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シュペルターと歩む15年記 #28

コラム19:ルポ・ルポルタージュ兵庫


ルポルタージュ: reportage)
1.取材記者・ジャーナリストなどが現地に赴いて取材した内容を
 放送・新聞・雑誌などメディアに報告すること。
 略してルポとも表現。現地報告。
2.事件や社会問題などを綿密に取材して事実を客観的に叙述する
 文学の一ジャンル。
 報告文学や記録文学とも呼ばれる。
 ルポルタージュを執筆する人をルポライターと呼ぶ。

Wikipedea『ルポルタージュ』より

実はトトム一家テレビに出た事があるのです。
それも二度も!

勿論、たまたまソコにいた通行人A,B,Cとしてなのですが。

今回はテレビ出演にまつわる話から、
メディアによるルポルタージュの裏側を覗いてみたいと思います。

サンテレビ編


蟹が食いてぇー
トトムはそう叫んだ。

2016年9月の事である。
蟹と言えば冬の味覚とお思いでしょうが、それはズワイガニの旬の時期。
タラバガニならだけでなく、もいけるらしい。
そして紅ズワイガニなら、
名に””と付くだけ(?)なのに一年中獲れるのです。

そして兵庫県蟹所はなんといっても香住(かすみ)町
香住で獲れる紅ズワイガニは、
香住ガニと名が付くブランドガニなのです。

ただし6月~8月の3ヶ月間は禁漁ですので、
9月になれば満を持して、解禁されたばかりの蟹が食べれる。

よし行こう。ぜひ行こう。
でもせっかく日本海に行くのならば、温泉にも入りたい。
香住ではなく、近隣の城崎温泉を堪能しようじゃないか。

ルポとの遭遇

いざ出発。
日本海へ行くのならば、播但自動車道を通るのが常道。

途中の市川PAで一旦休憩

市川沿いの市川PA


売店物色しながらうろうろしていると、
1枚のポスターが目に入る。

何々?玄武洞。所在地は豊岡市城崎のわずか5㎞くらい手間です。
鉱石化石の博物館もあるらしい。
ポコぞう、ちょっと寄って行こうよ。

イヤだ!

オーケー、オーケー。そう言うと思ったぜ!

だが行きます。

トトムはこう見えて、筋金入り鉱石化石マニアなのである。
どのくらいのモノかというと・・・

小学校の頃はこんなことやってました。

図書室掃除当番になった時
チョコチョコっと掃除を済ませた後は
同じく図書館掃除当番となったクラスメート
本棚から引張出して来た図鑑を囲みます。

何をするかっていうと、
図鑑に載っている物、ゲットしましょう』の集い。

図鑑のページをめくって行き、気に入ったもの(写真)があると
早い者勝ちで『取った!バチコン、と手で押さえるのです。

別に一番に”取った”からといって、何になるわけでもないが、
まぁ図鑑版カルタみたいなものですかね。

特に人気だったのが、天文学鉱石のコーナー
天文学では『皆既日食』の写真が一番人気ですが
月が太陽をすべて隠し切れないがゆえに、環状に露出した
太陽本体の明るさで、コロナが見えない『金環食』が
マニアとしては狙い所でした。

日食を”取った”ところで、それこそどうなるものでもないですし
そもそも日食を取ってどうするのか?
などと考えないのは小学生の良い所

写真の露出が違うと思うが一応比較

そして鉱石ではルビーエメラルドなど色付きの宝石は
その派手さで人気の中心なのですが、
やはりマニアが狙うのは電気石

名前もエレクトリック

掃除当番1週間同じ場所が続きますので、
毎日これをやっていると、
どのページに何が載っているのかだいたい覚えているうえに
前日のライバルのマニアックなセレクトに感化されて、
みんな狙うものが集中し、争奪戦が日に日に激化していくのです。

最後には、ページをめくる刹那緊張興奮に耐え切れなくなった者が
奇声をあげながら図鑑のページを破り始める始末。

ホント、北村君(本名)。今からでもちゃんと弁償しなよ!

中学校では、化石が欲しくて三原市歴史民俗資料館へ日参。

昔のままの姿

普段、三原市歴史民俗資料館へ行ったからといって
化石がもらえるわけではありません。

年に1回くらい、どこかの研究者を資料館に招いて
講演をしていただくことがあるのですが、
その際いたいけな少年たちを呼び寄せるための””が化石なのです。

必ずしも化石とは全く関係のない、中学生にとっては訳の分からない講演を
耐えて最後まで聞けば、化石の引き替え券になるプリントがもらえて
ロビーで化石と交換してもらえるのです。

当時インターネットも何もない時代なのに、
どこでこういうイベントがあると聞きつけていたのだろう?

少なくとも2回は講演を聞いて、
フズリナ石灰岩と黒炭化したシダの化石をもらったものです。

ほぼほぼもらった化石とそっくりな画像がインターネットにあった。(実家には実物現存)

大人になってから買ったのは『不思議で美しい石の図鑑
宝石ではなく、瑪瑙ジャスパーなどの色とりどりの美しい石が
載っている本です。

こういう本はつい買ってしまう。

やべぇ、この本で『図鑑に載っている物ゲットしましょう』をすると
間違いなく北村君にページを破られてしまいそうです。

そんなことを考えながら車を運転しているうち、
一度、二度道を間違えながらも玄武洞に到着。

まずは玄武洞なる景観ポイントは置いといて、
来訪目的の博物館、その名も玄武洞ミュージアムへ直行。

1階は売店になっています。
この売店だけでも瑪瑙水晶などが所狭しと並んでおり圧巻。
あれほど来るのを渋っていたポコぞうも、きれい~面白い。と大絶賛。

いやもう、博物館に入らなくても十分じゃないだろうか?とチラと思うが
せっかくなので入館料を売店で払う。

さて入口はどっちだ?
売店の一角から階段二階に上がって行きます。

まるでお店をやっている友達の家に遊びに行って
おじゃましまーす
とぞろぞろと友達の部屋に上がって行く庶民的な感じです。

ちなみに50年近く前の子供時代、
うちの実家では、友達の家へ行った時の挨拶
『〇〇君、あそぼーや』(アポなしで)
『はいよ、上がり
上がらしてぇね!
という流れだったなぁ。

今回、”はいよ、上がり”の声はありませんでしたが
上がらせていただきました。

めちゃめちゃ手作り感あり

しかして、展示物はというと素晴らしいの一言!
珍しく、美しい鉱石鉱物マニアではないゼニファーポコぞう
キャッキャ歓声をあげながら、
展示ケースから展示ケースへと移り渡る。

あっ、歓声を上げても全然周りの人迷惑はかからないので大丈夫。
なんせそこには我々一家族しかいないのですから。
玄武””だけに、まさに穴場

撮影禁止とはどこにも書かれていないので、バシバシと写真を撮る。

出ました、電気石(左下)

でもやっぱり心配になり、大丈夫だよね?一応周りキョロキョロ

気が付かないうちに、別のグループが入館していました。
いかにもマニアっぽいおじさん3人組だが、
バカでかいカメラで熱心に撮影している。

なんだか兵庫県のマスコット はばタンのぬいぐるみ(?)
を持っているのはそういう趣味の団体なのだろうか?
(ポコぞうとゼニファーが行ったサンリオカフェでは
ぼんぼんりぼんちゃんのぬいぐるみを連れたお兄さんがいたらしいし、
はばタンくらい不思議ではないだろう。ここは兵庫県なのだ!)

いや、カワイイな!

ほら、あんなに堂々とカメラを持ち込んでいるということは
やっぱり撮影OKなんだよ。と安堵
それにしてもすごい本気度だね。相当の鉱石マニアらしい。

するとその御一行、こちらに近づいて来て、
『あの~、ちょっといいですか?』と話しかけてくる。

さーせん
私も、確かにLUMIXのマイクロフォーサーズミラーレス一眼
初代の名機GF-1で撮影はしておりましたが、
鉱石については”図鑑で取った!ゲーム”を経験した程度のレベルなんです。

などと構えていると、
予想に対して”ねじれの位置”に相当するような提案が!

こうしてみると世の中のほとんどの出来事はねじれの位置である。



『私達、サンテレビなんですけど』
あ、あぁ(ぜんぜんマスコミ関係者のオーラは出ていなかった)
『ちょっと撮影にご協力いただけますか?』
『?』

『そこに、玄武洞の紹介映像が見れるコーナーがあるんですけど
映像を見る(唯一の)ミュージアム来訪者として
撮影させていただけますか』
『ちょっとお顔も映るかもしれませんけど、
暗いところでちょっとだけですから』

本日この時刻唯一の来訪者である我々が
玄武洞の素晴らしさを伝えねば、いったい誰がやるというのか⁉
『やりま~す』
一部、いや九分九厘ミーハーな気持ちで即承諾

キャシャーンがやらねば誰がやる!

キャシャーンさんは迷惑のようです。

ではこちらへどうぞ。
鉱石の鑑賞に夢中で気が付かなかったけれど、
博物館の奥の方に映像コーナーがありました。

10人くらいが座れる鑑賞席の前列に三人でちょこんと座らされ
流れてくる玄武洞の説明映像を見る。

テレビ用のやらせ鑑賞ですけど、映像の中身もなかなかに興味深い。

玄武岩というのは小学生の時に学校で習う、黒色火山岩
名前こそ、青龍朱雀白虎とならぶ神獣の名を与えられているが
とくに珍しい岩石ではありません。

玄武の偽物に屠戮玄武といのがいるのを知っているか?


この玄武岩が一面にあるので玄武洞と呼ばれるのかと思っていたら
なんとこの玄武洞が玄武岩という岩石の
名前の由来になっているということ!

まさにThe Roots of 玄武岩

そしてこの玄武洞の玄武岩で、
京都大学の松山基範教授残留磁気の方向を測定し、
世界で初めて地球磁場の逆転を唱えた、地球磁場逆転説発祥の地でもある。

この地球磁場逆転というのは
約300万年(逆磁気期200万年、正磁気期100万年)の周期
地球の磁場の方向が反転を繰り返しているというものであり、
約23万年後には磁石のN極南の方角を向くようになるのです。

この玄武洞の地球物理学への大きな功績に心を揺すぶられていると
『はい、結構です。ありがとうございました。』

撮影終了

これって、何の番組いつ放送されるんですか?
当然だが、これを聞いておかねば探しようもない!

あっ、サンテレビの”兵庫ワイワイ”という番組です。
ロケ責任者説明の紙を手渡される。
この時にはもう立派なプロデューサーに見えているのだから
ゲンキンなものである。

このあと、撮影隊とは別れ
いやいやめったにない経験をしたね、
などといいながら化石のコーナーなども見学。

人類の宝ですな

もうこれだけでお腹いっぱい、大満足なのですが、
折角なので肝心の玄武洞見学。

標識にしたがって階段を登っていく。
あっ、さっきの兵庫わいわいの撮影班だ。

こんどは玄武洞の取材をしているらしい。

邪魔をしないように後ろからついていくが、
意外にも撮影班はすぐに撤収

じっくりと玄武洞の奇観を堪能しました。

この模様を柱状節理というらしいです。


後日譚

後日談というか当日談であるが、
この後の行程にも簡単に触れておかなければなるまい。

TV騒ぎですっかり忘れていたが、
もともとは温泉目的の旅だったのである。
いや撮影が終わった後もその目的に変わりはないはず。

玄武洞を後にし、すぐに城崎温泉に到着。
浴衣に着替えて、温泉街をそぞろ歩く

城崎旅情

道端には足湯があり、一休みもできます。
また温泉街と言えば”射的屋”ですが、ホントに今でもあるんですね。

店内は暗かったけど、季節の飾りつけがしてあり
午後7時から営業しますという札があるので
たくましく現代を生き抜いているようです。

ポコぞうの浴衣の裾のめくりすぎは画像で修正済


日が暮れると、温泉情緒50%増しです。

また行きたいね

温泉街の散策で、ほどよくお腹もすいたので
旅館に帰ってから、美味しくをいただきました。

A5ビーフと蟹のコースだったが、ビーフはイマイチ、蟹最高!

ちなみにポコぞうは、甲殻類であるエビ、カニ、頭足類のイカ、タコの
アレルギーがあるのですが、
新鮮でおいしい蟹なら、むしろ大好きという
学術的にも珍しい、”ゼータク・グルメ症候群”なのです。

翌日は帰宅前に少し足を伸ばして城崎マリンワールドへ行きます。

2016年のマリリン

水槽の魚たちもきれいですが、
ここは展示に工夫が凝らされており、なかなか楽しめます。

とげを抜かれたハリセンボンとムラサキウニの気持ち!
セイウチの体重の比べられる乙女の気持ち!

ペンギン水槽を覗いていると、底の方に人の姿がチラチラ見える。
トンネル状の通路があって、ペンギンが泳ぐのを下から見える趣向である。
これ自体はよくあるのだが、
上側と下側で観客の目が合うような構造は珍しい。

ピーンと来た。
ここでちょっと待ってて!とゼニファーとポコぞうに伝えてから、
トンネルへ向かう。

幻想的な写真が撮れました。

都合よくペンギンが前を通ってはくれない


城崎マリンワールドのイルカショーユルいのです。

須磨水族園のイルカショーはトレーナーからもイルカからも
お客さんに最高の演技を披露するため、常にベストを尽くす
という気合が伝わってくるのですが、
城崎のイルカアシカは、ショーの様子をアフレコするならば

スイスーイ、ぴょーん
ジャンプ出来たよ~、餌ちょうだ~い

トレーナーさん達も、うちのイルカちゃんたちよく出来まちたね~。
ヨシヨシ

とこんな感じ。

そこをグッと盛り上げるのが、セイウチの”委員長”
とはいってもイルカやアシカに輪をかけたゆるキャラです。

委員長の登場で~す。』とアナウンスされると
ご自身のお足で、のしのし歩いて登場。

そして芸の一つもせず、餌をもらい
そしてプールの中にざっぷーんと消える。
(おそらく歩いて出た事が彼にとっては既に、”やったった”という
 感じなのではないかと思う)

真ん中に見えます巨体がセイウチの”委員長”さんです。

その後もイルカのジャンプが淡々と続き、
さしたるクライマックスもない中、
『これでショーは終了でーす。』

(おぉ、これで終わりか…)

と思っていると、水中から委員長がザッバーと巨体を現わす。
そういえば委員長さん、水の中にずっといらっしゃったんですね。

委員長の存在をすっかり忘れていた観客一同、どっと沸く。

現われたのは、ショーの演出なのか、
はたまた単なる委員長の気まぐれなのか?
終始自由な委員長を温かい目で見守るのがこのショーの見せ場なのでした。

マリンワールドを出る前に釣り堀アジ釣りに挑戦。
釣ったアジは横のお店で捌いてアジフライにしてもらえます。

以前蒜山高原にキャンプへ行った時、
帰りに釣り堀ヤマメアユを釣って
その場で焼き魚にしたのがおいしかったので、
今回もお昼ご飯として、おいしくいただきたいと思います。

釣り竿使用料が結構高いので、
一本だけ借りてなんとか3人分のアジを釣ってみよう。
釣れるかな?ドキドキ

釣り針を水面に落とすと同時に引きが来て、入れ食い状態。
これなら、一人一匹ずつどころか一人二匹ずつでも釣れそうです。

よし針を外して、次いくぞ!と思っていると
魚の押さえが弱く、ビチビチと跳ねた拍子に、
釣り糸がプッツン切れてしまいました。

釣り糸にこんながあるとは…

ここは敢えて、もう一本釣り竿を借りようはとはせず、
現実を受け入れることに。

釣れたアジを携え、アジフライの列に並ぶ。
なんだか列に並んでいる他の人はみんな大漁のようです。
糸が切れなければ、このくらいは釣れるんだよな…

三人で列にならんで、小さなアジ一匹を店の人に渡す
『アジ、一匹ですね。』
『はい…』

揚げたてアジフライは見事においしく、
三人で仲良く分けて食べました。

”一杯のかけそば”ならぬ、”一匹のアジフライ”のお話でした。

オンエア

一週間後、いよいよ放映日がやってきました。
家族揃って、テレビの前で録画のセットを完了し、固唾をのんで見守る。

番組イントロ

はじまりました兵庫ワイワイ
3つ目の特集がジオパークか、確かに玄武洞が出てきそう。
(画像は録画を自宅テレビで流しながら、テレビごと写真撮影したもの)


タイトルからニュースに突入

改めてタイトルが表示されて番組スタート!
さすがにローカル番組
女性キャスター二人が、
『今日歩いていてキンモクセイの香りに秋を感じました。』
とか
『私は秋になるといつもアケビをもらっていたので、
秋といえばアケビなんです。』(知らんよ)
といったような、県民の何%が共感するのかわからない
個人的な話題にたっぷりと時間を割いている。


3つある特集のうち、露払い2つが進む

地元愛あふれる特集が続く。
しかし我々の耳には入らない。

いつ玄武洞が出るのだ。30分番組がこんなに長く感じるとは。


とうとう玄武洞編である『ふるさと新発見』のコーナーに突入

九連画像(一段目)
とうとう来ました。『ふるさと新発見』のコーナー
スタジオにはばタン登場。1週間ぶり~

九連画像(二段目)
おっ、玄武洞!確かに見た景色だ。
案内係はNPO法人玄武洞ガイドクラブの理事、木下さん
ちゃんとお辞儀をして、はばタン(撮影班のおじさん)礼儀正しいな。

そして木下さんのに乗るはばタン
木下さんと息もピッタリで説明を聞くはばタン
まるで生きているようです。

サンテレビの特撮技術

あの日、オレンジ色ベストを着たおじさんが、
はばタンを嵌めた右手左肩にあてて何しているのだろう?
と思っていたのだが、このシーンだったんだ。

ゲスト出演者に、はばタンマペットの操作をさせるのが
サンテレビのミラクル特撮技術なのです。

先に玄武洞を撮影しておいて、後で木下さんと時間を合わせて
このシーンだけ撮影していたのですね。

九連画像(三段目)
いよいよ玄武洞ミュージアムへ突入します。(撮影順序とは逆だけど)

ミュージアムの紹介は進み。


そして、ついに出ました~
トトム一家

後ろ姿

さらにポコぞうのドアップ
いや~、オール兵庫県への顔出しです。

そして最後は一家揃って登場。キャー

『顔出し』だけど顔を出せないジレンマ

ふぅ~、終わった・・・
自分達のシーンが終わった後のカタルシスに浸り
あとのシーンはあまり見ちゃーいないトトム。

わいわい!

最後は玄武洞でのキッズ・ナイトコンサートに出演した楽団
クッキーハウスさんの『ひょうご、わいわい!
の掛け声で終了!

トトムもこの『わいわい!』やりたかったな。


毎日放送編


なにか良いネタはねぇのかー
トトムはそう叫んだ

2017年7月の事である。
もうすぐ夏休み
いやトトムではなく、娘のポコぞうなのだが。
夏休みと言えば”研究の夏”、
だが今年の自由研究のテーマが決まっていないのである。

だれでもいいから、良いネタをもってきやがれ~。

するとゼニファー
こんなん、やってるみたいよ』

”夏休みの自由研究ピッタリ
 ワークショップ地震計を作ろう”

兵庫県神戸市中央区にある
阪神・淡路大震災記念 人と防災未来センター
のホームページのインフォメーションに載っている。

工事中ではなく、こういうデザイン。
正面の年と時刻は阪神・淡路大震災を引き起こした兵庫県南部地震の発生時刻である。

我々の自由研究にふさわしいかどうかは未知数だが、
人数限定と書かれているので、とりあえず申し込みしておこう。

ルポとの遭遇

数日後、見事当選の連絡が到来。
講座は数回開催されるのだが、我々が当選したのは
7月22日午前の部。

ちょうど夏休みが始まった直後の土曜日である。

早めに人と防災未センターに到着。

案内図。これはHPから

総合案内で本日のワークショップに参加することを伝え、
集合場所と時刻を教えてもらう。

それまでの間に4階震災追体験フロアで上演されている
1.17シアターの見学などをお薦めされたので、
エスカレーターでぐいぐい上がって行く。

この1.17シアター
ものすごい迫力なのです。

記憶ではもっと画面が大きかった気がしたのですが

地震体験施設のように実際に揺れを体感するものではありませんが
映像音響によって、『淡路にとって、この地震は”揺れる”などという
穏やかな表現などではなく、町を一瞬でつぶす衝撃波であった』
という恐怖が実感できます。

イギリス人がこの1.17シアターを体験したならば、
きっと腰を抜かすことでしょう。

なぜ突然イギリス人なのか?

イギリスは日本と同じ島国でも、安定な地殻プレートの上にあり
地震などほとんどないのである。

イギリス人にとって少しでも地面が揺れるということは
この世の終わりと同じことなのだそうです。

だれに聞いたかというと、会社の同僚のひろしさん

ひろしさんは入社10年を過ぎた頃、
会社でイギリスの大学へ留学し、
イギリスのとある一家のところにホームステイしたんだか
ハウスシェアリングさせてもらったんだか、
まぁそういうことだそうです。

なぜそういうことになったのかまったく聞いていないのですが
そういう人といえばそういう人』だからもう聞かない

そのイギリス人一家が
『ひろし、日本には地震というものがあるというが
本当に地面が揺れるのか!』と
ノストラダムスの大予言でも聞いたかのように言うのだそうです。

あったな!

まっ、その時は地震の話よりも、
そのイギリス人一家の中学生の息子さんの参観日
のこのこ(失礼!)学校へ行き、
同級生エマ・ワトソンを見たという話題にみんな騒然となる。

『本物⁉』
『生エマ・ワトソンどうだった?』
質問が集中

『そりゃー、かわいかったけど、
かなりハジとったよ、フツーじゃなかった!』

これで12歳ですよ。たしかにハジけてる。

へー、よくわからんけど、そうなんやろうね。

よくわからんといえば、なんで他人の家族の参観日に
ひろしさんが行くことになったのか?

まぁ『そういう人といえばそういう人』だから不思議ではないのだが。

この話(地震の方です)は本当でしょうか?
ロンドン特派員のポコぞうさん!

はい、こちらロンドンからポコぞうです。
今(2023年8月)、ロンドンに語学研修で来ています。

今日は、ロンドン自然史博物館からレポートします。

先ほどまで、ナイトオブミュージアムのような
恐竜の骨とかがあったのに
急に日本語が現れました。
(いや、って化石ですよね。ちょっと見てみたいな)

インターネットより特別配信 骨

この神戸スーパーマーケット。その内容よりも、
日本語との対面に研修生一同盛り上がっております。

実録写真

中に入ってみますと、いろんな日本の産物とともに
神戸地震(?)を体感する部屋がありました。

ちょっと研修生一同で部屋に入ってみます。
グラグラ。
ん~、震度3くらいですかね。
ぜんぜん身の危険は感じないレベルで、みんな平然としています。

『Oh, My GOD! オーマイガー!』
あっ、大変です。
体感部屋にイギリス人が迷い込み、大変取り乱しております。

(いや、もともとオーマイガーてなリアクション
期待して設計されている施設なのに、
紛れ込んだ日本人が地震に慣れ過ぎているのではないでしょうか?
きっと震度7とか再現しちゃうと
イギリスでは心臓マヒとか起こす人が続出するのでしょうね。)

1.17シアターの上映が終わった後は
震災直後の街実物大ジオラマを通っていきます。

悪夢

まさに悪夢のような、というか悪夢であって欲しいと誰もが思ったであろう
あの震災を追体験しました。

私自身、兵庫県南部地震が起こった時、
兵庫県の淡路島からそう遠くない所に住んでいたのですが、
幸いにもそこでは本棚から本が数冊落下する程度の揺れで済みました。

その後、地震で壊れた街を見たり、
断水に遭って会社の入浴に来る人などと接したりしていたのですが、
心底恐ろしいという気持ちにまでは、なっていなかったのは事実です。

人と防災未来センターを訪れて
地震の恐ろしさを改めて認識することができました。

さて、集合時刻が近づいてきたので
2階の防災・減災ワークショップまで移動します。

あのように迫真の追体験をした後となっては、
地震計を作って揺れを観測するというのは、
どうにも悠長に思えて仕様がない。

すぐにやるべきは非常食防災セットを備えたり、
緊急時に備えた行動のシミュレーションをしたりとかであり、
手作り地震計は地震に対する子供の関心を惹きつけ、
将来画期的地震予測なり、防災手段を開発する偉人の育成
に繋がる、長期目線で重要な事なのかもしれませんが、
なんせ地震というのは相手が地球であり、
完全に制圧するには人間の手には余るのです。

ともあれ、やらなければ始まらない。
みんなワークショップのスペースに集合して、
家族単位で作業机に着く。

作り方を細かく指導いただく関係上
10家族くらいのこじんまりした集まりです。

それから職員の方のご挨拶。
防災・減災ワークショップに応募いただきありがとうございました。
昨日が開催初日で、本日は二日目ですが、
本日は事前に皆さまにお知らせして、
ご了解をいただくことがございます。』

『なんだ?なんだ?』

『本日朝日放送テレビ取材が着ておりまして、
ニュースの取材としてワークショップの様子を撮影するそうです。
みなさまのお顔が映るかもしれませんが、よろしいでしょうか?』

キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
テレビ取材再び。

みなさん、を見合わせるが、
いいよね。うん、うん』とにこやか

妖怪人間には正義を愛する血が体の中に流れており
人間にはミーハーを愛する血が流れているのです。

よ~かいにーんんげん!

TV取材班の入場とともに、前説が始まる。
前説といってもTV取材のではなく、ワークショップの前説です。

ここは気を引き締めてかからねば、
地震計を作るだけでは当然、自由研究としては成り立たず
地震に関するデータやどのように地震計役立てるかといった
情報が重要。

メモなど取りながら、真剣に聞くトトム。
日本の属する火山帯や年間の地震回数などに関するご説明ですが、
昨年の七田式日本の国土でほとんどマスターしている情報でした。

説明大事

そしていよいよ各家族が地震計製作に取り掛かる。

ここはなんといっても、ニュースの目玉シーン
カメラカモーン!と心中繰り返しつつも、
真剣な顔でポコぞうを指導。
こういう場合には親がやり過ぎてはよくない、
手を出したいところをぐっとこらえる。

今見ると結構ガッツリ手伝っている。

しかしどうしたことか、いつまで経っても
他の家族ばかり撮影してやがる。

手前みそであり、また親バカのようでもありまして
誠に申し訳ないのですが
ポコぞうは大変かわいらしく画面映りも良いので
ポコぞうを撮らずして、何を撮るかよ!”といった心境。

思い返せば、ポコぞうがいる事で
我々家族は世間にいっぱしの顔向けができるのである。

ベビーザらスの店員さんが、お客さんの赤ちゃんに対しては
一律かわいい赤ちゃんですね』と言うのでしょうが、
1歳になる前のポコぞうを見て、その定型セリフの後に、
『あら、本当にかわいい』とポロリとつぶやいてみたり。

香港ディズニーランドでは、ミートプリンセスの列に
並んでるポコぞうを見つけたシンデレラが、
いらっしゃい』と手招きし、手を繋いで一緒に歩いてくれたり。

イタリア カプリ島の五つ星ホテルでは、
この子はとても分別がありそうなので
大人用のプールを使っても良いですよ。と言われたり。

フランスのエゾ村では、通りで編み物をしているおばあちゃんに
彼女はきれいだね。』と褒められたりと
親としては過分な娘なのです。いわばセレブパスポート

ハァ、ハァ。
焦りのため、ちょっとPRが過ぎました。忘れてください

TVカメラレンズが間近でポコぞうを捉えることが
無いままに地震計完成

出来てしまった。

なんだがっくり…と思っていると

最後に取材クルーがやって来て、
『ちょっとお話きかせてくれる~』と声を掛ける。

もちろん良いです。
いや、いまの話しぶりはポコぞうに聞いているのかな?

でも良いです。

『つくるのは難しかった?』
 『むずかしかったです。』
『どういうところが?』
 『ナイフで横に穴を開けたりするのがきれいにできなくて』
『出来は何点ですか?』
 『98点です』
『おー、98点!、では何%ですか?』
(んんっ?なんで2回聞いたん?しかも”点”から”%”に変わってるし)
 『95%です』
『点が変わってるし…』とつぶやくTVクルー

なぜにしたのかな?もしかして点数だと何点満点なんだ!
というクレームでもくるのだろうか?

しかし改めて異なる単位で聞かれたポコぞうは
なんらかの換算をした様子。まぁ良いのである。

これにてワークショップ終了解散となる。

今回はインタビューもあり前回の玄武洞よりもグレードアップ
ただし、出演ライバルも多いのでカットされなければの話だが。

後日譚

後日談というか当日談

ところで放送はいつなんだろう?
肝心な事を聞いておりませんでした。

人と防災未来センターのエントランスから外へ出ると
撮影クルーの方々がまだいらっしゃる。

『すみません、今日の撮影って、いつ放送なんですか?』

『あっ、先ほどのワークショップの方ですね。
今日の午後1時55分からのニュースです。』

もう12時軽く過ぎている
『あと2時間もないじゃないですか?』

『いまからそのバイク便ビデオテープに届けて
すぐに編集するんですよ。』

なるほど、道路脇にはバイクがいつでも発進できる状態で
スタンバイしているのが見える。
ニュースは鮮度が命というが、そこまで急がなくても…

今日この後は、ゆっくりお昼ご飯でも食べてから家に帰ろうと
思っていたのだが
こりゃーうかうかしてられねぇ。
すぐさま家へ戻らねば。

オンエア

ズザザー、スライディング帰宅!

早速テレビをONにして6チャンネルでスタンバイ。

今回は番組番組の間の5分間ABCニュース

始まりました。ちなみに録画時間は5分

アナウンサーは大御所放送番組審議会事務局長も務めた
戸石伸泰さん。

大御所によるニュース披露

5分間のニュースだけに、ポンポンとニュースが進み、
そして3つめ(また3つ目だ!)

出た出た!

ニュースタイトルは”夏休みに楽しみながら学ぶ『減災』
早速トトムゼニファーチラリと映る。
ポコぞうは残念メガネっ娘の後ろに隠れてしまった。

そして、参加者の少年・少女たちの製作の様子が順次映り・・・

縁もゆかりもない子供たち、素顔でゴメンね。
(みんな顔を隠すと、どれがポコぞうかわからなくなるので)

でました!参加者ポコぞう。
95%”のテイク2オンエアされてます。

The End

これにてABCニュースEND
ご視聴ありがとうございました。

ところで、夏休みに大いに盛り上がった地震計作りワークショップ
自由研究に活かせたのでしょうか?

それは次回のお楽しみ。

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