メルマガ『東医宝鑑(東醫寶鑑)とういほうかん─古典から東洋医学を学ぶ─』第382号「単方」(内景篇・精)16

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 ◇ 東医宝鑑(東醫寶鑑)とういほうかん─古典から東洋医学を学ぶ─ ◆


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  第390号

    ○ 「単方」(内景篇・精)

        ◆ 原文
      ◆ 断句
      ◆ 読み下し
      ◆ 現代語訳
      ◆ 解説

      ◆ 編集後記
       

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 こんにちは。「単方」の最後、「鹿茸」「黄狗肉」「膃肭臍」です。
 

 ◆原文◆(原本の文字組みのままを再現・ただし原本は縦組み
      ・ページ数は底本の影印本のページ数)


 (「鹿茸」「黄狗肉」「膃肭臍」p86 上段・内景篇・精)


  鹿茸
 
    主夢泄止泄精灸去毛爲
    末或散或作丸服皆佳本草


  黄狗肉

     填精髓和五味
     煮熟空心食本草


  膃肭臍

     主精冷精衰灸爲末或
     散服或丸服皆佳本草


 ▼断句▼(原文に句読点を挿入、改行は任意)

鹿茸

  主夢泄、止泄精。灸去毛、爲末、

  或散、或作丸服、皆佳。本草。

 
 黄狗肉

  填精髓。和五味、煮熟空心食。本草。


 膃肭臍

  主精冷、精衰。灸爲末、或散服、

  或丸服、皆佳。本草。


 ●語法・語釈●(主要な、または難解な語句の用法・意味)


 ▲訓読▲(読み下し)

鹿茸(ろくじょう)

  夢泄(むせつ)を主(つかさど)り、泄精(せつせい)を

  止(とど)む。炙(あぶり)て毛(け)を去(さ)り、

  末(まつ)と爲(な)し、或(あるひ)は散(さん)、

  或(あるひ)は丸(がん)と作(なし)て服(ふく)すも、

  皆(み)な佳(よ)し。本草(ほんぞう)。

 
 黄狗肉(おうくにく)

  精髓(せいずい)を填(みた)す。五味(ごみ)を和(わ)し、

  煮熟(しゃじゅく)して空心(くうしん)に食(しょく)す。

  本草(ほんぞう)。


 膃肭臍(おっとせい)

  精冷(せいれい)、精衰(せいすい)を主(つかさど)る。

  炙(あぶっ)て末(まつ)と爲(な)し、或(あるひ)は

  散(さん)にし服(ふく)し、或(あるひ)は丸(まるめ)て

  服(ふく)すも、皆(み)な佳(よ)し。本草(ほんぞう)。


 ■現代語訳■
  
鹿茸

  夢泄に主として用い、泄精を止める。炙って毛を除き、

  粉末にし、散薬にしても、丸薬にして服用しても共に良い。

  『本草』

 
 黄狗肉

  精髓を填す。調味料で味を調え、煮て熟させ、空腹時に食す。

  『本草』


 膃肭臍

  精の冷え、精の衰えに主として用いる。

  炙って粉末にし、散薬にして服用しても、丸薬にして

  服用しても共に良い。『本草』


 ★ 解説 ★

 精の単方のうち、最後の三つ「鹿茸」「黄狗肉」「膃肭臍」です。
 これらもほとんど大丈夫でしょう。

 最後の膃肭臍の翻訳の冒頭、「精の冷え、精の衰え」は原文では「精冷、精衰」で、あえて訳さなくてもそのままでも良いかな、とも思います。

 これでようやく精の章の単方までを読み終わりました。
 次号は引き続き、精の項目、「導引法」を読む予定です。

 ◆ 編集後記

 単方の「鹿茸」「黄狗肉」「膃肭臍」。前号のこの欄で予告した通りに、
 三つまとめてお届けできました。

 まだ全部読み終わってはいませんが、この精の章を初めて読んだのが2019年の1月27日で、このひとつの章を読むだけで1年半以上かかっていることになります。

 おそらく次の導引法は2号で、最後の鍼灸法もまた2号で読み終わると思い、それでもあと1か月かかることになりますね。

 しばらく冒頭からの読みを続けてきましたが、単調な読みが続いたので、精の章を読み終わったら、次はまた以前のように何かテーマを決めて(いちおう冒頭からの読みも、冒頭から順に読む、というテーマはあるにはあったのですが)、このような医書を原文から読むのに、面白く読め、また読解力もつけるような部分を読んでみたいと思っています。
                      (2020.09.13.第382号)
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