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Exhibits of Exhibits: アクアガーデンのQ&A

先日受けたインタビューを、べよさん(@behonest00033 )が訳してくださりました。
訳文をお借りして、私のnoteに記載させていただきます。べよさんありがとうございます。
自分の答えに関しては、私が意訳を行っております。

元の記事はこちら

Exhibits of Exhibits: アクアガーデンのQ&A

9月の特集である「アクアガーデン」を取り上げる一環として、このゲームに関するちょっとした追加情報をお届けしようと思っています。ゲームは人の手によって作られており、私たちが知るのを楽しんでいるこういったちょっとした情報の一つは、ゲームの背後にいる人たちのことを垣間見ることができるかと思います。デザイナーの中には、表舞台に立つことをためらう人もいれば,表舞台のど真ん中に率先して立つ人もいます。

日本のインディー出版社であるuchibacoyaとデザイナーの戸塚中央氏に関していえば、自分たちのゲームについて話すことは何よりも嬉しいことかと思います。ただ、彼らにとってみれば、少なくとも欧米の人たちに対してなかなかそういったことができません。単に地理的な問題や言葉の問題が障壁となるというわけではありませんが、それらが要因となっていることは間違いありません。また、日本における力強く活発なインディーゲームの出版状況における競争に勝ち抜く必要もあります。そういうことから、私たちが、彼らに「アクアガーデン」の話を聞きたいとアプローチしたところ、彼らが親身になって返事をしてくれたことが、みなさまには想像できるでしょう。

日本のボードゲーム市場は、デザイナーが比較的少ない労力で自作ゲームを世に送り出して腕試しをすることができたり、種々のアイディアを用いて自由に実験を行うことができたりする寛容さと利用しやすさで長い間有名でした。より大きな課題は、そのゲームが十分な人に届き、人気を博して売り上げが伸びるかどうかということです。より洗練された製品の生産手段として、Kickstarterのようなクラウドファンディングのプラットフォームが出現し、利用されるようになったり、The Game Crafterのようなオンデマンドで印刷する会社が台頭したりする前は、同じく北米でも、かつて多くのゲームが自費出版・自己製作で多くのゲームが作られていました。いまだに日本の出版社の多くは、昔ながらの、少ない資金で運営し、自分たちで材料を調達しています。同人ゲームとして名前がよく知られていますが、そういったゲームは1度に数十個とかおそらく100個程度しか印刷されないことも珍しくありませんし、同人ゲームの出版社で、ゲームの製作販売が主な収入源となっているところは少ないようです。具体例をいうと、uchibacoyaの場合では、「アクアガーデン」に大量に封入されているような、木製ミープルのリソースキットに特化した、こじんまりとしたボードゲームショップを運営しています。uchibacoyaは、いくつかのタイトルを既に抱えていますが、「アクアガーデン」は、uchibacoyaにとって最初の世界的な出版プロジェクトというだけでなく、過去最大の生産量でもあり、何が起こるか予想できないものでした。
(訳注:インタビュアーは、主として個人が行う同人ゲームの出版と小規模出版社(スモールパブリッシャー)を同じ意味で使っているようです。uchibacoyaは小規模出版社という立場のがより近いかと思われます。)

このことは、2021年に2つのゲームを発表した、注目されているデザイナーの戸塚中央氏にも同じことがいえます。彼らの作品がより大きなステージに手を広げると同時に、私たちは、特に、かわいらしい水生生物をテーマにしたゲームの製作中に彼らがどのようなことを考えていたのかということや、彼らの創造的な努力の成果物が地球の裏側にまで届くのを見て何を感じたのかということについて興味が湧きました。そこで、私たちは、尋ねたのです。

以下では、要約し、少し編集を加えた彼らとの会話をお届けします。彼らが、問題となっていたゲームの配送やそのスケジュールを組むことに注力しており、少しだけ時間がかかりました。さらに、英語が戸塚氏の母語ではないことから、戸塚氏の返答は短く簡潔なものとしました。彼の言葉数の少ない返事によって、彼の興味深い回答の価値が減るものではありません。願わくば、あなたにとっても興味深いものであることを祈ります。

楽しんで!

Cardboard Republic(以下「CR」という):あなたのゲートウェイゲーム(入口となったゲーム)は何でしょうか。

戸塚:「シドマイヤーズ シヴィライゼーション:ボードゲーム」です。

CR::最近遊んだゲームで本当に楽しめたゲームは何でしょうか(自分のゲームを除きます。)。

戸塚:最近では「Madeira」や「Russian Railroads」が面白かったですね。軽いゲームでは、「シミロ」や「ドラフトザウルス」が良いゲームだったと思います。

CR::あなたのゲームのコレクションはどれくらいのものですか。

戸塚:それほど多くはないと思います。全部で50個くらいでしょうか。

CR: 好みのタイプのゲームは何でしょうか。

戸塚:個人ボードを強化していくようなゲームが好きですね。ゲーム中に成長が実感できることが楽しいです。

CR: 「モノポリー」についてはどう感じますか。

戸塚:最近では「どうぶつの森」とコラボレーションしてましたね。テーマを変えて何度も出版されている偉大なゲームだと思います。


【アクアガーデンについて】

CR: 最初に、このゲームの木駒の動物たちがかわいらしく、素晴らしい仕上がりになっていることを言っておきます。初めから、ゲームの見栄えがこのようなものになることを想定していたのですか。

戸塚:アクアガーデンは、初期の企画段階からuchibacoyaとともに作り始めていました。uchibacoyaの強みの1つが、魅力的な木駒を作れるところにあります。私は、当初から、すべての木駒を最大限に活かす方法を考えていました。

CR: 水族館を立ち上げて、他の人と競い合うというアイディアが興味深かったです。どのようにして(そのアイディアが)生まれたのでしょうか。

戸塚:それは(個人ボードを)比べて欲しいというアイディアでした。私は、プレイヤーが作る水族館の見栄えでも、勝利点でも競ってもらいたかったのです。ゲームが終わった後、プレイヤーには完成した水族館をそれぞれ見比べてもらい、その結果(完成した水族館)について話し合ってほしいと思いました。

CR: アクアガーデンの魅力の1つは、それぞれの生物には特性があるところで、計画とプレイヤーの水槽に入れる動物との間で適切なバランスをとることにあると思います。当初はゲームに実装されていたが、最終的には除かれてしまったり、うまく機能しなかった動物はいますか。

戸塚:少しだけいます。当初は、ジンベイザメの代わりにマンボウが入っていました。ですがそのほかの動物については大きな変更はありません。(動物の)セレクトは、すべて私とuchibacoyaの個人的な好みが反映されています。

CR: 2つの異なる移動トラック、動物の配置条件、マイルストーン、イベントというように、45〜60分のゲームのためにバランスを取るべき部分が多くあると思います。そのプロセスはどのようなものでしたか。また、どのようにして、自分が満足できる地点に到達したと実感しますか。

戸塚:ゲームデザインの初期の計画段階から、確認しておくべき重要なポイントがありました。
1.すべてのプレイヤーにおいて、ゲーム終了時の盤面が豪華になっていること
2.勝利点においては差が生じなければならないこと
3.運の要素と強くなりすぎない程度のインタラクションがあること

このような目標に基づいて、うまく機能する組み合わせを見つけるまで、様々なメカニクスを組み合わせたり何度も分解したりしました。特に、移動トラックのアイディアはuchibacoyaからもたらされたものです。

CR: アクアガーデンのゲームデザインの中には、「ヘブン&エール」の影響を受けていると他の場所で言及されていました。アクアガーデンのゲームデザインにおいて、特にそのゲーム(ヘブン&エール等)の影響を受けたところはどこですか。

戸塚:「アクアスフィア」(訳注: アクアガーデンの誤記?)は移動トラックとパズルの両方が組み合わさっています。トラックは木駒を得るためのマスと収入を得るためのマスで構成されており、思考と決断を迫られます。これらは「ヘブン&エール」から直接影響を受けたアイディアです。

CR: uchibacoyaがあなたのゲームを見て、出版することに決めた経緯について教えてください。

戸塚:そんなに多く語ることはありません。(出版するのは)当たり前だという感じで、簡単に決まりました。私は、uchibacoyaと仲良くさせていただいており、彼と打ち合わせを重ねながらこのゲームを製作しました。

CR: これがキックスターターを利用する初めての経験でしたよね。アクアガーデンに興味を持ってくれるかどうか不安などはありませんでしたか。また、アクアガーデンの評判をどのように見ていましたか?

戸塚:キックスターターにおける成功と失敗は、数字として如実に表れてしまいます。始める前は私はとても不安でした。もっとも、特に最初の方から支援してくれた日本のファンを含む多くのバッカーの支援のおかげで、不安はすぐに消し飛びましたね。

CR: 今年、あなたが発表されたゲームは、ほかに「イッツファイブピーエム」があります。アクアガーデンと比較して、どのような経験がありましたか。

戸塚:小さい規模での出版であり、対象とするプレイヤーも異なっていました。「イッツファイブピーエム」は、友達と一緒に語り合いたくなるようなゲームです。ゲームシステムだけを抜き出すとちょっと無機質なパズルのように思えるかもしれません。各自のストーリーを思い出してもらって、他の人との親交を深めるために利用してほしいですね。

CR: 最後になりますが、皆さんにもあるのと同じように、あなたのお気に入りの水族館の展示はなんでしょうか。

戸塚:特に好きなのはクラゲの展示になります。ずっと見ていられますね。

(終わり)


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