パッシブで自然を活かす家づくり

みなさまこんにちは^ ^

前回まで通風やエアコンの性能、上手な使い方などを解説してまいりました。

生活コストだけでなく、環境負荷を抑えるためにも、エコな生活環境はぜひとも手に入れていきたいものですよね。

ちなみに、

東京大学の前真之先生は、生活環境整備の技術について以下の定義をされています。

まずは『パッシブ』で整える。次いで『アクティブ』で確実に

パッシブ技術…設備を用いずエネルギー消費ゼロで、建物の計画と性能により室内の空気・熱環境を穏やかに整える。

アクティブ技術…設備を用いエネルギーを消費しつつ、機械やダクト等により室内の空気・熱環境を確実に整える。

自然の恵みを最大限受けること、

また、それに補うエネルギーを最低限とすることで

“自然を活かした家づくり“

をするために、今日は家の各部位の役割や活かし方などの『パッシブ技術』についてご紹介していきたいと思います。

まず、通風などでも役割を担います『窓』について、

先週のエアコンの空調負荷計算の中にもあったのですが、

窓には換気の役割と熱の取得の役割があります。

まず、換気について、

窓を開けることで空気を入れ換える事はみなさんご存知の通りです。

家に風を通すことが効果的な時期には、より多くの外気を家の中に取り込みたいものです。

窓からより多くの外気を取り入れるための有効策は

風をつかむ『ウィンドウキャッチ』と、

高低差を利用した『温度差換気』

などがあります。

『ウィンドウキャッチ』とは、従来の引き違い窓ではなく、押し出し式の窓によって、風が部屋へ入りやすくすることです。

さらに、窓を一面に固めるのではなく、複数の方角に取り付ける事で、あらゆる風向きに対応できる窓開口とすることができます。

次に、『温度差換気』について

冷たい空気は比重が重く、暖かい空気は軽くなる特性を活かし、窓の設置高さを変える事で空気の流れを作ることができます。

人間や家電機器などは、活動をする事で熱を発してしまいますから、外気が生活に適したものである場合は、こうした方法で通風を行うことが『パッシブ』な生活環境改善法であるといえますね。

次に、窓の熱取得について。

窓の熱に関する役割として、冬場に太陽からの放射熱を取り入れて部屋を暖めることがあります。

ただし、それは同時に夏場にも熱が入るということですし、

それとは別に、ガラスや金属が熱を伝えやすい材料であるために、窓を介した熱の流入、流出が多い部分でもあります。

こちらはブラインドやロールスクリーンを販売するニチベイさんの資料です。

ニチベイ:https://www.nichi-bei.co.jp/

まず、太陽からの放射熱を、冬には得て、夏には遮断するという都合の良い考え方については、いくつか方法があります。

まず、日本家屋には元来こうした庇がある家が多く、夏にはそこからすだれを垂らすという風習がありました。

これは、季節ごとの日射の角度を利用して、夏場には窓からの日射を遮り、冬は積極的に取得することを目的としたものでした。

しかし、現在は家のローコスト化やデザインなどにより庇がない家が多くなってきております。

そこで現在は、アウターシェードやブラインドなどを使用して、日射遮蔽を行うことが効果的といわれています。

デザイン性の高い物の取付工事も可能ですし、

DIYでの対応も器用な方なら可能なリフォームです。

最後に熱交換について。

窓に主に使用されている、アルミやガラスといった素材は熱伝導率が高く、室内と室外に温度差がある場合、窓を介して多くの熱交換が行われてしまいます。

ですから、窓を中心に各部位の熱交換が起こりにくくするために、断熱性を高くすることがとても大切です。

サイエンスホームで標準採用されている樹脂窓、YKKAPさんのAPWはその代表格ですね。

YKKAP APW330
https://www.ykkap.co.jp/apw/apw330/

それ以外にも、内窓を設置するなど、安価で効率の高いリフォーム方法もあります。

障子の代わりに内窓
LIXIL インプラス/インプラスウッド
https://www.lixil.co.jp/lineup/window/inplus/

ちなみに、DIYでの内窓づくりも可能です。
(こちらは昨年自作した内窓)

また、床・壁・天井に断熱、気密処理を施すことも効果的ですね。

ネオマフォーム:旭化成建材 https://www.asahikasei-kenzai.com/akk/insulation/neoma/

以上、毎度のこと、だいぶ長くなってしまいましたが、自然を活かす家づくりの一環として、パッシブ技術についてご紹介をさせていただきました。

住宅性能については近年多方面で問題となっていますが、

特に家の温熱環境の整備不足によるヒートショックの健康被害は看過できない問題です。

ヒートショックの被害者は交通事故死者の約5倍
https://www.catalabo.org/iportal/CatalogDownload.do?method=downloadPdfCatalogPage&type=downloadPdfCatalogPage&volumeID=CATALABO&categoryID=&catalogID=&catalogCategoryID=&pageGroupID=&pageID=51162790000

日本では長らく『アクティブ技術』である白物家電に頼りきった住環境整備が行われてきましたが、

『パッシブ技術』と共にエコロジーでエコノミー、何より健康的な生活こそ、知恵を生かした人間本来の生き方ではないかと思います。

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