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グルメな夫のためのお土産、グルメのおもちゃにならず


15年前、仕事でオーストラリアに行ったとき、料理好きな夫のために卵料理用のシリコンカップをお土産に買った。いまでこそポピュラーな素材であるシリコンも当時の私には謎の物体だったが、思いきって買った。しかし、なんと、その後15年、使われることなく死蔵されていた。最近になって引き出しの奥から取り出してポーチドエッグをつくってみたら、意外や、簡単に半熟卵がつくれた。以来、ポーチドエッグばかり作るようになった。

左下がポーチドエッグをつくるシリコンカップ

元々はグルメな夫のためのお土産である。「簡単だから使ってみる?」と聞いたら、単純すぎるからいやだと言う。グルメの料理としてふさわしくないらしい。グルメな夫の定番料理はインドネシアのマルタバック(martabak)風卵焼き。葱や赤玉ねぎなどがはいっていてふわふわの卵焼き。確かに天地の違いである。

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グルメな夫のマルタバック風卵焼き

しかし、グルメな夫がよく作るゆで卵は単純すぎではないのだろうか。いやいや、ゆで卵は結構難しい。かつて私がゆでたゆで卵の黄身がひどく偏っているのを見て、グルメな夫はのたもうた。「ゆで卵は黄身が中央に来るように上手にゆでないとね。」
はっ、それが何か?ゆで卵に変わりないんですけど。
さらに、殻がスルリとむけるようにすることも必要だが、私はたいてい失敗する。満足にゆで卵をゆでることもできない私にとって、ポーチドエッグは失敗しない卵料理である。なんとスバラシイ!

かくして、グルメのためのお土産はグルメのおもちゃになることなく、グルメでない私のおもちゃになった。

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