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#異常なスタッフ

昨日4月15日、名古屋にて「#普通のライブ」というイベントが開催された。どの口が言っていいのか分からないが、イベントはとても盛り上がって大成功だったように思われる。「どの口が」という部分については僭越ながらこの先でご説明する。ライブにさほど関係のない、ほぼ自分語りのような内容なのでいつでも閉じてください。

私は当イベントにスタッフとしてお呼ばれしていたのだが、現場で主に何をしていたかというと、

ほぼずっとここにいた。
傘立てで封鎖されている恐らく関係者ですら侵入禁止であろうエリアに無理やり忍び込み、「何とか今日自分はこの空間に居なかった事にはならんだろうか」などと考えながら埃まみれの階段に座っていた。

この数ヶ月ほど日々山盛りの薬剤を嗜みながら生きている私は毎晩恒例の大変イマイチな睡眠に加えて謎の吐き気や出所の分からない不安、最近はめまいだか何だかでまっすぐ歩く事もままならない日すらあった。毎日のようにメルカリで「健康な心身」と検索するもなかなかそれらしい出品が見つからず困っている。

今回の会場となった今池のClub 3Starは私の自宅からほど近いところにあり、お昼に会場入りして早々に具合を悪くした私はあろう事かそれに付け込んで開場前に一度帰宅する許可を貰い、何と自宅でがっつり休息した。ライブ当日に突然家に帰って寝るスタッフ。前代未聞である。そして15時に予定されていた演者さんとスタッフの顔合わせすら参加を断念した。本当に恥ずかしいし情けなかった。

30分ほど横になったお蔭で多少回復し、急遽依頼されたツールを自宅から携えて平然と戻ってきた私はこれといって出番もなく、依頼されたそれをご本人に渡して物販スタッフを終えたのちすぐ向かったのが最初のあの階段という訳である。ライブはオンタイムでスタートし、どの演者さんのパフォーマンスもフロアの中央で爆音と共に誰よりも楽しんでやろうと意気込んでいた。意気込んでいたのだ。同じ時間、自分が楽しんでいたのは薄く光る非常出口のライトと地下二階を示す壁の表記のみである。一体どの感情で眺めていたのか昨日の事ながら覚えていない。Water Color Melody.の転換が始まる時間を気にしながら黙々とそれらを眺めていた。

これもライブスタッフとしてあり得ない話だが、フロアの爆音と人混みがこの時本当に怖かった。気の知れた演者さんとの何気ない会話も一言一言を発するのが本当に恐ろしく感じられてしまい、それらから逃げた結果上記に至る。「そんな状態の人間がイベントのスタッフなど引き受けるな、周りに気を遣わせるし邪魔になるだけだ」と頭の中で知らない誰かが繰り返し言っていた。その通りだと思いながら聞いていた。

豚乙女さんの出番終了前に何とか地下2階から脱出し、それとなく転換をお手伝いし、何ヶ月にも渡って準備を重ねてきたWater Color Melody.のパフォーマンスを披露する舞台が整った。私も配置に着く。

幕が上がると既に"空気"が出来上がっているように見えた。
演奏が始まり、最前のステージ端から観ていたそれは圧巻そのものだった。ほぼ唯一の役目だった「紙吹雪を投げる」も無事遂行し、ラストソングが終わってメンバーが捌けるとものの数秒でアンコールが掛かり始める。私も爆音が怖かった事などとうに忘れ、心から「まだ終わるな」と思った。

アンコールを受けたメンバーが再登場し、本当のラストソングが始まって1分ほどで私は号泣し始めた。理由は定かではないが多分それまでの過程や今この瞬間等の様々なそれである。そして訳も分からず先ほど撒き散らした紙吹雪を手当たり次第に掻き集めて被っていた帽子にありったけ詰め込み、最後の一音と共に帽子をステージにぶん投げた。そうまでして「自分もこの最高のステージにほんの少しでも関わってたぞ!!」みたいなアピールがしたかったのか分からないが、これも理由は定かではない。その節は余計な事をしてすみませんでした。あと肩弱くてすみませんでした。

演奏終了後も泣き続けていた私は演者の皆さんから笑われ、心配され、恐らく引かれていた。みっともない顔を帽子で全面的に隠して記念写真の撮影を終え、撤収を手伝い、この期に及んで打ち上げを断って本日2度目の帰宅をした。部屋に入った瞬間から終わってるメトロノームよろしくフラフラになってしまい、最低限の家事だけこなしてベッドに倒れ込んだ。

脱ぎ捨てた服を見下ろした時、6時間前とは打って変わって「あの空間に居られて良かったな」とふと思った。そんな感想を述べる資格があるのかすら怪しいレベルだが、この金だか銀だかの紙切れを見て自然とそう思ったという事実だけ一旦書かせていただきたい。

一晩明けた今、ツイキャスの配信アーカイブにて各演者さんのパフォーマンスを拝見している。
自分が座っていた階段までほんの僅かに届いていた演奏の超高音質Verを聴きながら、あの時自分の頭上ではこんな最高な出来事が起こっていたんだなとアホの感慨に浸っている。

アホついでにこの場を借りて関係者各位に御礼を述べさせていただきます。
明らかに普通の状態ではなかった(並びに一部のこれを事前に認知されていた)自分を「#普通のライブ」に参加させてくださって、ありがとうございました。本当に光栄で、とても嬉しかったです。

とても楽しかったです。
お疲れ様でした!

#普通のスタッフ その2
イコ


追伸:第2回あるぞ!!!!!!

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