メルマガ『東医宝鑑(東醫寶鑑)とういほうかん─古典から東洋医学を学ぶ─』第371号「単方」(内景篇・精)5
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◇ 東医宝鑑(東醫寶鑑)とういほうかん─古典から東洋医学を学ぶ─ ◆
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第371号
○ 「単方」(内景篇・精)
◆ 原文
◆ 断句
◆ 読み下し
◆ 現代語訳
◆ 解説
◆ 編集後記
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こんにちは。「単方」の「五味子」です。
◆原文◆(原本の文字組みのままを再現・ただし原本は縦組み
・ページ数は底本の影印本のページ数)
(「五味子」p85 下段・内景篇・精)
五味子
益男子精本草〇五味子膏澁精氣治夢遺滑
脱五味子一斤洗淨水浸一宿〓取汁去核(〓てへん妥)
以布濾過入鍋内入冬蜜二斤慢火熬
成膏毎取一二匙空心白湯調服本草
▼断句▼(原文に句読点を挿入、改行は任意)
五味子
益男子精。本草。
五味子膏、澁精氣、治夢遺滑脱。五味子一斤、
洗淨水浸一宿、〓(てへん妥)取汁、去核、
以布濾過、入鍋内、入冬蜜二斤、慢火熬成膏。
毎取一二匙、空心、白湯調服。本草。
●語法・語釈●(主要な、または難解な語句の用法・意味)
▲訓読▲(読み下し)
五味子(ごみし)
男子(だんし)の精(せい)を益(ま)す。本草(ほんぞう)。
五味子膏(ごみしこう)、精氣(せいき)を澁(しぶふ)し、
夢遺滑脱(むいかつだつ)を治(ち)す。
五味子(ごみし)一斤(いっきん)、洗(あら)ひ淨(きよ)ふし
水(みず)に浸(ひた)すこと一宿(いっしゅく)、
〓(てへん妥)(もみ)て汁(しる)を取(と)り、
核(さね)を去(さ)り、布(ぬの)を以(もっ)て
濾(こ)し過(すぐ)して、鍋内(かない)に入(い)れ、
冬蜜(とうみつ)二斤(にきん)を入(い)れ、
慢火(まんか)に熬(いり)て膏(こう)と成(な)す。
毎(つね)に一二匙(いちにさじ)を取(と)り、
空心(くうしん)に、白湯(さゆ)にて
調(ととの)へ服(ふく)す。本草(ほんぞう)。
■現代語訳■
五味子
男性の精を益す。『本草』
五味子膏。精気を漏れにくくし、夢遺滑脱を治する。
五味子一斤を洗淨して一晩水に浸し、揉んで汁を取り、
種を除去して、布で濾してから、鍋内に入れる。
冬蜜二斤を加え、とろ火で炒って膏を作る。
常に一・二匙を、空腹時に白湯に溶かして服用する。
『本草』
★ 解説 ★
精の単方のうち、五味子です。
前号で「五味」という語が出てきて五味子という生薬もあると書きましたが、はからずもすぐ次にその五味子が登場しました。こちらはもちろん生薬名としての五味子です。
文章がふたつあり、ふたつめに膏薬が紹介されています。
先行訳では五味子膏という名称を省略してあるのでひとつめとふたつめの文が続いているようになってしまっています。
さらに「種を除去して、布で濾してから」の部分を省略していて、先行訳に従った手順だと、鍋に入れるのが汁なのか、汁を取った後の五味子の方なのかがわかりにくくなっています。
前号で先行訳の「助ける」をもとに翻訳はじめ文章の記述に際しては、なるべく意味が多重に取れないような書き方を心がける必要がある、と書きましたが、この場合も同じですね。
鍋に入れるのが汁なのか、五味子本体なのか、大きな違いですよね。どちらかが明確にわかる文にする必要があると思います。
そして上記の省略があるので、先行訳の手順だと種が入ったまま、また濾さずに入れているので五味子本体を入れたとしたら、滓もはいりしっかりとつぶされず良い膏が出来ない、雑な手順になってしまっています。
これらはやはり省略してはいけない部分でしょう、先行訳をお持ちの方は補足していただけたらと思います。
◆ 編集後記
「単方」の「五味子」です。またひとつの生薬でお届けしました。
次の何首烏は文は短いですが、別にコラム的に取り上げたい事項があり、何首烏ひとつと別の文でお届けする予定です。
(2020.06.28.第371号)
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