自己抗体が特発性肺線維症の進行に関与している

Autoantibodies are associated with disease progression of idiopathic pulmonary fibrosis.
European Respiratory Journal 2023; DOI: 10.1183/13993003.02381-2021

【はじめに】
特発性肺線維症も自己免疫の関与があるかもしれない報告が続いてきています。

【抄録】
特発性肺線維症患者において病気の重症度と相関する自己反応性B細胞および自己抗体の潜在的な役割が報告されてきている。この研究では、特発性肺線維症患者には変異したB細胞が存在し、ペリプラキン(PPL)に対する自己抗体を有する患者は予後が悪いことが判明した。肺線維症のマウスモデルを使用して、患者で見られる自然発生型自己抗体を模倣した内因性タンパク質PPLに対する抗体を肺に直接投与することで、肺の損傷、炎症、コラーゲンおよびフィブロネクチンの発現を直接活性化する樹状細胞を介して誘導し、線維芽細胞の増殖を促進した。この線維芽細胞集団は、特発性肺線維症患者の線維化巣でも観察され、特発性肺線維症患者の末期対照群と比較して末梢血中で増加していた。本研究は、特発性肺線維症の複雑かつ異質な性質を再確認し、治療的介入に適する新しい経路を特定するものと考えられた。

【コメント】
抄録には書いていませんが、肺内でこのペリプラキンを産生しているのはCD138陽性形質細胞のようです。B細胞の関与が徐々に明らかになってきており、新たな治療戦略になる可能性は十分にあると思います。

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