見出し画像

『船弁慶』千穐楽。


豊永 実紀(とよなが みのり)です。
船弁慶、千穐楽終演いたしました。

御来場くださった皆さま、配信を観てくださった皆様、誠にありがとうございました。

応募メールを送らせていただいたのが4月21日。こんなに時が経っていたのかと思います。

人生で何度か、オーディションのページを観た時に「この場所には私が立つんだ」と運命を感じる瞬間がありましたが(まあ、外れる時もある)

今回は絶対に絶対だ、と思って応募させていただき、無事に合格し、今に至って本当に幸せです。ただ一言、楽しかったです。これに尽きます。

idenshi195主宰、『船弁慶』作・演出の高橋郁子さんとお話しさせていただいた際、熱量を褒めていただきとても嬉しかったです。

あつくるしいと思われることも多々ある中、もっとすましていかなければならないと思った時もありましたが、腹を括り、やっぱり私はこっちだな、これでダメならそういう縁と思って挑んだものですから、それはそれはもう本当に嬉しかったです。ご縁に感謝しています。


観てくださった方、特に台本をゲットしてくださった方はご存知かと思いますが、今回私は平家の亡霊役を務めました。
細かくいうと平家亡霊7、女官役を務めさせていただきました。

平家の女官について調べたり、ゆかりの地について調べたり。作品を通して賢くなることがとても好きなのですが、とても豊かな思いをもった期間でした。
祖父が平家物語を教えていた資料を実家から持ってきたのですが、読んでいると私が産まれる前のもので。
じいちゃん喜んでるやろーなーと思いながら稽古期間を過ごしました。いずれ極楽浄土に行ったら聞いてみます。

主宰の高橋さんがTwitterで仰っていたように、平家一門は「集団としての主役」でした。
全員主役だと思って書いて演出していると仰っていたので、作者が仰ること、演出家が仰ることが全てだと思いますし、心からそう思い、全員と一体化して海に溶け込み風になり波になり亡霊として生きました。(亡霊として生きる。面白いですよね)(これを思うたび、ま、死んでるんですけどね!って思ってました。)

最初オーディションでこの存在を聞いた時はそんな役があるんだなぁと思っていましたが、実際に演じさせていただくとほんとに、「面白い」んです。
ワープをしてるみたいに没入する。良い意味で気づいたら終わってるんです。

私にも推しという存在がおりますが、推しが喋れば喋るほど嬉しいし前に出たら出るだけ嬉しいけれど、もう見えないんじゃないかってところで生きて生きて生き抜いている(今回は死んでますが)、きらりと光るものがある(今回は光ってはいけませんが)者が集合体になるって良いなと思いました。

観てくださった皆様はどういった形で咀嚼してくださったか気になります。
おそらく私のお客様は結構びっくりされた方が多いのではないでしょうか?

稽古を積み重ねながら、新しすぎる環境だけど、私、物凄く楽しいけど、どう思ってくださるかなと思っていたら、暖かい感想ばかりいただきました。
嬉しかったです。作品を楽しんでくださり、幸せです。ありがとうございます。良かったらまだまだご感想お待ちしております。

それぞれの中に景色がないと、お客様には伝わらない。特にこの朗読キネマは特質上、役それぞれの視点からの情景まで伝えることができるからこそ。より一人ひとりがその場にいる、空間を埋めるということが大事なのだと思い、日々過ごしておりました。皆様の目にどんな景色がみえましたか?

それぞれの中に、それぞれの船弁慶がある。本当に、おもしろいですよね。

それぞれの船弁慶といえば、感染症対策として作られたもう一つの組、The Trial Session(TTS)の皆さまの船弁慶も。

同じ台本でもこんなにもまた味が変わるのだと、たのしかったです。自分のことは物理的に客観視できないので、新鮮でした。

本キャストとTTS、どちらも観てくださったお客様の中にも、また、違う船弁慶がそれぞれあるのかなと思うとますます楽しいです。


キャストの皆さまもスタッフの皆さまもとてもあたたかく、素敵な方々ばかりで、さまざまなことを吸収しました。
おひとりおひとりが格好よく、眩しかったです。また、どこかでご一緒できるよう精進します。

もう20年近く前の話になりますが、私の父(映像業)が大塚周夫さんとご一緒させていただいた際私の話をしたら、後日、「声優になれるようがんばってね」とコメント付きの色紙をわざわざ送ってくださったことがありました。

当時の私(小学3年生くらい)ももちろん凄いとは思っていましたが、事の重大さがわかってなかったと思います。

あれから変わらずずっと声優になりたいと思い続け、そして今回大塚明夫さんがご出演とのことでオーディションを受けさせていただき、合格し、ご一緒させていただきこの事の重大さも、今後ゆっくりと身に沁みていくのだと思います。

本当に人として格好良い姿を目の当たりにし、胸が熱くなりました。

声優魂の最後のページを思い出しました。
わたしは、やっぱりこの仕事が楽しいです。
ありがとうございました。

シアター風姿花伝は、上京して初めて舞台を観た劇場でもあり、尚更感慨深いものがありました。
私の中に、ずっと忘れられないお芝居があります。この舞台もそうなっていれば幸いです。


幕が開き、誰も欠けずに終えられて本当に良かったなと思います。
今後も健康であり続けられてこその公演成功ですよね。引き続き感染症対策をしてまいります。

劇場での感染症対策や、また、公演を対策万全にしながら執り行うためのクラウドファンディングにご協力くださった方も誠にありがとうございました!


公演の存在を知った日、録音して提出した日、東京にオーディションを受けに行った日、、受かったメールを外で見て固まった日、、撮影、、顔合わせ、稽古、、小屋入り、、本番、、一つひとつが宝物の毎日でしたし、必死に駆け抜けたので、今からやっと身に染みて体の一部になっていくのだと思います。

言葉で風景をみせられる声優になりたいと常々思っている私です。そう思っている方々と溶け合えたこの期間、本当に本当に幸せでした。

得たことを胸に今後とも。

言えて嬉しい一言で終わります。

御来場誠にありがとうございました。

またこうしんしま!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?