ピルフェニドンはMRTF活性を抑制することで抗線維化効果を発揮する

Inhibition of MRTF activation as a clinically achievable anti-fibrotic mechanism for pirfenidone

European Respiratory Journal 2023 61: 2200604; DOI: 10.1183/13993003.00604-2022

【はじめに】
ピルフェニドン(ピレスパ)は特発性肺線維症に使用することのできる抗線維化薬ですが、長らくその標的は不明でした。今回ERJに、その標的がMRTFとついに同定されました。

【抄録】
背景:特発性肺線維症(IPF)は、肺の肺胞領域での異常な線維芽細胞/筋線維芽細胞の蓄積と過剰なコラーゲンマトリックス沈着によって特徴付けられる進行性の線維症疾患である。最初に承認されたIPF治療薬であるピルフェニドンは、肺機能の低下を顕著に遅らせるものの、その抗線維化作用の機序はまだ不明である。

方法:特発性肺線維症の肺組織を用いて遺伝子発現解析と免疫蛍光解析を行った。

結果:筋線維芽細胞がIPF肺に蓄積することで、MRTFシグナルが活性化されることを示した。さらに、ピルフェニドンが、臨床的に達成可能な濃度で、ヒト肺線維芽細胞でのMRTF活性化を阻害することも示した。ピルフェニドンは、間接的にMRTFとアクチンの相互作用を促進することによって、その抑制効果を発揮する。ピルフェニドン処理後のIPF肺では、非処理のIPF肺に比べて、線維芽細胞が集まる領域でMRTF活性化が著しく低下していた。

結論:ピルフェニドンによるMRTFシグナルの直接的な標的としての役割を示唆し、ピルフェニドンの抗線維化効果の一部が、肺線維芽細胞でのMRTF阻害による可能性があることを示唆している。

【コメント】
あまり話題にはならないのかもしれないけど、間質性肺炎専門にしている自分にとっては大きな発見です。 MRTF活性を抑えることで線維芽細胞の活性化を抑えるみたいですね。 ただ、個人的には標的細胞は線維芽細胞だけではないと思っているので、この知見をとある細胞で評価してみたい、、、

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