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2024年初夢

 元日、布団に入って、ふと思った。
 ーーそう言えば、今日見た夢が初夢ってことなんじゃないか?
 とはいえ、最近私は夢を見た記憶がない。すごく夢を見る時期とそうでない時期があるようで、最近は見ない時期のようだ。
「どうせ今日も夢は見ないだろう」
 高をくくって寝た。
 が。
 夜中に目が覚める。外もまだ暗い。私はがっつり夢を見て、その内容を覚えていた。
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 ヨーロッパのような石でできた建物がたくさんある街にいて、知らない兄弟三人、兄・姉・弟には親がおらず、彼らはどこかの家で住み込みで働きながら、夜になると兄弟三人で集まり夜な夜な親を探している。
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「え……?」
 夢を見ないと思っていたのに見たし、内容がこれだし、これが私の初夢だし……?
「何でこれ?」
 そりゃそうだ。夢の中の場所は日本でもなく、登場人物も当然見知らぬ兄弟で、夢の内容自体も暗い。
 これが初夢か……。
 さらに夢には続きがあった。
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 兄弟三人で探しても親を見つけることができず、そこに登場した身なりの良い男性が急に振り返り、私に言った。
「この子達の親を探してもらえないか?」
 夢の中の私は驚いていた。
 え、私もここの登場人物なの?
 夢の中の私も、まるで物語を見るかのように兄弟の様子を観ていて、まさか自分がこの物語の中の人物として登場することになるとは思っていなかったようだった。
「私が?」
 男性が頷き、子ども達も縋るような目で私に懇願する。「一緒に親を探してくれませんか?」と。
 私は何者なの?
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 夢の中でそう思い、そこで私は目が覚めた。
 結局、私はどういう人物なのかがわからないままだった。
 ……困惑。
 目覚めた私はボーッとした頭で考えていた。「どうやってこの子達の親を探せばいいのだろうか?」と。……「いや、夢の中の話だよ」と現実の自分がツッコむ。
 しばらくしてスマホに手を伸ばすと、午前6時半。
 頭の中はまだヨーロッパのような街の中。実際は日本の夜明け前の布団の中。
「これは一体何なんだ?」
「これが私の初夢か?」
 さすがに後味が悪く、今年初の二度寝をして初夢の内容を塗り替えようとした。
 初夢は、富士とか鷹とかなすびとか? そういうポピュラーな(?)もので良いのだけどな。
 誰に言うでもなく、私は一人呟いて寝た。
 いつかまた今日の夢の続きを見ることはあるのだろうか?
 再び起床した後もまだ、「兄弟に親が見つかるといいな」なんてことが頭を過ぎったりしている。

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