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グルメな夫の盛り付けがアートになってきた、と思ったのはその日だけだった

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グルメな夫は料理がうまい。
しかし、苦手分野もある。そのひとつは盛り付けである。グルメな夫の盛り付けは、いつも大皿にドーンといれておしまいだが、インドネシアではどこでもそれがふつうだ。そもそも「盛り付け」というインドネシア語があるかどうかもアヤシイ。
ところが、最近驚くことがおこった。エビチリをつくったとき、大皿にいつものようにドーンと入れた後、生のセロリの葉をちらしたのである。

オラッアレッ(人参の卵とじ炒め煮)をつくった日は、前日からつくって味がしみこんだおでんと一緒にひし形の九谷焼の皿に盛りつけた。おでんの大きな大根をシンメトリーに配した絵画的な盛り付けに思わず
「盛り付けがアートになってきたね!」
と叫んでしまった。
これまでまったくアートとはいえなかったグルメな夫の盛り付けがアーティスティックになるなんて、ちっとも期待していなかったから、めでたい。

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しかし、感動は続かなかった。数日後、ご飯とオセンオセン(野菜の炒め煮)を皿いっぱいに平らに広げて盛りつけたのだ。
「まったくアートじゃないよ・・・。」
とつぶやく私に、グルメな夫の声。
「たくさんあるように見えることが大事なんだ!」

10年以上前、グルメな夫は、学会でインドネシアからの参加者たちと一緒にホテルに泊まった。夕食には立派な会席料理が出されたが、インドネシアからの参加者たちは
「こんなに少しだけ・・・?」
皿の中央にちょこんとのっている料理に落胆したのだという。

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