された前走の京王杯2歳ステークスはゲート入りを嫌がるなど難しい面も見せて5着に敗れたが、メンバー中2位の上がりで追い込み0秒2差。
中1週の厳しいローテーションで牡馬相手だったことを考えれば悲観する内容ではなかったかも知れない。

今回はデビュー戦以来となるマイル戦になるが、距離延長で臨んだ馬は過去10年でも【0.1.0.21】と苦戦しており、昨年2着したマジックキャッスルは秋には無敗の3冠牝馬デアリングタクトに0秒2差まで迫り、年が明けてから古馬相手に愛知杯を勝った馬。

デビュー5戦目のアイルランドトロフィーで同じような大逸走をしながら勝利を収めたエイシンヒカリは香港カップを優勝、三冠馬オルフェーヴルも阪神大賞典での大逸走も有名だが、デビュー戦でも外から内に大きく斜行してゴール後に池添騎手を振り落とした逸話がある。不利な距離延長ローテーションを跳ね除けて好走する怪物クラスかの試金石。思い切って消す。

リフレイム

⑤メインターゲット(⋯)

全姉アミカブルナンバーは初勝利を挙げて以降の連対はすべて1400m以下。芝での好走があっても不思議ないと思うが、今回は距離延長でどうか。

⑥アカイトリノムスメ(○)

デビュー2戦目での初勝利から赤松賞を連勝は母アパパネと同じ。三冠牝馬となる母は阪神ジュベナイルフィリーズまで連勝を伸ばしてみせたが、本馬は無理をさせずに休養。母アパパネは新馬後の放牧で24kgも増えて戻ってきたが、本馬はわずか4kg増。
連勝を飾りながらも「成長途上」であることを強調する国枝調教師の慎重な姿勢が印象的だった。

その赤松賞は前後半1秒7という後傾ラップの先行有利な展開の中、出遅れたことによるほぼ最後方から次位より0秒7速い33秒9の最速上がりで差し切る強い内容での勝利。当日の未勝利戦より遅かった勝ち時計から評価を下げていたが、その勝ち馬ソングラインは続く紅梅ステークスを最速上がりで3馬身差の完勝。

王道のチューリップ賞からスタートした母とは違うステップを踏むのも、まだ実が入り切らない馬体に安定しないカイ食いから本番までレース間隔を空けたい陣営の思惑があるだけに、今回もそのポテンシャルでどこまで走れるか。全兄ジナンボーやラインベックより牝馬な分、柔らかい印象があるだけに今の東京の軽い芝は合いそうで確実に賞金を加算しておきたいはず。

⑦ステラリア(◎)

初勝利を挙げるまでに3戦を要したが、デビュー戦の勝ち馬は野路菊ステークスで2着に好走するダディーズビビット、2戦目の勝ち馬は中京2歳ステークスを勝つゴールドチャリスとなかなか骨のある相手だった。

勝ち上がったデビュー3戦目はラスト300mで5馬身突き放す強い内容で、1800mの距離でこのレースぶりは価値が高く、前走のベゴニア賞は初めての長距離輸送で10kgの馬体減があった中、勝ったキングストンボーイに並ぶ最速上がりタイの脚を使ってクビ差負け。

1400m戦を1分21秒台で走るスピードに1800mまで対応できるスタミナもあるなら、あとは陣営も悲鳴を上げる馬体減りだけ。長距離輸送前から軽めの調整を余儀なくされているだけにポテンシャルでどこまで。

⑧カイトゲニー(⋯)

1800mの距離を使われたデビューから2戦は3着→7着と結果が伴わなかったが、1600mに距離を短縮した3戦目で勝ち上がると、1400mまでさらに距離を縮めた前走のつわぶき賞も連勝。

勝ち上がった際に騎乗していた丸山騎手も「返し馬で少しノメって、パンパンの硬い馬場が向いている」と話していたことや1400mを1分22秒0で逃げ切ったことからスピードタイプなのだろう。

昨年12番人気で激走したセイウンヴィーナスと同じカレンブラックヒルで不気味な先行馬ではあるが、距離延長ローテーションでもあるだけに様子見とする。

⑨アールドヴィーヴル(⋯)

フローラステークスで3着に好走したフアナの半妹。不良馬場で行われた京都1600mのデビュー戦はハナを切った馬が3着、2番手にいたヴィジュネルが2着に残る展開を次位より0秒8速い最速上がりで差し切り。

そのヴィジュネルは白梅賞まで勝っており、デビュー戦で子ども扱いしてみせた本馬にも期待がかかるが、
良馬場での走りは未知数で、東京への初の長距離輸送のクリアも必要。
松山騎手も大きな期待を寄せるノーザンファーム生産の良血馬ではあるぎ、③イズンシーラブリーの項でも述べたように前走新馬戦組の成績が芳しくないこともあり、今回は様子見とする。

⑩サルビア(⋯)

デビューから無傷の2連勝を飾ったが、続くファンタジーステークスはぶつけられて走る気を失くしたり、前走の阪神ジュベナイルフィリーズでは折り合いを欠いたように繊細な牝馬。

ただ、折り合いを欠いた中でも0秒7差に粘ったように能力はあるはずで、デビューからの連勝はラスト3F 12秒3-11秒3-11秒3 の直線勝負となったデビュー戦、りんどう賞はラスト4F 11秒8-11秒8-11秒8-11秒8 と減速がないラップを5馬身差をつけて圧勝と、重賞で勝ち負けするだけの力はあると見ている。

現状では外に張ってしまう右回りから、グレナディアガーズを下した左回り替わりはプラスに働くはずで、折り合いさえつけばマイルも守備範囲。
横山典騎手なら折り合いを重視して後方待機策をとりそうなだけに勝ち切るまでは難しそうだが、11番人気なら大穴で期待したい。

⑪エイシンヒテン(⋯)

6月のデビューから地道にキャリアを重ねて、3戦目の小倉1200mではフリードの2歳JRAレコードに対して最速上がりで追い込んでの0秒3差②着。
続く4戦目も小倉での1200m戦になったが、乗り替わった武豊騎手にハナに導かれると逃げ切っての勝ち上がりを果たした。

昇級初戦は2Fの距離延長だったこともあって8番人気の低評価だったが、ここでも最内枠を活かしてハナを奪うとそのままマイペースの逃げ切りで連勝。
1分34秒3の勝ち時計は一見すると平凡に映るが、同日の3勝クラスと0秒2差に迫る優秀な数字。

控えて3番手からの競馬になった前走のGⅠ阪神ジュベナイルフィリーズは直線でズルズルと下がって0秒9差の11着に敗れたが、1000m通過60秒4のマイペースで逃げられた前々走から中1週で同58秒7のペースを追走では厳しかったかも知れない。

強い勝ち方をした白菊賞と同じ阪神1600mのチューリップ賞が3週間後にありながらの参戦は、中2週で使うためのステップかどうか。白菊賞の内容からはフレッシュな状態で良さが活きそうに映るだけに8番人気の今回は穴で期待したい。

⑫カナリキケン(⋯)

8秒以上も離れた入線となったデビュー戦から、3戦目で初勝利を挙げた。
負かした2着以下の馬から勝ち上がった馬はおらず、当時は強風で差しが利きづらい展開の恩恵があっての勝利とも見れたが、前走の若竹賞は不良馬場の中、牡馬を相手に0秒4差の3着に好走。

タフな経験においては優位で、デムーロ騎手への乗り替わりも魅力に映るが、開業6年目の竹内調教師はオープンクラスでの勝利が万葉ステークスを勝ったトミケンスラーヴァのみ。厳しいかも知れない。

⑬ミヤビハイディ(⋯)

体質の弱さからからデビュー前から状態面に関して慎重なコメントが続き、馬体重も新馬戦から-6kg→-4kgと減らしている。良化途上の中、先行して0秒2差に粘った前走の菜の花賞には情状酌量の余地を残すが、重賞の舞台での好走を望むのは酷に思う。

⑭インフィナイト(☆)

不良馬場だったデビュー戦は好スタートを決めて2番手から抜け出すセンスのある勝ち方。鞍上の北村友騎手がターフビジョンを横目にする余裕がありながらの2馬身半差での快勝だったが、続くサウジアラビアロイヤルカップはさらに荒れた不良馬場。

朝日杯フューチュリティステークスでも2着に好走するステラヴェローチェの豪脚に屈する3馬身差の完敗だったが、自身もメンバー中2位の上がりを使って2着は確保しており、男馬を相手に十分強い内容だった。

良馬場でどこまで走れるかの期待を背負った前走の阪神ジュベナイルフィリーズは1秒3離された14着。
大敗に違いはないが、持ち時計だけでいえば3秒以上は詰めており、2週連続で追い切りに跨った北村友騎手は良馬場での走りをまだ諦めていない。

牝馬ながらデビュー戦の馬体重は490kgと馬格に恵まれており、道悪を得意にしていることは確かでも、馬場以上の懸念材料が軽症でもノドのトラブル。
能力はあるかも知れないが、軽い馬場に乾燥する気候と乗り越えるべきハードルは低くない。

⑮レッジャードロ(⋯)

前走のデビュー戦で負かした馬からまだ勝ち上がった馬は出ていないが、出遅れて後方からの展開になりながら次位を1秒4も上回る最速33秒9の上がりで先行馬を飲み込んだ末脚は圧巻。

冬の中山で3歳馬の上がり33秒台は簡単に出せる数字ではないだけに能力はありそうだが、藤田菜七子騎手では馬の能力頼みの無難な競馬になりそうで、キャリア1戦の馬には酷に思う。

⑯ハッピーオーサム(▲)

米GⅠサンタアニタオークスを勝ったウィラビーオーサムを母に持つディープインパクト産駒で、2018年のセレクトセールで1億1340万円で取引された良血馬。

2戦目の阪神2000mが初勝利だったが、その勝ち時計2分1秒4は前々週のエリカ賞より2秒も速く、1000m通過が1秒6流れたこともあるが、前日の元町ステークス(3勝クラス)より0秒1遅いだけの価値を感じる数字だった。

距離短縮ローテーションで臨んだ馬は過去5年で【2.0.1.4】としており、昨年のミヤマザクラも当時の上がり3Fの自己ベストが35秒3でありながら先行して勝利を挙げた。
この距離での先行力となると厳しい印象もあるが、日々のケイコからまたがる岩田望にとっては思い入れも強いはずで、今年に入って団野騎手、菅原騎手と同期の重賞初勝利が続いているだけに馬質で勝る分、焦りもあるはず。10番人気での伏兵であれば気楽に構えられるだろうし一発を期待したい。

【結論】
本命 ⑦ステラリア

馬単とワイド流し ②⑥⑭⑯

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