【愛している】
寝室に入っても子供達が騒いで眠れない時「しゃべったらお外ゲーム」をしていた。単純に話をしたら負けでお外に出すよだから静かにしてね~というゲームだ。その日は、ゲームを開始したにも関わらず、どうしても私が話をしたくて、ついつい話をしてしまったのだが、負けは負け…私はベランダに出た。
コンタクトレンズを外したぼやけた視界は、月の光が辺りを青く包み込み、住宅の屋根や木々の枝葉のシャープな輪郭を薄い膜で覆うように滲ませ、柔らかい世界を演出していた。
私は無言のまま只々滲んだ月を見上げていた。しばらくしてサッシを開ける音がして、トテッ、トテッと3歳の息子が歩いてきた。すると私の足を小さい腕でより柔らかく、そっとハグし私の膝上に頬をつけ
「愛している」そう言った。
私は息子の頭をクシャクシャに撫でて、抱っこし、今までよりも月が滲んでしまったことに気付いた。
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