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「トライやる・ウィーク」が活きた人、ここにいます。




トライやる・ウィーク、ご存知ですか。

トライやるウィークは、兵庫県の中学校で2年生のときにある、5日間の職業体験のことです。
県内370校くらいでらやっているらしく、トライやるの時期に地元のスーパーとかに行くと、中学生がレジに立っていたりして、かなり萌えます。

しかし5日間って、結構長い。ちなみに小5のときに行った自然学校(兵庫県特有の林間学校)は、5泊6日。長い。兵庫県、日数を確保しがち。5が好きなのか。兵5ってことか。違うか。むちゃくちゃしょうもないか。


さて、トライやる・ウィークの職業体験先は様々。スーパー、幼稚園、お年寄りの介護施設、歯医者、消防署、病院etc...。レジ打ちをしたり、子どもと関わったり、放水作業を体験したりした、と周りから聞いた。歯医者に行った友だちは、毎日のようにお菓子をもらって帰ってきていた。「患者を作ろうとしているのかな」と思った。消防署に行った友だちは、放水以外に隊列移動や筋トレをしたと言っていた。「筋トレ。」と思った。


私の中学生の時の将来の夢は、看護師さん。世話焼きだった私は、周りに大病を患った人がいたわけでも、ナースのお仕事に感化されたわけでもないのに、漠然と、看護師になりたいと、小さい頃から思っていた。

だからもちろん私の希望先は「病院」。
そして決定した先は「障がい者の作業所」。
(今でいう、障がい福祉サービス事業所。)

あれ?



実は体験先が決定する前に、担任から相談があった。
「病院の希望者が多くてな。誰か違うところに行ってもらわなあかんねん。で、実は作業所の希望者が少ないんや。お前やったらいけると思うんやけど、行ってもらわれへんか?」と。

もちろん答えは決まっている。
「行きます!」だ。


だって私は断るのがとても苦手だもの。






看護師になりたかった私が、突如知的障がいのある大人がいる施設へ行くことになった。


同じ場所に行く友だちと4人で歩いていたら、施設まで数十メートルのところで、歩いてきたおじさんに突然「こんにちは!!!!!!」と握手を求められた。私は短時間でいろんなことを考えた。施設の近くだから、きっとここの人だ。でもどうしていいか分からない。障がいが無かったら、突然握手してくる人なんていないもん。怖い。でも挨拶は無視したらあかん。結果「...こんにちは」と言って手は出さなかった。でも横にいた友だち、「こんにちはー!」といってめちゃくちゃ嬉しそうに握手をしていた。それを見た残った二人もニコニコ挨拶をしている。あれ、私だけ悪者みたいやんって思って、なんか恥ずかしくなった。ううん、小学生のとき、障がいのあった子と遊んでたもん。近所に障がいある人いたけど、差別しなかったもん。って言い聞かせながら、向かった記憶がある。

複雑な気持ちのまま、施設へ。
1日の流れなど、職員さんからの説明を受けた。

「利用者の方が幼く見えることもあるかもしれないけれど、皆さんより人生の先輩である方ばかりです。○○ちゃんなど愛称で呼ぶのではなく、○○さんと呼んでください。障がいのない方と関わる時と同じように、敬語を使ってください。」と言っていたのを今でも覚えている。

緩衝材を詰める作業をしているのを横で見せてもらったり、おやつの時間を一緒に過ごしたり、活動内容で覚えてるのは、それくらい。


でもその時の私の日記に

トライやるウィークで作業所に行った。将来障害のある人と関わる仕事もいいなと思った。

と書いてある。





そして私は今、支援学校で働いている。
毎日知的障がいのある子どもたちと
最高に楽しくてハッピーな毎日を過ごしている。
夢、叶えている。



施設で、これといって大きい出来事が起こったわけではなかった。記憶にあるのは、ダウン症の年配の女性に"あなたにあえてよかった 私の住所は〜〜〜〜〜"という手紙をいただいて、感動したとかではなく「え、ちょっとしか話してないのに。住所安易に教えて大丈夫なのかな。」とクスっと笑ったことくらい

あと、「この方あまり声を出さない方だから、あなたの話を無視しているわけではないので心配しないでね。」と言われていた人が、一緒にお茶を飲んでいたらめちゃくちゃ「あ!あ!」って話してて、「いや、めちゃくちゃ声出してるやん」とニヤッとしたことくらい。


ただ、どうやら、このクスっと、ニヤッと、が、
中学2年生の私にクリーンヒットしたっぽい。






トライやる・ウィークが、将来の夢が変わるきっかけになった、そんな話でした。

おーい、兵庫県教育委員会のトライやる・ウィークを制定した人ー。活きた人、ここにいまーす。

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