ヒッタイトでテンションが上がる男

津本英利著「ヒッタイト帝国」を読了した。
想像以上に面白くてつい筆が走る。

これまでに学んだヒッタイトは、
「古代オリエント時代、アナトリア半島を中心に栄えた国で、鉄によって強国となりエジプトと争ったが、謎の異民族『海の民』の襲来によって滅亡した」
だった。

まるで違うじゃないですか。

その上、ヒッタイトという国は途轍もなく魅力的だった。
謎の神秘に満ち溢れている。

アナトリア中央部を統一した後、周辺の諸民族諸国家と抗争を繰り広げながら、拡大したり縮小したり。
バビロン第一王朝を滅ぼした後、統治を継続できずに撤退した辺りで、古代オリエントにおける領域国家形成の難しさを感じる。いや祭祀を重視する神権政治であることのほうが要因なのかな。
ムルシリ1世暗殺後の王位争いがグロすぎたのも面白かった。
領域国家となってからは、ミタンニやカシュカ族に苦しめられる。国としての統一権力を持たないカシュカ族が、巨大国家となっていったヒッタイトを苦しめるというのも、当時の統治の難しさを感じる。王様は大変ですね。
国が拡大すれば、新たなプレーヤーとしてエジプトも登場する。カデシュの戦いや和平条約など、教科書で見たぞ。やっと知っている内容が出てきた。

栄枯盛衰、盛者必衰の理。
滅亡の原因はわからない。マヤ文明の古典期終末期とかにも言えることだが、文字資料が乏しいとなかなか研究も難しいよなぁ。それでも真相を追い求めようという研究者の方々には頭が上がらない。

さて、鉄、海の民。否定されてしまった。否定、と言ってしまうと表現が強すぎるかな。
鉄はヒッタイトの専売特許ではなかった上、海の民が滅亡の単一要因とは到底考えられない、と。
あーあ、ロマンだったのになぁ。だが致し方ない。
こうやって様々なことがわかってきてこそ、歴史は面白い。

己の下衆さ故に、ヒッタイトが印欧語族であったことが、認識の歪みにつながってしまったのかと妄想してしまった。セムやアラムが闊歩する中、唯一の印欧語族が独自の力で強国を作り上げた。そんなストーリーを古代に求めて、そこにつながるヨーロッパ、という幻想を。「アーリア人」信仰からなるヒッタイト「神話」にヨーロッパ人たちが魅了されてしまったとか。
いやいやそれは深読みし過ぎだろうな。良くなかった。反省。

おい、そこじゃないだろ。
お前が何より面白がったのはそこじゃないだろ。

王の名前が、王様の名前が魅力的だったからだろ。
ラバルナ
ハットゥシリ
ムルシリ
テリピヌ
トゥトハリヤ
シュッピルリウマ
あなたはどれが好きですか。私はテリピヌです。
平仮名で書いたら、昨今のギャルタレントみたいで。
みちょぱ、みりちゃむ、てりぴぬ。
モデル出身の21歳かな。
照井、みたいな苗字に女子高校生の想像力が加われば、1年とかからずに「てりぴぬ」にたどり着きそう。
尚、この発想は私がギャル好きであることの証拠にはならないことを注意されたい。

かしゆかです!のっちです!てりぴぬです!
Perfumeじゃないでーーす!
てりぴぬです!はっとぅしりです!しゅっぴるりうまです!
Perfumeじゃないでーーす!
ヒッタイトでーーーす!

海賊船に乗った謎の異民族ヨシモト語系フースーヤ族が明日、アナトリアの沿岸に襲来する。


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