夢の中で今日も、ごはん │ ショートショート
目が覚めると、野原の真ん中にいた。
屋外の筈なのに、何の音もしない。
ぐるりと辺りを見回すと、店が一軒。彼は迷わず歩き出した。
ここは、彼の夢の中なのだ。
彼は、いつも同じ夢を見る。
夢の中で、彼はまず野原にやってくる。
そして、この店に入るのだ。
暖簾の出た戸口の横の表札には、大きくこう書かれている。
『定食屋ササミ』。
この定食屋は、現実も夢も含めて、彼の唯一の行きつけの店であった。
「いらっしゃいませ。」
ササミさんは彼を見ると、にっこりした。
カウンターには既に一