形質細胞が肺線維症の病態に関与している

Plasma cell but not CD20-mediated B-cell depletion protects from bleomycin-induced lung fibrosis

European Respiratory Journal 2022; 60: 2101469;
DOI: 10.1183/13993003.01469-2021

【はじめに】
近年では、B細胞の間質性肺炎における関与が少しずつ分かってきました。こちらは動物モデルをもちいて、B細胞の最終分化形態である、形質細胞が、肺線維症に関与していることを証明したERJの論文です。

【抄録】
特発性肺線維症(IPF)は、慢性的な炎症や組織のリモデリングを引き起こし、線維化、肺機能の低下、呼吸不全、死亡につながる間質性肺疾患です。ブレオマイシンによって誘発されるマウスの肺線維症は、人間のIPFのいくつかの臨床症状を再現しており、線維化が進行している部位に隣接して、主にB細胞からなる顕著なリンパ球集合体が肺に蓄積します。以前の研究で、B細胞がマウスのブレオマイシン誘発性肺線維症の発症に必要であることが示されました。肺線維症においてB細胞機能を阻害する治療法の可能性を調べるために、成熟したB細胞を免疫システムから選択的に除去し、ブレオマイシン誘発性肺線維症を抑制するために、抗CD20 B細胞除去療法の効果を調べました。抗CD20 B細胞除去療法は、このモデルにおいて線維化を減らすことはありませんでしたが、周囲の血液や肺に住む細胞の免疫表現型分析から、抗CD20治療を受けたマウスはCD19 + CD138 +プラズマ細胞の高頻度を保持していることが分かりました。興味深いことに、IPF患者の肺組織でもCD138 +細胞の高いレベルが確認され、マウスモデルと一致しています。プラズマ細胞を減少させるボルテゾミブの投与により、マウスのブレオマイシン誘発性肺線維症のレベルが減少しました。これにより、プラズマ細胞が肺線維症の発症と進行において重要な効果細胞であることが示されました。

【コメント】
自分たちの論文でも、B細胞分化形態のうち、形質細胞の割合が特発性肺線維症で増加しているのを確認しており、何らかの病態に関与している可能性がありそうです。詳細に解析をしてみたいところです。

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