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グルメな夫のコーヒーは色も香りも濃い


インドネシアは世界第4位のコーヒーの産地である。例えばトラジャコーヒーはスラウェシ島のトラジャでつくられるコーヒー。スマトラ島、カリマンタン島、ジャワ島、バリ島、フローレス島、など、あまたの島でコーヒーが栽培されている。グルメな夫は、最近、異なる島のコーヒーをブレンドするのに凝っている。
 
インドネシアのコーヒーは細かく挽いてお湯を注ぎ、沈殿させて飲むのだが、日本では中挽きでドリップコーヒーにすることもある。それでも、コーヒー豆をたっぷり使い、タイマーを使って、かき混ぜながら濃いコーヒーをつくる。グルメな夫の濃いコーヒーは香りも濃くて、家中にコーヒーの香りが広がる。
インドネシアのコーヒーはたっぷり砂糖を入れて甘くするのがふつうである。日本では甘くする必要はなく、黒糖を少々入れるだけだが、濃厚なコーヒーの香りが引き立つ。

グルメな夫は、オヨメサンのうすいコーヒーと比べて、いかに自分のコーヒーが濃いかを自慢する。あたかも筋肉か男らしさを自慢するかごとくで、その濃いコーヒーを「kopi Babaババのコーヒー」と呼ぶ。Babaはマレー語で非マレー人の主人をさす言葉である。
 
男主人Babaに対して女主人は[「Nyonyaニョニャ」と呼ばれるため、オヨメサンのうすいコーヒーを「kopi Nyonyaニョニャのコーヒー」と呼ぶ。オヨメサンがさらにうすいコーヒーをつくるので、「kopi Bayiバイイー(赤ん坊)のコーヒー」と呼ぶ。

グルメな夫にとって、コーヒーはkopi Babaでなくてはならず、kopi Nyonyaはものたりず、kopi Bayiにいたってはout of question(問題外)である。

週末の朝ゆっくりコーヒーをいれるのは、グルメな夫の癒しであり、楽しみである。オヨメサンもコーヒーを入れるが、それはグルメな夫のコーヒーが嫌いだからではない。濃いコーヒーは当然ながら、一度に作られる量が少ない。つまり、2人でコーヒーを飲むには量が足りないのである。
 
オヨメサンは、最初に飲むグルメな夫のコーヒー1杯で、初めてソロ(正式にはスラカルタ)を訪れたときに泊ったホテルで飲んだコーヒーを思い出す。
「インドネシアの味だ~。」

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