ホームレス小谷さんを小学校によぼう!
今回の記事はいよいよ本題。
学級×ホームレス小谷
そもそも小谷さんの話をしたきっかけは、前々回の記事で書いた「無駄話」の1つとして。
話の始まりは決まってこう。
「先生の友達に1日の給料が50円の人がいるんだけど……」
子どもは興味津々。それを家で話したようで、家庭訪問ではお子さんの話より小谷さんの話に花を咲かせることも笑
ある日、担任する子が言ったんです。
A「小谷さんに会ってみたい。」
B「会いたい会いたい!!」
C「先生、呼んでよ!!」
もう、Noとは言えない空気。
「……わかった!呼ぼう!!」とその場で約束。
とはいえ、どうやって呼ぶの?と。
Q、お金は? 学校予算は前年度決まってる。
A、50円だから自費か。交通費は黙ってた方が楽に事が進むな。。。
Q、名目は?
A、学校に呼ぶなら授業で呼ぶしかない。
外部講師として教えてもらうのは違う。
総合の授業で地域学習があったから、学んできた地域の良さを小谷さんに伝えて、さらに地域の良さを発信してもらうという名目ならいけるか??
Q、どんな手順を踏めば呼べる?
A、クリアしなきゃいけないのは校長や学校。あと、保護者。「ホームレス」という言葉が強烈なだけに他の学年や保護者に誤解を与えないような予防線が必要。
その日、思ったのは以上の3つ。
あと、ホームレスって言葉についてはおさえておいた。日常的に使う言葉ではなく、場面によっては人を不快にする言葉にもなりうる。だから、クラスでは「小谷さん」と統一して呼ぶことにしていた。
最初にアクションを起こしたのは夏休み前。
国語にあるプレゼン?みたいな単元を使って、校長先生に直談判する授業を仕組んだ。
小谷さんを呼ぶメリットをあげ、校長先生を納得させる発表を作り、実際に聞いてもらった。
反応はイマイチ。
事前に断りを入れたり、小谷さんが新聞の取材を受けた記事を読んでもらったり、理解はしてもらっていたが、呼ぶとなると難色を示す。
総合の授業の指導案を作り、計画書を添えて出しても、のれんに腕押し。
相談できる相手もいないまま、何も前進させられていないまま冬休みを迎えてしまった。
冬休み届いた一通の年賀状にはこう書かれてた。「小谷さん早く呼んで!!!」
残り三ヶ月。学校を通していては今年度中の達成は不可能だ、と悟ったので、思いつきで1月中旬の小谷さんの1日を購入。日曜日でした。しかも、購入日の一週間前に子どもにも伝えるという滑り込み。
とにかく小谷さんと子どもたちを会わせられる場を作ることが大事だと思いました。細かいことはあとで考える!!と。
そうなるとクリアすべきは保護者。
「何日の何時から〇〇公園にホームレス小谷さんを連れていきます。保護者の方 了承の上、もしくは送迎の上 参加を……」という頼み込み。
単学級、少人数クラスだから実行できたこと。
そして迎えた小谷さんを呼ぶ日。
残念ながら当日は大雪。これは無理だなーと諦め、小谷さんと車の中で待機。時間になっても誰もいない。
そんな矢先、向こうから歩いてくる子どもが2人。うちのクラスの子でした。
そこからも送迎してもらうなどして続々と集まってくる子ども。「〇〇さんは用事で来れないって。。。」などの声もありましたが、クラスの半数が来ていました。
小谷さんを初めて見た子どものリアクション、笑顔、興奮度は、忘れられない。
しかし、小谷さんと遊んでいたのはものの30分。結局子どもと2時間以上遊んでいたのは自分でした笑
では、小谷さんは?というと。。。
小谷さんを独占していたのは送迎して頂いた保護者の方達。完全に虜になっていた笑
あとから小谷さんに聞いたら「〇〇先生のことだから信用して子どもを連れてきた。」とのこと。ありがたい限りです。それまでの子どもとの距離感や学級経営を見て判断してくださったようです。翌日の連絡帳にもわざわざお礼を書いてくれる方も……。こちらがお礼する立場なんですが……。
こればかりは、もう保護者の方の理解に感謝するしかない。こういう経験は今後の人生で2度とやらないでしょうね。笑
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