KOC2020決勝

個人的なハマり具合を表すために自分の点数もつけてます。



1、滝音 

漫才がメインのコンビですが、漫才でみせるオリジナルワードを含む掛け合いを残しつつ、コントならではの設定を生かしたボケもあり、素敵でした。

漫才だと後半に畳み掛けられるけど、「試合中のフードファイター」という設定上、あまり会話に専念させるのは違和感があるので、漫才ほどの畳み掛けは難しい設定。

前半はコントの種明かしで笑いを積み重ね、後半は漫才さながらフリがしっかりある掛け合いベース。この前後半の変化をどう捉えたかが1つの分かれ目かな。

ウケてたから良しなのか、設定上の違和感を感じてしまうのか。さらなる大爆笑を期待するのか。

フリ→オチが綺麗なコンビなので自分は飽きずに終始楽しく見れ、大好きでした。

個人的には90点

 

2、GAG

どんどん変な方向に進んでいくのがらしくていいです。コント中の3人はみんな救われないけど、そこをポップに、面白く魅せられるのがGAG。

今、心と体がどんな状態になってるのか、ややこしいですが、それを感じさせず、すんなり理解して見れるのは3人の技術が高い証拠。

この3人が交わった時どんな爆発があるのか...!そんな展開を期待をした方もいると思うんですが、今回のメインは展開ではなく、「入れ替わり」の面白さなので展開を楽しみに見てた方は肩透かしを食らったかもしれない。3人で作る笑いどころは例年より少ないネタですし。

自分は後半のフルートが守備してるところとか、福井フルートを奏でるところとか、どんどんグチャグチャになっていく所はたまらなく面白かったです。

個人的には88点


3、ロングコートダディ 

あの間とか空気感をどう捉えるのか。そこが評価の分かれ目。

あの空気感の中で出る兎さんのワードと、堂前さんの戸惑い混じりの反応が面白いんだけど、爆笑するまでには至らず。Mー1の見取り図みたいに認知されてくるとウケは増えそうな箇所ですが。狭い設定で断続的な笑いを作っていくネタなので新しい試みではあるんですけどね。前がハチャメチャなGAGなので、そことの対比も人によって評価わかれそう。

前半、フリのような役割を担う時間(箱の並べ替え)があるんですが完全な無音が長時間続いたのが、もったいなかったなーと思いました。堂前さんの台詞とかでそれとなく、注目するべきところを意図的に絞るとフリがよく効かせられて、ウケも変わったんじゃないかな...と。

個人的には86点



4、空気階段

発想やワードが空気階段らしく大喜利に強いネタでいいスタートでした。もぐらさんの強いキャラに、かたまりさんの的確かつ緩急あるツッコミ。去年よりも空気階段の良さが光っていました。

単純にボケ数というより、笑いの種類が多く、シンプルなボケツッコミ。そして展開もあるので見やすく、流れを着実につかんでいたように見えました。

終盤の通話のくだり以降で、コントとしてのまとまりとか、これまでのボケの必然性とかが見てて、まとめあげてきた所は流石でした。そこに来て最後また1つ「先生!先生!」と連呼する設定的にも展開的にも盛り上がる所があり、最後に加速してオチをむかえたのが前3組より頭1つ出たかな、という印象。

個人的には93点


5、ジャルジャル

しつこさをよくフィーチャされてますが、無駄がないという所と、余計な味付けをしない所こそ、ジャルジャルがプロからも認められてる所以だと思います。同じことを繰り返しているようで、前のくだりを超える要素・展開があるのも気持ちいいです。

歌と野次という2つの掛け合いが、Mー1の「校内放送」「国名わけっこ」みたいに心地よくなってくるんですよね。手数の多さ、曲前など随所に見られるテンポのいい掛け合いは、近年漫才にも力を入れてきたことがコントにも還元されていると思いました。センス、技術、賞レースへの合わせ方、どれも完璧。

個人的には94点


6、ザ・ギース

2年ほど前の単独で見たネタ。試行錯誤を重ねてブラッシュアップされていました。

ハープということで、飛び道具的な扱いではありますが、前半はわかりやすいことをやっていて、すごくキャッチーなネタですね。

紙切り×ハープは、もっと拍手なり盛り上がりがあっても...と思ってしまいましたが。

ハープ大喜利みたいなネタで、全く新しい角度からのネタでしたね。ハープを余すところなく使い切ったところは丁度いい満腹感。

個人的にはあのくだりが良質なエンターテインメントを見たな!という感じがして好きでした。

個人的には91点


7、うるとらブギーズ

1ボケ目まで長かったですね..1分20秒ほどでやっと笑いどころがあるも、お客さんの反応は薄い。フリではなく世界観作りのための時間なので、もっとタイトでも良かったのかな、と。

2分あたりで本題なんですが、そこでも1くだりごとフリの時間が長かったですね。お客さんが冷めちゃってたように感じました。

各くだりのオチ「いいものを割っちゃう」核の部分は早々とお客さんに伝わってたんですが、「オチがわかっていても面白い」というロッチの「試着室」的なネタの域に達してないのは、所々に趣向が違うボケを入れて、1方向に絞りきらなかったからなのかな...と。特にその方面の天才ジャルジャルが出た後だったので、顕著に差を見られたか...という感じ。

見せ方を変えたら化けるネタだとは思うんですよね。オチ前の2人でふざけてることわかったままゆっくり割っちゃうとか、ああいう緊張感の中でのふざけみたいなものをもっと全面的に押してたら...結果は変わっていたかもしれません。

個人的には84点


8、ニッポンの社長

異質な者の人生という、ごっつええ感じのコント「トカゲのおっさん」を彷彿とさせましたね。文学的な味もある。

冒頭、異質なものが孤独なことを提示。

突然の出会いに生きる意味を見出す。

思いを音楽で表現する

もう文学です。

急に歌い出すアホさや、マイク持ってるとか、手の所作も一々面白い。

ミノタウロス女の歌でエッジ効いたセンスを見せてもらいましたが、そこからの展開がテンポよく進んでいって構成面でも素晴らしかったと思います。歌→ラップ→歌という流れになるあの選曲もバッチリ。

ミノタウロス女は猛牛みたいな声、終盤のケンタウロスは馬の声で、ちゃんと声を各々の動物によって分けている作り込み方もいい。

もう一本の「扉」は、何度も舞台かけて相当磨きあげられていただけに残念。

個人的には96点


9、ニューヨーク

披露宴の余興という設定が抜群で、テンポよくバカバカしさと狂気を共存させていきましたね。この相見えるのが難しい2種類の笑いをスムーズに1つのネタに落とし込めている流れは素晴らしかった。楽器、ボイパ、岩、ドリルとテンポよく移行していくのも鮮やか。

ネタの内容的には前半4組ぐらいとそこまで大差ないと思いましたが、屋敷さんのツッコミでコントとしての箔が付いてグレードがひと段階あがりますね。

個人的には92点


10、ジャングルポケット

ラスト出番向きではなかったですね。前半出番ならもう少し点数は伸びたかな。

前半、2人の娘情報をテンポよく出していくので、結構頭を使うネタでした。

そこにいない人物の話で終始進めるというのが、途中しんどかったですね。

もっと過去のネタみたいに、構成的、動き的なドタバタ劇を期待してしまいました。今回のは心理に重きを置くネタだったので。三村さんもそういう所で思ったように進んでないなぁと思ったのでしょうか。

あと、おたけさんがコント師として、またさらなる進化をしていると思いました。

個人的には85点



【最終決戦】点数は一旦フラットにしました。

1、空気階段

もぐらさんのキャラを活かすために普通の学生ではなく、定時制という設定にしているところがリアリティあっていいですね。

笑いどころは多くなくて賞レース用のネタとは対極にあるような単独ライブ用のネタの色が濃いですが、不思議と飽きなく最後まで見れるんですよね。

3位に通過で決して彼らの流れではなかったし、ネタも賞レース用では無いのに、あの5分間は確実に空気階段の空気に一変させたのは感動すらおぼえました。

みんなが作る「面白い」とはまた違うベクトルで笑いを作りに来ているのが新しかったです。

個人的には91点


2、ニューヨーク

知ってるネタでしたが、正直最初よく理解できませんでした。なんとか自分なりに解釈して書いていきますが、違う解釈あれば教えて欲しいです。

「髪切ったけど会話の流れ的に見せる流れ失ったなぁ」というあるあるをベースにしたコント。この状況を1番面白く描けるシチュエーションはどこなのか?これを追求したコントなのかな、と思いました。かまいたちのネタ作りみたいに、どのシチュエーションが一番面白いのかを大喜利的に考えたのかな、と(かまいたいちのマジックネタは監禁してる中、見せられてるのが1番面白くて...みたいなのをYouTubeでも言ってましたよね)

くだらない駆け引きを大迫力で真剣にやる面白さとでもいいましょうか。コントの中の本人達は真剣なのに俯瞰で見たら面白いという、見てる側の感性を問われるネタでしたね。

嶋佐さんがまくし立てるところは笑っちゃうなぁ。

職場の方が「鉄砲のシーンがやりたいって言ってたよねー。」と、あのオチのためのコントのような解釈してたけど、だとしたらあの設定で、撃つというオチは落差がなくて、選ばない気がするんですよね。

個人的には、89点


3、ジャルジャル

初めて見た時はタンバリンのみで、ドリームマッチ大竹さん×出川さんの夜逃げネタが頭に浮かびました。

久しぶりに見たらタンバリンの数も増え、笛や鈴も出てきて、とにかく色を強める作業でブラッシュアップしてきたんだな、ということがよく伝わってきました。

タンバリンさばきが上手くて、絶妙な所作。仮に落としたとしてもコントとして成立するし無敵な設定だと思いました。そこを面白いと思って5分展開も作ってネタにできるのはジャルジャルしかできないことだと思います。

オチが良い意味でジャルジャルらしくなくて、本当にとりにきてるな...と思いましたね。優しさをあそこで見せてきたとは。

個人的には92点

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