僕らの異(常)性交遊 裏話
2020年5月のモーニング月例賞に投稿した作品です。
5月の佳作をいただけたようで…本当にありがとうございます!
もともと2月のちば賞に送ろうとネームを切っていたのですが、なかなかネームが通らず迷走しまくり結局月例賞投稿となりました。
当初は主人公が菜穂で橋見くんはいませんでした。初期案のタイトルは「特別な人」です。
絵の才能がある千沙に心酔し、自分の人生をおろそかにしていた菜穂が、現実の千沙を正面から見てようやく自分の人生を見つめるようになるというちょっと歪だけと爽やかな青春ストーリーでした。(当記事最後のおまけに当時のネームを全掲載しましたので興味ありましたらご覧ください)
そこから菜穂の異常さを際立たせ、それを客観視させるためにあくまでも普通の感性を持った男主人公を立たせ、途中サスペンスみたいな話になりながらも最終的にこのようなまっすぐで歪んだ愛の話に着地しました。
個人的にものすごく楽しみながら描けたのでとても満足です。
今回作業期間がいろんな締め切りと被っていたり途中でパソコンが壊れたりとトラブルに見舞われまくったのですがなんとか仕上げることができてよかったです。
佳作受賞の電話を担当さんからいただいた時ちょうどスマホがぶっ壊れていて「向こうには通じるけれど私の方には何も声が聞こえない」ということになって担当さんにめちゃくちゃご迷惑をおかけしました…
デジタル機器、壊れすぎでは…?
橋見くん
前述の通り、初期案で彼は影も形もありませんでした。フルネームは出ませんでしたが橋見浩太朗くんです。
名前の由来は最初まじで菜穂と千沙の異常性を眺めるモブみたいな立ち位置だったため
端から見てる人
↓
端見
↓
橋見
ということで橋見くんになりました。最終的に端で見てるどころかステージ中心でフルコーラス歌うようなビッグスターになってしまって私が一番びっくりしています。
橋見くんは中期案からの登場なのですが、その時は菜穂に騙されて千沙の盗撮等の実行犯にされて菜穂から逃げようとするのに弱みを握られて逃げられないかわいそうな子でした。
それがまさか菜穂の中の千沙の立ち位置まで乗っ取る子になるとは…すごい出世だね…
個人的に異性装が大好きなので橋見くんの女装作画はめちゃくちゃ楽しかったです(特に足)。絶妙にゴツくて似合ってない風に見えたら幸いです。
菜穂
初期案からブレまくったこの話ですが、菜穂のお姉ちゃん好きだけは軸として全くブレずにここまで来ました。
菜穂は小さい頃から千沙一筋だったのですが、少し思い込みが激しいタイプだったので自分で作り上げた「理想のお姉ちゃん」を千沙だと信じ込んでしまっていました。菜穂はそれを千沙に押し付けてしまったので、千沙は菜穂を嫌うようになります。
自分は千沙のことが好きなはずなのに、実際の千沙は菜穂の理想とかけ離れたところにいます。菜穂は存在しない理想のお姉ちゃんを追って周りの人を巻き込んでいきます。橋見くんはそれに巻き込まれたわけです。
橋見くんはその理想ごと飲み込んで自分のものとし、菜穂の信じたお姉ちゃんに成り代わりました。この話で一番やばい子は間違いなく橋見くんですね。
千沙
今回の被害者です。初期案では自由奔放マイペースで絵がうまい聖人みたいな人でした。ネームで菜穂がおかしくなっていくのに比例して千沙のかわいそう具合が上がっていきました。ご、ごめんね…
ただ千沙もセリフでわかるようになかなか傲慢でずるいところがあります。千沙の橋見くんへの言葉は暗に「私はこんなに可哀想なんだからあなたは私の言うことを聞いてよ」と言っています。まあでも菜穂の異常な執着(しかも本当の千沙を求めているわけではない)を長年浴び続けてたらそれぐらい言いたくなりますよね!
中期案だとプロットの時点でボツになりましたが千沙と菜穂の相思相愛橋見くん当て馬ルートも存在しました。
初期案からするとかなり胃痛ポジにジョブチェンジさせてしまった負い目があるので、千沙はどうか菜穂から離れて健やかな人生を送ってほしい…
おまけ
あまりにも内容が違いすぎるネーム第一稿をもったいない精神で載せときます。めちゃくちゃ見辛いし読みづらいです。完成原稿と比べると菜穂も千沙もめちゃくちゃ良い子…
見返して気づきましたが初期案と同じ構図や効果になっているコマがちらほらあっておもしろいですね。特に最後の方なんかは話は全然違うのに演出がほとんど一緒で笑いました…全然気づかなかった…
ネームなのですが、私はいつもルーズリーフを半分に折って見開きにして作っています。罫線のおかげで紙が真っ白じゃないので、授業中の落書きみたいなノリで肩の力抜いてざかざか描けるので気に入っています。しかもコマ描くときに罫線に沿って引けるので楽!!
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