にほんご回復中【3853字】|篠田千明
第二回 3853字 私は街にいると知らない人によく話しかけられる。他人から話しかけられるのが嫌ではない、というのがパッと見でバレているんだと思う。十数年前にポーランドのワルシャワ中央駅の地下のコーヒー屋で私に話しかけてきたおじさんにも、それは見抜かれていたに違いない。
今回は、今までも友人には話してきたけど、文章にしていなかったエピソードを書いてみる。
その時私は、ベルリンからワルシャワを通って、リトアニアのビリニュスに行く途中だった。ベルリンからは電車で一晩、午前中