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短編

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短編小説まとめです
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#価値

見ることと見えないもの

去年のクリスマスに、ずっと欲しかったプラモデルをサンタさんに頼んだ。「高すぎるので駄目です」とクリスマスの1週間前にお手紙が届いた。 代わりに僕の枕元に届いたのはサッカーボールだった。僕は運動が嫌いなのに。 その日僕はサンタさんの正体がお父さんだと気づいた。小学生になってからずっとずっと僕にサッカークラブに入れと言ってきていたからだ。お父さんはバレていないと思っていたみたいだった。喧嘩になった。 今日はお正月。お年玉を貰った。僕の家は親戚がいないので、お母さんとお父さんから

無彩色について

「赤、オレンジ、黄色、緑、水色、青、紫」 私とミカコちゃんは昼休みに、教室でファッション雑誌を見ていた。今年の流行色の話から自分の好きな色の話になって、私が黄色と答えるとミカコちゃんは俯いて腕を組んでいた。いつものミカコちゃん式考えるポーズだ。そうしてやっと彼女の口から返ってきた答えがそれだった。 赤、オレンジ、黄色、緑、水色、青、紫。 「多いね」 「虹の色だからね。でも頑張って7色に絞ったんだよ。本当は全部好きって言いたかった。鮮やかな色って全部好き」 「じゃあ全部って