切り世界職人
【切り世界職人】
キリセカイ-ショクニン
切り絵のように
世界を切り取り
それをつなぎ合わせて
新しい世界を作る人のことをいう
働き方は簡単で
ハサミとノリを持ち
上から下から斜めから世界を眺め
ちょっと切って貼り合わせてみて
ふらふらと遊ぶように連想する
それだけ
世界は「個別のモノ」と「その間に連想されるモノ」でできているので
どこかで見たことのあるものを
組み合わせを変えて
貼り合わせるだけで
急に他のものが流れ込んでくる
たとえば
深い森の奥
+
正義感ある魔物
+
石畳
+
白い鳥
貼り合わせると
風のさざめき
木が何かを気にしてそわそわしている様子
割れた大きな石
石の奥から聞こえる昔の音楽
壁画
鳥の祖先の歌声
ダイナミズムと運命
憂鬱な雨
太陽と虹
時代 歴史 今という一瞬
そんなようなものが見聴きできて
それだけで世界はできる
さらに
切るサイズを工夫して
どこかにフォーカスを持っていけば
その世界に見守りたい存在が見えるかもしれない
そうなったらしめたもの
産声が聴こえたその方向に寄りかかるだけで
等速直線運動で進んで行けて
いつのまにか物語ができている
切り世界職人という職業は
勝手に世界を作りそこに旅ができる
誠においしい職業です
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