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試験勉強の寄り道 「熱源」を読んでみた

「熱源」で読むアイヌと日本

過去の直木賞受賞作「熱源」。途中挫けそうになりながらも何とか読み終えました。


樺太アイヌを中心に据えた、明治から昭和初期までの歴史小説です。思いの外長い時間軸ですが、日露戦争前後がメインです。歴史上の有名人も作品の最後の方に五月雨式に登場します。

群像劇ですが、メインキャラクターはアイヌ人とポーランド系ロシア人の2人。日本とロシアの間、樺太という地を中心に近代国家に翻弄されたアイヌの姿が描かれます。

なお、作中ではポーランド独立あたりの話にもかなり紙面が割かれていますが、ここでは踏み込みません。(全国通訳案内士には問われないので…)

正面切ってアイヌの歴史や人物を描いた小説を読んだのは初めてでしたが、日本を伝える役割を担うことをめざす者として忘れてはいけない、現代日本へと続く歴史のひとつであることを改めて感じました。

重いテーマや戦争も描いた作品ながら、全体のトーンとしては重すぎず軽すぎず。程よい距離感で登場人物を追いかけられる文章でした。

司馬遼太郎著「坂の上の雲」なども読んでいると、本書で描かれている時代の空気感が想像しやすいのではないでしょうか。アイヌの歴史に興味のある方におすすめの本です。

アイヌを扱った作品

アイヌ神謡集

アイヌの知里幸恵による翻訳・著作。同作は「熱源」の中にも僅かながら書かれた際のエピソードが登場します。私はAudible版の音声で聞きましたが、アイヌの精神世界が垣間見えます。

ゴールデンカムイ

実写化もされた漫画原作の有名作。日露戦争後のアイヌ埋蔵金争奪戦という設定の話。(私はアニメ派なので結末はまだ知りません…!)
アイヌ文化が視覚的・聴覚的に学べます。ストーリーの要素には「熱源」と被るも部分も。

アイヌを伝える

ウポポイ(民族共生象徴空間)

北海道にあるアイヌ文化の復興・創造等の拠点となるナショナルセンター。国立アイヌ民族博物館などがあるようで、いつか訪れてみたいです。ウェブサイトは英語を選択することもできます。

アイヌ民族とその歴史

観光庁による地域観光資源の多言語解説文データベース。日本語と英語が併記されています。

BBCの見たアイヌ

外からの目として参考に。どういう英語表現が用いられているかを含めて、後程ゆっくり読みたいと思います。

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