日本では弥生時代からニワトリを飼育していたことが判明。最古のニワトリのヒナを発見

 奈良県にある唐古・鍵遺跡(からこ・かぎいせき)で、 日本の最古のニワトリのヒナの骨が発見された。それは日本人が弥生時代からすでにニワトリを飼育していた決定的な証拠となるという。

 ニワトリは私たちにもっとも身近な家畜の1つだろう。鶏肉や卵は食卓でお馴染みの食材だし、中にはペットとして可愛がっている人もいる。

 そんなニワトリが日本に伝わったのは弥生時代だとされているが、これまで、詳しい年代は不明で、弥生時代にニワトリは飼われていなかったという説もあった。

 今回、北海道大学の研究チームは、唐古・鍵遺跡で見つかった骨がニワトリのヒナのものであることを確認。紀元前3~4世紀の弥生時代には、ニワトリが確かに飼育されていたことを明らかにした。

日本人はいつからニワトリを飼い始めた?

 コケコッコーッと特徴的な鳴き声で鳴くニワトリは、3000年以上前に東南アジアに生息するキジ科の鳥「セキショクヤケイ」が家畜化されたものだ。

 日本にこの鳥が伝来したのは弥生時代だとされているが、決定的な証拠がないために正確な時期はわかっていなかった。

 それどころか、そもそも弥生時代の日本人がニワトリを飼い続けることはなかったという説もある。

 というのも、これまでにその時代の遺跡で見つかったニワトリはどれもオスばかりだったからだ。 つまり当時、たまたまニワトリを飼っていた日本人がいたとしても、繁殖して育てることまではできなかった可能性があるのだ。

この説をくつがえすには、ニワトリのヒナを見つける必要がある。それが実際に弥生人がニワトリを繁殖できたという証拠になるからだ。

日本最古のニワトリのヒナの骨を発見

 今回、北海道大学総合博物館の江田正樹教授らは、ついにが「日本最古のニワトリのヒナの骨」を発見した。

 『Frontiers in Earth Sciences』(2023年4月20日付)で発表された研究で、江田教授らは奈良県の「唐古・鍵遺跡(からこ・かぎいせき)」で発掘された4本の鳥の骨を分析している。

 ここは国の史跡に指定される弥生時代の環濠集落遺跡で、大きな建物や青銅器鋳造炉の跡などが発見されており、当時の日本でも特に有力な勢力の拠点だったのではと考えられている。

 研究チームは、その骨から抽出されたコラーゲンの質量を分析し、どの鳥の骨なのか特定を試みた。その結果、2本はニワトリのヒナのものであることが確認されたのだ。

 また放射性炭素年代測定の結果からは、それが弥生時代中期(紀元前3世紀から4世紀)のものであることが判明。

 研究チームは、「少なくとも唐古・鍵遺跡では弥⽣中期初頭からニワトリが継代飼育されていた」と結論づけている。

なぜ弥生時代のニワトリのオスの骨しか見つからなかったのか?

 今回、弥生時代のニワトリのヒナの骨が発見されたことで、当時の日本人は確かにニワトリを飼育していたことが証明された。

 ただし、それが日本全国どこでも行われていたかというと、そうでない可能性はある。

 むしろニワトリの飼育は、最大規模の集落だった唐古・鍵遺跡ならではの珍しいこととも考えられるそうだ。

 研究チームの今後のテーマは、弥生時代のニワトリの骨がオスにばかり偏っている謎を解明することであるそうだ。こうした極端な性別の偏りは世界でも前例がないとのことだという。

References:北海道大学プレスリリース / Chicken breeding in Japan dates back to fourth century BCE / written by hiroching / edited by / parumo

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