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狐塚冬里
2014年11月30日 09:22
広げていた手紙を、上総さんは目を伏せて丁寧にたたみ直した。「そう悲壮な顔をするもんじゃありません。こうやって脅しをかけてきたということは、まだ手遅れだというわけじゃない」「……いえ、手遅れかもしれません」「どういうことです?」鳴海さんの眉間にわずかにしわが寄る。私は口を挟むこともできず、ただ二人の顔を見比べるばかりだ。「もちろん、父には中止を……それが難しい場合は延期を進言するつ