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ビルドウォー デザイナーズノート

9/2よりKickstarterが開始するビルドウォーのデザイナーズノートです。
どのような意図により作られたゲームかをまとめました。
ゲームシステムの内容が気になる方は読んでいただけますと幸いです。

目指したのは「TCG」ではなく「TCGライク」

ビルドウォーはTCG(いわゆる2人対戦型カードゲーム)ではありません。
TCGには既に、マジック:ザ・ギャザリング、ポケモンカードゲーム、遊戯王、デュエルマスターズ等、既存の有名作が複数あります。また同人2人対戦型カードゲームもいくつも存在しています。
今回目指したのは上記のようなTCGではなく、TCGが持つ面白さを抽出濃縮した「TCGライク」なゲームでした。

TCGから抽出濃縮したのは「構築の楽しさ」「コンボの快感」です。
ハイテンポでデッキ構築を行い、その後全員同時に1ターンだけコンボが続く限りカードをプレイする。
カードプレイ中、他者へのインタラクションは全くありません。各々が自分が組んだデッキと向き合いながら最善手を考えます。

ですから意図的に手札破壊や妨害といった要素は排除しています
対戦での殴り合い要素はバッサリ削ったわけですね。
そのため対戦によるジリジリとした殴り合いをお求めの方には合わないかもしれません。
「コンボがぶん回ってる時のあの快感」を上手く再現するため全力を尽くしています。

TCGライクとしたことでいくつかの点でTCGとは差別化を図っています。
・4人同時カードプレイ
・ハイテンポなデッキ構築
・様々なぶっ壊れカードの実装

特に「1ターンだけカードプレイ」とすることで、通常のTCGでは実装しにくいような壊れ能力を多数入れています。

チャレンジャーズとの差別化

TCGの面白さを抽出したTCGライクなゲーム 、と聞くと最近話題のチャレンジャーズが思い浮かぶ人も多いかもしれません。
ビルドウォーも謳い文句としては全く同じです。TCGの面白さを抽出したTCGライクなゲーム。
ただコンセプトが異なりますし、遊んでみたらプレイ感も全く違うことが分かると思います。
ですが「遊んでみたら分かる」では意味がありません。この記事の存在価値が塵となって消えてしまいます。
ですから、なんとか頑張ってその差を書いていきましょう。

チャレンジャーズの特徴

チャレンジャーズ自体のルール説明は省きますが、このゲームには以下の特徴があります。
・デッキ構築は簡潔
・対戦は自動処理
・TCG大会の雰囲気再現

チャレンジャーズは「TCG大会」をコンセプトにしたゲームです。
本来なら1日かかるような大会の雰囲気を上手く短時間にまとめあげています。
そのため対戦は非常に簡潔です。時間も思考量もあえて軽くしています。
人を変えデッキを変え、サクサク何戦もする必要があるわけですから、対戦自体には重きを置かなかったわけですね。

上記のような理由により、チャレンジャーズからは「カードプレイの楽しさ・悩ましさ」や「プレイングスキルの反映」は排除されています。

ビルドウォーは1ターンキルコンボゲーム

それに対して、ビルドウォーはTCGにおける「1ターンキルコンボ」が元になっています。
あのコンボがグルグル回って自分のターンが延々と続く時間。あそこを切り取ったゲームです。
そのためチャレンジャーズと同じく「対戦」には重きを置いていないのですが、その代わりに「カードプレイ」には重きを置いています
どのカードを構築すればシナジーがあるのか。どうプレイすればコンボが途切れないのか。
それらにかなり頭を悩ませながらプレイします。
プレイングスキルが大きく反映されるのも特徴です。

どの順番でどのカードをプレイするか

ここに大きなジレンマがあるのがチャレンジャーズとの大きな違いだと思います。

ビルドウォーのコンセプトとしては以上です。
続いて細かい内容を説明したいと思います。

目に入る情報を少なくする

ビルドウォーはとにかくゲームへの導入を早くしようと考えました。
よく言われる「何回か遊んでからが本番」ではなく「初回から本番」を目指すためです。
そのため、プレイヤーに提示される情報を可能な限り少なくする、としています。

①カードの情報量を減らす
ビルドウォーのカードにおいて、ゲーム中に必要な情報は以下の3つです。
・色
・左上の数字
・カード効果

また全カードの1/3はヴァニラ(効果無し)で構成されています。

②提示するカード枚数を減らす
デッキ構築フェイズでは、
カードプールから2枚引く→1枚は自身のデッキに、1枚は捨て札に
を繰り返して構築していきます。
そのためプレイヤーに都度新しく提示されるカードは2枚だけです。

これらを実装した大きな理由は「プレイヤーがカードの情報に圧倒されないように」です。

既存のTCGではやはりカードに記載された情報量が多めです。
コスト、種族、HP、攻撃力、防御力、カード効果、etc…
デッキ構築も同時に行うマジック:ザ・ギャザリングのブースタードラフト戦では、初期7枚のカードを1枚取って隣に回してを繰り返します。
マジックに既に慣れ親しんでるプレイヤーであればどんどん提示されるカードの情報も苦なく読み取ることが出来るでしょう。
見慣れたカードたちなわけですからね。

ただ、これから初めて遊んでもらうビルドウォーではそうはいきません。
急に何枚ものカードを提示されてしまうと「どのカードを構築しようか」以前の問題として「どのカードに何が書いてあるか」の把握に精一杯になってしまいます。
構築、カードプレイを楽しむまでのハードルが高くなってしまうんです。

それを避けるため、
・カードに記載される情報は限りなく少なく
・毎回提示されるカード枚数も少なく

としました。
「ドラフト戦にしないんですか?」と聞かれたこともあるのですが、採用しなかったのは上記のような理由です。
ただドラフト戦自体は面白いと思うので慣れた人向けにヴァリアントルールとして実装するのは良いかもですね。

ダウンタイムを減らす

ダウンタイムとは、ざっくり言えば「手持ち無沙汰な時間」です。
やることがない。悩むこともない。そんな時間。
長考問題もここに関係してくると思います。
自分が考えてる時間=相手を待たせてしまう時間、となってしまうのが問題なわけですよね。

ビルドウォーはゲームの大半が「同時手番」で進みます。
そのため全員が一斉に構築したりプレイします。
結果的に手持ち無沙汰な時間をとことん無くし、自分が悩んでる時間=相手も悩んでる時間とすることで他者を気にせず悩むことが出来ます。

その代わりにインタラクションは弱めです。
ここで心配なのはインタラクションが弱いゲームに対して「1人で遊んでるのと変わらない」と言われてしまうことです。
ビルドウォーではなるべくそうならないようにも注意しました。

構築は麻雀風チキンレース

なんか料理の名前みたいですね。

構築フェイズでは全員同時に構築していきます。
カードプールから2枚引いて、1枚は自身のデッキに、1枚は捨て札に。
この構築は麻雀の役作りと同じ感覚です。
さらに「これでデッキは完成だ!」と思ったならば、リーチ(ゲーム内ではオーダー)をかけられます。

デッキは構築枚数が多ければ多いほど強くなりやすいです。
そのため、早めに仕掛けることが出来たなら他の人が強くなる前に勝負出来ます。いわゆるアグロ。
ただしリーチしたとしても上がれなければ他の人のデッキはどんどん完成してしまいます。

つまり「どこまで構築するか」のチキンレースなわけです。
ですから全員同時で構築するとはいえ「誰のデッキが完成に近いのか=誰がリーチしそうか」を気にしながらプレイしていきます。
他人との相互干渉(インタラクション)自体は強くないかもしれませんが、他の人がどれくらい構築が進んでるか、は雰囲気として卓内で共有されていきます。お互いの顔色を見ながら構築していくわけですね。
その辺りも麻雀感があるかもしれません。
1人で黙々とゲームするような空気にはならないよう目指しています。

カードはド派手に

ビルドウォーは「1ターンだけコンボをぶん回す」ゲームです。
カードプレイは1ターンのみ。相手への妨害要素はありません。
その制約のため、たとえカード効果が壊れててもゲームには影響しないように出来ています。だって1ターンしかやらないんですから。

ビルドウォーを作るにあたって、各種TCGでの禁止カードを調べに調べました。
そして「それらの禁止カードをさらに強くして」ビルドウォーには実装しています。
もし普段TCGを遊んでらっしゃる方がいましたら、元ネタを考えてみるのも楽しいかもしれません。

プレイスペース制限

これらのカードにはプレイコストが存在しません。どのカードも好きなタイミングでノーコストでプレイ出来ます。
その代わり「プレイスペース制限」というものが存在します。無制限というのも楽しくないですからね。

カードは7つのプレイスペースが全て埋まるまでプレイすることが出来ます。ということは、7枚しかプレイ出来ないんでしょうか。
そうではありません。一度プレイしたカードは1つのスペースに『部隊』としてまとめることが出来ます。

例えば赤の1、2、3、4、5とカードプレイをしたとします。
おやもう5スペース埋まってしまいました。
ただしこれらのカードで1-2-3-4-5という『部隊』を作ることで1スペースにまとめられます。
つまり4スペースがまた使用出来るようになるんです。
上記を繰り返しながら、7スペース全てが埋まるまでカードプレイを繰り返せます。

このゲームの目的は上記の『部隊』を多く作り戦力を上げることです。
どのカードをプレイしたらデッキから適切なカードを引っ張って来れるのか。
どの順番でプレイすれば部隊を多く作れるのか。
こういったコンボ+パズルの要素が強くあり、そこに非常に頭を悩ませる造りになっています。

負けても次がある仕組み

ビルドウォーは4ラウンド制のゲームです。
構築+カードプレイを4回繰り返します。
構築したデッキは持ち越しません。ラウンド毎にリセットされます。
ですが前ラウンドで負けたプレイヤーは、構築したデッキからカードを5枚持ち越せます。
勝ったプレイヤーはゼロから構築。
負けたプレイヤーは5枚のアド。
つまり「このラウンドは負けたけど次は勝てるぞ」と思えるような工夫を施しています。

またビルドウォーには「アドバンテージカード」があります。
これは毎ラウンド2枚ずつ増えていく、条件付きボーナス戦力です。

これらの条件が増えるにつれ、後半になるに従ってどんどんアッパーな展開になっていきます。
そのため逆転の可能性は最後のラウンドまで消えません。
とは言え、最後の問題は100万点、みたいなのだと萎えてしまうため、そこはきちんと調整しております。

まとめ

ビルドウォーはTCGにおける「デッキ構築」と「カードプレイ」に焦点を当てたTCGライクなゲームです。
・楽しめるまでのハードルを低く
・ダウンタイムをとにかく少なく
・全プレイヤーが最後までやる気を失わないように

を最大限目指しました。

もし興味を持っていただけたのであれば、9/2開始予定のKickstarterプロジェクトをチェックしていただけますと幸いです。

https://www.kickstarter.com/projects/revengend/revengend-storyvar2?ref=clipboard-prelaunch


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