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保坂和志風文体のテスト

僕は縁側に座って前の通りをゆっくりとしたスピードで走って行く豆腐屋の軽トラックから流れてくるペーポーという間の抜けた音を聴きながら豆腐が豆腐である条件みたいなものについて考えていたのだけれど、結局のところそれは水と大豆と苦汁みたいな材料の話ではなくて形や柔らかさみたいなその状態が豆腐を豆腐たらしめているんじゃないかと思ってちょうど外から帰って居間に入って来た同居人に伝えたのだけれど、同居人はきちんと取り合ってくれずそれはそこに豆腐の実存があるから豆腐なのだと理解しているのか怪しい実存主義的な事を言い出したから諦めてやはり自分で考える事にした。

その時にはもう豆腐屋の軽トラックは通り過ぎてペーポーという音は聞こえなくなっていたが、代わりにと言うのか何と言うか、毎度ありがとうございます廃品回収車ですというのが聞こえて来て、豆腐屋のペーポーという音にはそれだけで豆腐屋だと判る記号性があるが廃品回収車は自ら廃品回収車であるとわざわざ謳っていて、この違いは何なのだろうと思ったけれどすぐにそれは日常性の違いなのだと思い当たったからすぐに元の豆腐の条件みたいなものについての考えに戻った。

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