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【D&D】『黒薔薇の騎士』 - レイヴンロフトの冒険と愛の闇の物語

正義からの凋落

 ジェームズ・ローダーによる小説『黒薔薇の騎士』は、かつての騎士ソス卿がどのようにしてアンデッドの騎士に変わり、レイヴンロフトのデミプレーンをさまようようになったのかを描いています。小説はアスティヌスの歴史書から引用されたプロローグで始まり、ソスの過去と現在が明らかにされます。 
 かつてソラムニアの騎士だったソスは、愛と嫉妬によって堕落し、死後にアンデッドの騎士として復活します。本編では、彼の目的と行動が明らかにされ、キティアラとの関係も焦点となります。

Knight of the Black Rose: Ravenloft The Covenant

 ソスはキティアラ・ウス=マタールの死後、彼女の魂を奪い、永遠の伴侶にしようと画策しています。パランサスの攻略や<上位魔法の塔>への侵入を通じて、彼の野望が描かれますが、キティアラの魂を手に入れることは容易ではありません。小説のもう一つの魅力は、タニスとキティアラの複雑な関係です。タニスはハーフ・エルフの英雄であり、ソラムニア騎士団に名誉職としての地位をもたらしました。キティアラはドラゴン卿であると同時に、タニスの元恋人であり、彼の心を翻弄します。作品では、この情熱的な冒険と複雑な愛の物語が織り成す闇に焦点を当てます。
 タニスは、キティアラを救おうとしていますが、彼女は彼を利用しているだけなのです。結局、キティアラの一番の理解者はソス卿だけであるというダラマールからの助言を受け、ソス卿の意のままにさせるのでした。 

キティアラの魂を求めて

 ソスの家令であるカラドックは、アビスの平原を渡ってタキシスの領域に到達します。彼はソスに命じられたように、キティアラの魂をメダルに封じ込めます。 カラドックは、ソスに魂を渡す代わりに、ソスがケモシュ神に祈り、自分を人間に戻してくれるように要求しました。しかし、ソスはこの裏切りに激怒し、カラドックを殺そうとします。その時、白い霧が二人を包み込み、ダルガールド城砦から遠く離れた森の中に彼らを転送するのでした。

死の騎士と幽霊

 ソスはカラドックに、彼がどのタナーリの領主にキティアラの魂を渡したのかを問い詰めますが、カラドックは記憶が曖昧です。
 ソスはカラドックを振りほどいて、木に斬りつけますが、木は口を開いて泣き叫びます。その音に反応して、森の中から巨大な狼たちが現れます。狼たちはソスとカラドックを包囲し、何者かの命令で彼らをその場に留めます。ソスはゾンビたちを送り込んできた「ストラード」という者に会うために、狼たちの後を追おうとしますが、カラドックは姿を消してしまいます。

死の騎士ソスとヴィスタニの老女

 一方、ストラード伯爵は、自分の城にある牢獄で、盲目で聾唖の予言者のヴォルドラに未来を占わせます。ヴォルドラは、ソスとカラドックが古い罪のためにバロヴィアにやってきたこと、彼らがストラードにとって有用であること、彼らの関係を利用することを書き残します。ストラードは、ソスとカラドックに興味を持ち、彼らについてもっと知ろうと決めます。
 ソスはヴィスタニのキャンプに到着し、老女のマダム・ジラニにバロヴィアの情報を求めます。彼は自分の名前や過去を明かさずに、ストラードと霧の秘密について尋ねます。 ジラニはソスに対価として自分の物語を語るように要求します。ソスはかつての恋人イゾルデとの不倫や妻殺しの罪を告白すします。ジラニはストラードのことを少し話しますが、ソスは不満を持ち、彼女を襲います。ソスはジラニのキャラバンに火を放ち、他のヴィスタニを殺します。彼はジラニの孫娘マグダを人質にして、城への道案内をさせるのでした。

ストラード伯爵との邂逅

 ソスとマグダは村の近くで、ドワーフの男が村人に絞首刑にされようとしているのを目撃します。ソスは興味を持ち、様子を見に行きます。ドワーフは何者かに助けられて村人を返り討ちにします。ソスはドワーフに話しかけ、彼がバロヴィアに来た経緯やストラードについて尋ねます。ドワーフはソスに自分の名前を教えますが、他のことは話しません。ソスはドワーフを仲間に誘うが、断られます。ソスとマグダは城へと向かいます。  
 ソスとマグダはストラードの馬車で城に到着します。馬車は運転手もなく、自動的に動きます。マグダは恐怖におののくが、ソスは興味を示します。
 ストラードは城の主人としてソスとマグダを歓迎します。彼はソスに興味を持ち、彼の過去や能力について尋ねます。マグダには礼儀正しく振る舞いますが、彼女を利用するつもりであることがうかがえます。
 ストラードはマグダに驚きを仕掛けます。彼は彼女の兄アンダリを拷問器具にかけており、彼はヴィスタニの一族を裏切った罰として、銀の刃で切り刻まれています。マグダは気絶しますが、ストラードは彼女を生かしておき、彼はソスにアンダリの情報を提供すると約束します。

ストラードとソスの対立

 ストラードはソスに自分の配下になるように命令しますが、ソスは拒否します。二人は互いに攻撃し、互角の力を見せます。
 ストラードはソスの過去を知るために、クリスタルボールを使っていたヴォルドラという老人を見せます。しかし、ソスはヴォルドラのクリスタルボールを破壊し、ストラードは怒ってヴォルドラを殺します。ヴォルドラは死ぬ前に、ソスに関する不吉なメッセージを残します。
 マグダはストラードの城から脱出しようとしますが、ガーゴイルと小さなレッドドラゴンに阻まれます。ソスが現れて助けるように呼びかけますが、ドラゴンはソスに襲いかかります。
 マグダは階段を上がってきたガーゴイルと剣で戦い、なんとか倒す。ガーゴイルの傷から灰色の膿が滴ります。 ソスは右腕に噛みついたレッドドラゴンと格闘します。ドラゴンの火炎はソスには効きませんが、ドラゴンの牙はソスの肉を引き裂きます。ソスは古代の魔法の言葉を唱えて、ドラゴンを黒いエネルギーで殺します。
 マグダはソスについて影の中に消えます。ガーゴイルたちは二人の後を追うが、間に合いません。ガーゴイルたちはストラードの怒りを恐れて落ち込のでした。

ロード・ソスの誓いとポータルの発見

ソスは、自分の名誉を取り戻すために、白い月の光の下で誓いを立てました。彼は自分の仲間の騎士に自分の罪を証明するつもりでした。
 しかし、彼は自分が仕掛けた罠にかかったオオカミの死体を見つけました。オオカミは何者かに噛み殺されており、その犯人は小さなブーツの足跡を残していました。足跡は人間の足に変わって途切れていました。
 ソスはマグダとともに足跡を追いました。マグダはソスに、伝説のヴィスタニの英雄クルチェクの物語を語りました。クルチェクは、地下の鉄の扉の向こうにあるポータルを見つけるために、角のあるネズミを追って地中に潜ったというのです。
 ソスとマグダは、マグダの物語に出てくる川の分岐点に到着しました。そこで、彼らはクルチェクの犬サバクの焼けた足跡を見つけました。ソスは魔法で鉄の扉を開き、ポータルへの通路を掘り出しました。

襲撃とストラードの登場

 ソスとマグダがポータルへの通路を掘り出すと、アズラエルが目や口が無数にある不気味な生き物に襲われているのを見つけました。生き物はアズラエルの精神に幻覚を送り込み、彼を恐怖に陥れました。 
 マグダもまた、生き物の力によって、自分が伝説の英雄クルチェクだと思い込みました。彼女は火の海に囲まれた部屋で、敵と戦う幻を見ました。
 ソスは、生き物の幻覚から解放され、マグダとアズラエルを助けました。彼は魔法の光で生き物の目を潰し、その心臓を握りつぶしました。
 すると、壁が開いて火の海が現れました。そこにはストラードが待っていました。ストラードは、火の海がクルチェクが探していたポータルではなく、死の落とし穴だと言いました。そして、ソスに和平を提案し、自分の領地にある本物のポータルの場所を教えると約束しました。

アズラエルの過去と巨人の襲撃

 ソスはストラードの提案を断りました。彼はマグダとアズラエルとともに、魔法の柱にもたれかかりました。アズラエルは自分の過去について話しました。彼はドワーフの都市ブリガロールから追放された理由や、獣人になった経緯を語りました。
 二人の話を聞いていたソスは、突然現れた二人の醜い巨人に対処しました。巨人はアズラエルが魔法の柱に触れたことで警報を発動させたと言いました。ソスは氷の壁で一人の巨人を遮り、もう一人の巨人と戦いました。アズラエルは巨人に捕まりましたが、ソスが助けに来ました。
 ソスはアズラエルが魔法の柱に触れたことが偶然だったのか、故意だったのかを問い詰めました。アズラエルは自分は何も知らなかったと言いましたが、ソスは信用しませんでした。ソスはアズラエルを見張るようにマグダに命じました。

巨人との戦闘

 ソスとマグダは、アズラエルが呼び寄せた二人の巨人と戦います。ソスは一人の巨人の手と頭を切り落とし、アズラエルはもう一人の巨人の喉をかみちぎります。
 マグダは、ソスとアズラエルが巨人と戦っている間に、彼らから逃げ出します。彼女は自分の服をおとりにして、アズラエルを欺きます。彼女はソスに見つからないように、一人で旅を続けます。

ソスの回想

 ソスは、かつてパラダイン神から与えられた探求を思い出します。彼はイスタルの神官王を止めるために旅立ちましたが、その途中で嫉妬と怒りで目がくらみ、試みは失敗しました。彼は自分の罪と運命に苦しみます。

ガンダル城への接近

 ソスとアズラエルは、ガンダル公の城に近づきます。彼らは城の下水道から侵入し、公の息子メドロートを殺します。彼らはメドロートの血で、別の世界へのポータルを開きます。
 ソスとアズラエルは、影の領域を通って別の世界に移動しようとします。しかし、彼らがたどり着いたのはバロヴィアのヴァラキという町でした。ソスはストラードに怒りをぶつけるために、町の人々を虐殺します。 影の領域を出るためには、影の守り人と影の犬に魂を支払わなければなりません。ソスはすでに魂を失っているので、通り抜けることができますが、アズラエルは影の守り人の手から逃れるために、影の中に飛び込みます。しかし、影の中は無限の暗闇と重力に満ちており、アズラエルは恐怖に陥ります。影の守り人は彼を助け出しますが、彼にも魂がないことに気づきます。

レイヴンロフト城への攻撃

 ソスとアズラエルは、ストラードの居城であるレイヴンロフト城へと向かいます。ストラードはゾンビやスケルトン、傭兵、ガーゴイルなどの軍隊を送り込みますが、ソスとアズラエルはなんとか抵抗します。ソスはカラドックの姿を見つけて、彼に雷を放ちますが、ストラードの魔法の防壁に阻まれます。ストラードはソスと交渉しようと現れますが、ソスはカラドックを追いかけるために、霧の境目へと向かいます。

 ソスとアズラエルの追跡を逃れるために、カラドックは山岳の森を駆け抜けます。彼は霧の境界に近づいていることに気づかない。ソスは影を使ってカラドックの前に現れ、彼を捕まえます。アズラエルは霧が上がってきていることに警告します。

カラドックの最期


 カラドックはソスにキティアラを決して手に入れられないと言って挑発します。ソスは彼の首を絞めて殺します。カラドックは死ぬ前に、ソスが霧に囲まれていることを見て、復讐が成功したと思います。
 霧の中で、ソスは自分の昔の姿と妻イゾルデの幻影に出会います。彼らはソスに善の神に従って新しい人生を始めるように誘うが、ソスは拒否してイゾルデと息子ペラデュアを殺します。すると、霧が晴れて、彼の新しい城ネドラガールドが現れる。ソスはクリンには戻れなかったことを悟る。


 いかがでしたでしょうか? ソスの歴史は、騎士道と愛と裏切りと復讐というテーマをもとに、壮大な物語を展開しています。登場人物たちの感情や葛藤がリアルに描かれており、読者を引き込みます。ファンタジー小説のファンなら、ぜひ読んでみてください。

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