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グルメな夫が健康オタクになった

グルメな夫は飽食ではない。グルメは高価な食べ物を食べることではないし、自然破壊や不健康につながるものもグルメではない。
 
グルメな夫の健康診断の結果は、若い時はすべての項目が青マークだったが、定年に近づくころには黄マークがまじるようになった。健康診断結果にはご丁寧な生活改善アドバイスの冊子がついてくる。お酒も飲まず煙草も吸わないグルメな夫に対して、「アルコール摂取を控えましょう」という見当はずれなアドバイスもあるが、「食生活に気をつけましょう」というのは、カロリーを控えたり、甘い飲み物を控えたり、塩分を控えたり、という万人に通用するアドバイスだ。グルメな夫は若い時と同じ食事ではだめだと思ったのだろう。家では肉より魚を食べるようにしたり、カロリーが低くてタンパク質の多い肉に変えたりするようになった。
 
グルメな夫がチキンカレーをつくると、昔は鶏のもも肉を使っていたので、私は肉をよけて食べていたものだが、最近ササミ肉にかえた。肉嫌いな私も、細かく切ったササミ肉は全く気にならず、夫のつくるチキンカレーを一緒に食べることができて嬉しい。
 
肉嫌いな私の大好物は大豆ミートである。30年以上前、シンガポールで食べた朝食が「素食(ベジタリアンの食事)」だった。店内には読経の声が流れ、黄金の小さな仏像がいくつも飾られたあいがた~いお店だった。すべてのおかずが美味しくて極楽のようだったが、中でも、お肉のようにしか見えない大豆ミートのおかずは衝撃だった。本物の肉は肉臭が鼻を突くが、大豆ミートにはそれがなく、豊かな旨味が広がった。

数年前に道の駅で大豆ミートが「畑のお肉」という名で売られているのをみつけた。湯戻しして醤油で味付けをしてみたが、シンガポールで食べた味にはほど遠い。
 
しかし、ついにグルメな夫が「畑のお肉」を自ら料理する日がやって来た。胡椒、ナツメグ、丁子を入れ、ケチャップマニス(インドネシアの甘醤油)で味付けをする。ナツメグや丁子は肉料理に使うスパイスで、「畑のお肉」がまるで牛肉のようだったらしい。
やったね!これからはおいしい「畑のお肉」が食べられるし、グルメな夫も健康に長生きしてくれるにちがいない。

グルメな夫のスパイシー甘辛「畑のお肉」とオヨメサンの水戻ししただけの千切り大根。
真逆な二品を一緒に食べるとちょうどよい具合になって驚く!


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